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つまらない感情

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

スタイルが良すぎる人を見た時の感想。

ギリシャの彫刻かな?

ある時、光の顏を持つ彼と一緒に食事へ行った。誘ってくれたのは彼からだった。料理の提供を待つまでの間、私は黙って彼の顏を観察する。

髪は濡れ羽、肌は白玉、目の覚めた様に開かれた目が特徴だった。異性同性問わず、見かけたら多くの人が見惚れるのだろう。

「見惚れてくれるの?」

「いやー、綺麗過ぎてそれ以外の感情が何一つ浮かばないというか。うーん……」

普通、綺麗な顏を見たら、見惚れるなり、情欲が沸いたりするものだと思っていたのだが、現実は意外とそうではないらしい。何の感情も浮かんで来ない。強いて言うなら虚無だ。悲しい。

美しさを表す千の言葉があっても、行き着く先は一緒。芸術品と相対しているに他ならない。

此処でふと、似たような心境に放り出された事を思い出した。

「○○様のMV見たことある? それ、○○様らしさが全面に出た奇抜なMVなんだけど、自らの体を露出させる場面も結構あるんだよね」

今から八年前のMVだった。時代の先端を行き過ぎていて、多くの評論家は彼女の事を強く批判した。それは勿論、素肌を多く露出させて踊る事も含まれている。はしたないと。でも。

「スタイルの良い人だった。彫刻みたいだった。それ以外の感情が浮かばなかった」

はしたないとか、下品とか、そんなものは私に端からなくて、ただ綺麗だと思った。生身の肉体の人間の美しさが行き着く先は、ギリシャの彫刻なのだと思い知らされた。

あれだけ露出させているのに、見惚れる感性も、性的な感性も、ただ綺麗さで塗り潰された。

「だから、美しさの極みというのは、感情的観点から見ると、物凄くつまらないものなんじゃないかな」

だって感情に複雑さを伴わないから。良いも悪いも、全て無くしてしまうから。

そんな話をしているうちに、料理が運ばれてきた。ワンプレートに、ハンバーグやら、唐揚げやらの洋食がちょこちょこと乗っている。おお……これは。

箸で突っついて、口に入れる。ちょっと温めの唐揚げは、母が朝方揚げて持たせてくれた味とよく似ていた。恐らく、仕込みに多くの時間を割いて、作り置きをしているのだと思う。泣く程美味しい。とはちょっと違うけれど、心に安心を与えてくれる味だった。

「料理は良いね。どれだけ美味しくても、感情を消し炭にしないから。沢山の、複雑な言葉が浮かんで、同じ方向に行かないから」


オマケ 見惚れぬ彼女

大抵の者が僕の顔を好きになってくれた。沢山の賞賛をくれた。ただ一人を除いては。

彼女は初めて僕と会うなり、まじまじと顔を凝視した。そこに色香の念はない。ただ生命体を観察する様な、無機な意味を含んでいた。

それからつまらなさそうに視線を逸らして、僅かに笑った。

「ごめんなさいね。随分と不躾な事をしてしまったわ」

それから数週間の時が経って、また彼女と出会う事になった。彼女は江戸時代の美人画を熱心に見つめていた。僕を見た時とは明らかに異なる、情欲の念。

「君は……」

思わず声に出していた。彼女は振り向いて僕の顔を見る。

「良い目だなぁと思って。だって物凄く特徴的。沢山の感情が一斉に浮かんで来る」

それからすぐ後に、ご飯に誘った。

綺麗過ぎる物を見た時、千の言葉で何かを表そうとも、表せないと言いますか、いや、『綺麗』だけで良いじゃん。それ以外に何も無いよ。という気持ちになります。


それがどれだけ扇情的でも、絵画とか彫刻を見ている気分になるんですよ。

絵画を見て、セクシャルな気持ちになる方がいらっしゃるかは分かりませんが、私は綺麗以外の気持ちがなくなります。


如何せん、複雑怪奇な心情にこそ、人間らしさがあると思っているので、それはなんだか寂しいなぁと思います。


私の好きな(と言うにはちょっと複雑な)暗黒ライトノベルに、絶世とも称される銀髪の相方が出てくるんです。

其奴が自分の顏を評価した時の話。

『つまらない顔をしている』

そんな話が浮かびました。

彼奴もそう思ってるのかな。いや、戦闘狂だものね。


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