065 アリアの決意
ディナーが始まる直前、会場の空気が和らいでいた。
ロウィンは、穏やかなざわめきの中に身を置きながら、ゆっくりと会場を見回した。
その視線の先に、シルヴァーナの姿があった。
彼女は客たちと談笑していたが、ふとこちらを見て、微かに表情を変える。
そして迷わず、ロウィンのもとへ歩み寄る。
「あなたのことが心配だったの」
その声には、優しい響きがあった。
銀髪が照明を受けて揺れ、黄色のドレスが淡く輝く。
「君がここにいるとは思わなかった」
ロウィンが言うと、シルヴァーナは眉をひそめ、問いかけた。
「アリアって、不自然よね?」
「どうすればいいんだろう」
ロウィンは声を落とし、言葉を選んだ。
「彼女には、転生令嬢とは違う何かがある」
シルヴァーナは目を細めた。
「でも――あなたを守りたいという気持ちは、本物じゃないかしら?」
その声が、ロウィンの胸に波紋を残した。
「……彼女の目的を知りたい」
シルヴァーナは手を組み、しっかりと告げた。
「私はあなたを心から大切に思っている。危険に巻き込まれないために、手を打つわ」
婚約という絆がある。
その重みを、ロウィンは痛いほど理解していた。
「もうすぐディナーが始まる。せっかくだし、一緒に食事をしよう」
そのとき、アリアが二人に近づく。
「お話があります」
ロウィンとシルヴァーナは、自然と身構えた。
アリアはその警戒を受け止め、静かに息を吐く。
「――この後に起こる惨劇を、知って欲しいのです」
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