062 オープンセレモニー
ついに暗黒舞踏会のオープンセレモニーが始まった。
天井のシャンデリアが大理石の床に光を反射させ、会場全体を幻想的に照らしている。
音楽が優雅に流れ、貴族たちは華やかな衣装で踊り、観客の視線を一身に集めていた。
最初に舞い始めたのは、「デビュタント」と呼ばれる若い男女。
女性は純白のドレスをまとい、軽やかに旋回する
男性はその動きに合わせてリードしている。
ヴァルカはその光景をじっと見つめていた。
低い声で問いかける。
「どうして震えているんだ?」
ロウィンは答えられず、ただ黙ったままだった。
ヴァルカの目が鋭くなる。
「ダークエルフの女たちは、ロウィンと結ばれたい。シルヴァーナがいるから遠慮していただけで、婚約期間に制限はない。チャンスは平等だ」
ロウィンは反応を示さない。
「種族の存亡をかけ、高度な判断をしなければならない。簡単に言えば、シルヴァーナを正妻として、側室をつくる流れだ。あいつも現当主として結論を出すはずだ」
ロウィンは驚きの色を浮かべる。
ヴァルカはさらに問いかける。
「未来のお前が、復讐の鬼になった理由が分かるか?」
胸の奥に答えはあった。しかし口にすることはできなかった。
ヴァルカの口元がわずかに歪む。
「肩の力を抜き、別の女性にも目を向けるべきだ。最悪の未来を防ぐためにな」
ロウィンの心に大きな波が広がった。
不安と決意が入り混じり、何か重大な選択を迫られていることを、彼は理解していた。
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