006 パーティースキル「コンティニュー」
薄暗い森の中、ロウィンと仲間たちは息を潜めていた。誰も声を立てず、ただ気配を探る。だが、異常を察することはなかった。長く戦ってきた者だけが持つ感覚が、まだ何も告げていない。
やがて――
森を包む空気が変わった。時間が歪む違和感に襲われる。
「来る……」
エリスが呟いた。恐怖と緊張が混じった声だった。ロウィンはその声を聞き、周囲を警戒し視線を巡らせた。
地面が振動し、闇の中から巨大な存在が迫る。その正体は、時間の流れを狂わせる「時間の狩人」たちだった。
人間に似た顔に空洞の瞳、無数の黒い目が無表情に光る。背中には無数の触手が絡み、時折それが空間を歪める。
「タイムリーパーを捕らえろ!」
命令が周囲に届く。
狩人たちはロウィンたちを取り囲み、鋭い視線を向けた。恐怖と絶望が心を満たす。逃げ場はない。
その中で最も存在感を放つ者がいた。
「アナザー・エデン」――時間を司る者で、狩人たちを支配している。
彼女の姿は神秘的で、未来からそのまま現れた印象を与えた。青白い肌に長い金髪が風もないのに揺れ、大剣を握りしめている。その刃先からは歪んだ時間のエネルギーが伝わる。
「タイムリーパーか」
アナザー・エデンは冷ややかに呟く。
「時を戻し、進め、止める者たち。だが、その力は代償を伴う。使うたびに、世界は崩れていく」
言葉がロウィンたちの胸に響いた。彼らは今、崩壊の瀬戸際にいる。逃げ場はなく、時間の歪みが迫っている。
ロウィンは汗をぬぐいながら仲間を見た。
「エリス、どうする?」
必死の声だ。
「マリス、あれを使って何とか……」
だがエリスは目を閉じ、何かを感じ取っていた。ため息を漏らす。
「無理」
声には確信があった。
「これほどの数では、もう逃げられない」
その瞬間、アナザー・エデンが指を鳴らす。狩人たちが一斉に動き出した。
時間が歪み、景色がねじれる。ロウィンたちは動けずに立ち尽くす。
「エリス! マリス! 急げ!」
ロウィンは叫ぶが、その声は届かない。狩人たちが次々と迫る。
「時間が……!」
力を振り絞ろうとするロウィン。しかし狩人たちの力がそれを上回り、彼の時間操作は無効になった。
その時、エリスの背後で叫び声が上がり、マリスが必死に力を使う。だが狩人たちに攻撃され、次々倒れていく。
ロウィンはその光景を目にし、絶望が胸を締めつけた。
「どうして……こんなことに……」
最後の言葉と共に激しい痛みが走り、地面に倒れ込む。
その後、エリスとマリスの姿も消え、すべてが闇に飲み込まれた。
静寂の中、ロウィンはかすかに声を絞り出した。
「俺は……まだ――」
その言葉を残し、意識は薄れていった。
時間の狩人たちは満足そうに軍を引き上げる。
だがロウィンの体が微かに光り始め、彼のメニュー画面が浮かんだ。
パーティースキル「コンティニュー」発動!
「戦闘前に戻ります」
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
「面白い!」「続きが気になる!」と思っていただけたなら、ぜひブックマークや評価での応援をお願いします。とても励みになります!
これからも、心に残る物語を届けられるよう精一杯書いていきます。
どうぞよろしくお願いいたします!