245 ルミナ外伝『俺だけ、スマホがつながらない世界で。』 006《バグ適合者、最強のチートスキルを手に入れる》
俺の「進化」は、まだ終わっていない。
これから俺が歩む道は――俺にしか見えない、未知の世界だ。
魔物が霧散するように崩れた直後、スマホの画面がパキンと音を立てて変化した。
【緊急任務:異次元侵入体の排除】
【評価ランク:A】
【個人戦果ポイント +120pt】
【ボーナス加算:コードゼロ適合補正 ×10】
【総獲得ポイント:1200pt】
【追加報酬:“選択型コードスキル因子”×1】
「……え? せん……にひゃく……?」
表示された数字に、俺は思わず二度見した。
通常の報酬より一桁多い。ルミナですら目を丸くする。
「……すごい。コードゼロ、起動したばかりなのに、この数値……。これは“バグ”って呼ばれてもおかしくないわね。」
「いや、ちょっと何言ってんのかわかんないんだけど……」
とりあえず、スマホに表示された【変換メニュー】を開く。
【使用可能ポイント:1200pt】
【変換可能項目】
・万能スキル因子ガチャ(1000pt/回)
・コードゼロ特化型スキル開発(500pt)
・強化装備:適合者専用(300pt〜)
・システム改変パッチ(1000pt・限定1)
「……システム改変パッチ?」
ルミナが驚いた顔でのぞきこむ。
「それ、普通は管理者でも見られない“開発者用メニュー”よ。まさか……」
「まあ、気になるし、使ってみるか。」
俺は、ほとんど迷わず選択をタップした。
その瞬間——
【警告:既存の制御コードを書き換えます】
【コード名:“EX:模倣進化型スキル・オーバーライド” 起動】
光が走り、脳内に直接スキルデータが注ぎこまれる。
《スキル取得:模倣進化 (オーバーライド)》
──対象スキルを一度観測することで、強化コピーが自動生成されます。
──オリジナル性能を超えて進化可能。上限なし。
──制限:なし。
「……まじかよ……強すぎないか、これ?」
「ハルト、それ……模倣じゃない。“上位互換を自動生成する能力”よ……!」
どんなスキルでも、一度見ればコピーし、それ以上の性能で使える。
敵の技、仲間の技、未知の技。全部、俺のものにできる。
まるで世界が「お前だけチートで遊んでいいよ」って言ってるみたいだ。
「……ようやく、スタートラインに立った気がする」
俺はそう呟いたが、内心では思っていた。
(――いや、たぶん俺、もうスタートラインなんか見えないところにいる)
【称号獲得:「特異点/バグ適合者」】
【現在ランク:外部規格対象外】
どこまで行けるのか、自分でもわからない。
けれど、たった今、はっきりした。
俺はもう、「何もできない最弱」じゃない。
世界そのものに、“俺の存在がバグ”として認識され始めていた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。