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何でも相談部


 我が千葉県立検見浜高等学校には他校にない変わった部活動が存在する。それすなわち「何でも相談部」である。

 その名の通り、その部は相談を受け、遂行することが主な活動内容であり、相談をすること自体は我が校に関わる者なら誰でも可能だ。生徒はもちろん、教師でも、親御さんでさえ相談でき、うちの高校の福利厚生のようになっていた。

 ある日は教師に頼まれ蛍光灯の交換。ある日は教師に頼まれ保護者説明会で使用される空き教室の清掃。ある日は教師に頼まれベルマークの回収。……まぁ主に教師からの依頼、もとい教師からの雑用がほとんどらしい。

 そんな部が我が校には存在するわけなのだが、聞いての通り誰もやりたがらない業務内容により入部希望者はほとんどおらず、常に廃部の危機に晒されていた。

 しかし、学校側としては、漫画で言う風紀委員的な立ち位置である相談部を失うのは大きな損失だと考えており、苦肉の策として問題児を強制入部させるという伝統で何とか存続させるに至っているそうだ。表面上は更生プログラムの一環とされているとか何とか。

 ちなみに自分はというと、もちろん相談部に入部する気なんてない。毛頭ない。

 俺は日常生活を送っていて無意味に奉仕欲が生まれてくるような人間ではないし、大学を推薦で入学するべく教師に媚を売るような推薦入試志願者でもない。かと言って、ペットボトル用のゴミ箱に紙ごみを捨てるような悪人というわけではないのだけれど、自分からというのは専らごめん被るというわけだ。

 では、なぜこのような話を最初に持って来たのか、という疑問が残ると思うが、お察しの通り。単純に俺が問題を起こしてしまったからだ。

 忘れもしない、あれは高校一年の冬のこと……なんて振り返るにはつい最近の話ではあるが、……まぁ色々あってやらかしてしまったのが原因だ。

 不覚、というよりは不自然。感情的になりやすい年頃ではあるけれど、もう少し自制することはできなかったのか。俺の馬鹿。……まぁ、やってしまったからには無抵抗に従うくらいには真面目な人間なので、そこは覚えておいてほしい。

 ただ、面倒な性格がギリギリ個性と認識されている自分が相談部と関わるということは本来ありえないことで、イレギュラーな展開であることは間違っていない。



 第一印象として、常識のある人間と認識してもらうべく、しっかりとノックを三回してからドアを開けた。

 「失礼しま……す」

 目の前に映る彼女を見て、俺は立ち止まった。

 一目惚れ、とはまた違う。いや、もちろん彼女に女性的魅力を感じていないと言えば嘘になるのだが、そうではなく、ただ美しく、整っていた。

 形容するのなら博物館に飾られている彫刻のような。しかし、程よく生身の人間らしさも残しており、身につけている我が校の制服から勝手ながらも親近感を抱いてしまう。

 対面した瞬間、髪を靡かせていた彼女のワンシーンに時を奪われた。俺は記憶の片隅ながら大きく占領していた彼女の記憶を思い起こすと、その名を口にした。

 「こんにちは……姫野さん」

 彼女は自分の存在に気が付くと開いていた窓を閉め、ニコっと微笑んだ。

 「新入部員が来るって聞いて、舞い上がっちゃって。ちょっと神秘的に見えるように窓を開けていました。てへ。狙い通り見惚れてたでしょ」

 腰まで伸びた黒髪に大きな瞳。ワイシャツは第一ボタンを開け、長すぎず短すぎないスカート丈は絶妙に男心を擽る。実は芸能活動してました、なんて暴露されても違和感のないほどの美人が目の前に立っていた。

 彼女は姫野という名であった。そして、一年時、二年時と同じ教室で勉学に励むことは叶わなかったが、俺は彼女を知っていた。

 同じクラスに同じ中学のいない入学式の日。不安で落ち着かない自分とは対照に、堂々とした様子で新入生代表の挨拶をする彼女。その透き通った声、表情。一年が経過した今でも鮮明に覚えている。才色兼備を体現したような生徒だ。

 知っていたと言ったが、むしろ同級生で知らない方が珍しいくらいで、それほどまでに彼女は有名人だった。

 「そうですね、見惚れてました」

 素直に姫野の思い通りにされてしまったことを報告すると、彼女は自分で言っておきながら恥ずかしそうにニシシと微笑んだ。

 「他の部員はいないんですか?」

 「部員は私だけだよ」

 部屋を見渡すと長机が二つくっ付けてあり、用意された椅子は全てで四つ。それと部長である姫野用だと思われるデスクアンドチェアと、設備は整っているのにも関わらず、部員が一人とは何とも寂しい部屋だ。

 「同級生なんだしさ。お互いタメ口でいこうよ。姫野って呼んでよ」

 「え、あぁ……。じゃあ、よろしく姫野」

 「はい! よろしく承りました、春元君」

 姫野で良いよと言った側が君付けとは、突っ込み待ちなのだろうか。それとも誰に対しても君付けをしなければならない、眼鏡委員長的な属性をお持ちの人間なのだろうか。だとしたら最高なことこの上なしだと、俺は思った。

 立っていてもなんなんで、俺が長机に座ると、姫野は挟んで正面に座った。

 「聞いていると通り、この部の活動内容は相談事の解決なんだけど、ほとんどが仕事の依頼って感じかな。と言っても、これまで一人でもやりくりできていた程度の仕事量だから、あんまり構えないでね」

 正直言うと、自分的にやる必要のない仕事に多いも少ないも関係ない。五十歩百歩的な話。けれど、この処遇は大ごとにしなかった学校側への報いだと納得しているわけで、別に構えてはいない。そんな心配しなくとも真面目に参加するし逃げるつもりはない。

 「質問良いかな?」

 「どうぞ」

 「姫野……も何か理由があって相談部にいるのか?」

 「理由……?」

 俺は一発目の会話でこの質問を選んだ。

 好きでボランティアに参加する人間だっているし、さすがの俺でも人助けによる充実感は理解できる。理由がないのならそれで良い。

 だが念の為、もし何か俺みたいに理由があるのなら、最初から知っておきたいってその程度だった。もし今後、知らずに地雷を踏み抜くような事故が起きては、たまったもんじゃない。

 「先生たちに頼まれたから」

 姫野は即答した。

 「それだけ?」

 「うん」

 考える間もなく。まるでその選択が当たり前かと言わんばかりに。そう答えた。

 新入生代表、つまりは学年主席。それ以外にも度々彼女が優秀だという情報は耳にするわけで、そりゃ教師陣からの頼み事は多いことだろう。聡明そうな彼女だ、頼み事はほとんど快諾し続けてきたのかもしれない。しかし、それだけが理由で入部し、さらには面倒な部を一人で運営しているとなると話は違う。性格が良いだけで片付けられる事実ではない。俺からすればドMだ。

 どういう人間なんだ、この人は?

 「まぁ、入部理由は能動的とは言えないけど、入ってみてよかったとは思うよ。相談部だけの特権とかもあるしね」

 「そうか。俺もそう思えるよう精進するよ」

 しかし、良い人なのは滲み出ていて自分でも分かる。天才が故に、印象さえも計算している可能性も無きにしも非ずだが、捻くれた目で見なければ、普通に良い人なのだろう。

 「では早速、今日の部活動を初めていきましょうか」

 姫野は始まりを合図するように手を叩くと、鞄を太ももの上に置き、中を物色する。自分への入部祝いにプレゼントでも用意してくれているのか、なんてありもしない妄想をしていると、鞄の中から一冊のノートを取り出した。

 「ジャジャン!」

 タイトルのない表紙。どこでも買えるような変哲のないノート。セルフ効果音付きで取り出されても、読み取れる情報は一つもなかった。

 「それは?」

 「これは、私の経験を元に作られた心理テスト的なものが書かれたノート。まぁ、今日は春元君初回だし、自己紹介を兼ねてレクリエーションでもしようかなって」

 自己紹介というか、一方的に俺の個人情報が抜き取られるだけの気がするのだけれど。

 「もちろん私への質問タイムもちゃんと設けるよ。何でも聞いて! あっ、でもスリーサイズとかはなしだからね!」

 初対面の人間にそんな質問をするはずがないのだけれど、俺という人間は姫野にとって信用に値しない人間なのだろうか。彼女は胸の前で腕をクロスさせ、照れたように顔を赤らめて見せる。やめてくれ。

 ショックというか、普通に心外だ。

 「では、早速始めるね」

 姫野は水色のシンプルな筆箱からシャーペンを取り出した。

 「一問目。恋人に着てもらうなら、どんな服装が良い? ①ワンピース ②メイド服 ③体操服」

 何だその三択は。恋人なのにどう考えても相手は女になってしまうじゃないか。

 「まぁまぁ、心理テスト的なものだから。気軽にね」

 「気軽にか……」

 ②、③を選ぶと、どうしてか変態のレッテルを貼られそうな予感がする。これは罠だ。そのため、俺は消去法で①を選択することにした。

 「じゃあ、①で」

 「①で良いの? 面白味なくない?」

 「お、面白味……?」

 姫野は驚いたように目を丸くする。初っ端、選択肢を選んだだけなのにそんな反応されちゃ、こっちが驚きだ。

 そもそも心理テストって、正しい答えとかはないはずなんだけど。選んだ選択に対して、良いの?って。出題者が答えの発表前にコメントは、アリなのか?

 「これって心理テストだよな?」

 「心理テスト的な何かであって、心理テストではありません」

 いけしゃあしゃあと、姫野は言った。

 「罠じゃないか」

 「最初から心理テスト的なものと言ってますぅ」

 ……何じゃそりゃ。

 一問目から先の読めない心理テスト(仮)。姫野は楽しそうにノートを捲った。

 「二問目。あなたは今森の中で遭難中です」

 物騒だな。森でハイキングとかじゃダメだったのだろうか。

 「しかし、お腹が空いたので昼食を食べることにしました。何を食べますか? ①ハンバーガー ②お寿司 ③おでん」

 遭難を舐めてるような選択肢が並べられる。一見三択のように思われる選択肢だが、森に行くのに保存性の悪いお寿司はありえないので、実質二択だった。……と思ったが、汁物のおでんもTPOにそぐわないため、一択だった。

 「①のハンバーガーで」

 「ふむふむ、運動はあまり得意ではないと……」

 「どゆこと?」

 前後関係に繋がりがなさすぎる。心理テストってこんなんだっけ?

 姫野は一所懸命ノートに書き込みを入れていく。角度的にこちらからは見ることができないのだが、選択肢を選んでいるだけで何を書くことがあるのだろうか。

 「そう言えば、最近初めて大豆ミートなるものを食べてみたんだけど、凄いね。本物の肉そっくりだったよ」

 「へぇ。俺は食べたことないけど、そんなに似てるんだ」

 「そうなの。だから、逆に大豆ミートと言って、牛肉のハンバーガーを出してもバレないかもしれないね!」

 「……よくわからないけど、それは大豆ミートを食べる理由から反してないか?」

 何のための大豆ミートなんだよ。

 「ではここで一旦、質問タイムを儲けます。何か聞きたいことある?」

 先ほど言っていた質問タイムか。始まってすぐだったな。

 「じゃあ…………趣味とかある?」

 「趣味ですか」

 さして女の子と会話をする経験がこれまでの人生になかった俺は、飲み会で上司に気を遣う新人社員のような無難すぎる質問を投げた。これが合コンであれば最悪の一手目だ。

 ただ許してほしい。何をしても「~ハラ」と訴えられてしまう世の中で、初対面の女の子に聞ける質問なんて限られてるのではないだろうか? つまり、瞬間でつまらない質問を投げてしまった事実は俺の責任ではなく、こんな社会を望んだ現代人の責任ではないのだろうか。…………うん、違うな。

 すると、意外そうな顔をしてこちらを見る姫野。もしかして、そんな定型分のような質問が返ってくるとは思ってもなく面を食らったのだろうか。それとも、俺が本当に出会って間もない人間にゲスい質問をするとでも思っていたのだろうか。

 「んー、趣味は人間観察かな」

 「人間観察?」

 聞き馴染みのない単語が登場した。

 「休みの日とか、学校からの帰り道とか。色々な場所に行って人間観察をするの。ベンチとかに座りながら、あの男の人は小柄な恋人の歩幅に合わせて歩いていて優しいなぁとか、あのサラリーマンはイライラしているから道のど真ん中を肩幅広くして歩いているのかなぁとか、そうやって観察するのが趣味」

 俺はポカンとして口を半開きにする。つまらない質問すぎてボケてくれたのか?

 「しない? 人間観察?」

 「えっ? いやぁ……、しないかなぁ」

 確かに自分も時折赤の他人を観察することはあるけれど、観察目的で移動することはない。電車の待ち時間とか、たまたま目に入ってきたから結果的に観察をしてしまうだけで、意図的に行うことなんてない。もちろん、趣味なんて言えるもんじゃない。

 人生で一度として聞いたことのない人間観察を趣味として挙げる女子高校生。パンチのある趣味が飛び出してきた。やはり天才は理解し難いということなのだろうか。

 「春元君は趣味とかあるの?」

 「んー……、強いて挙げるなら読書かな。と言っても、読むのが遅いから月に三冊くらいしか読めないし、読書家を名乗れるほど難しい本は読んでいないんだけどね」

 まぁ、つまりは無趣味みたいなものだけれど。読書なんて誰でもするだろうし。

 姫野は、そっかぁ、と呟くと再びノートに書き込みを入れた。すまんな、つまらない趣味で。けど、君の趣味を聞いた後は大抵霞むだろうよ。

 「では、最後の質問です」

 「三問目なのに、もうラスト?」

 どうやら三問で決まる心理テストらしい。二十七分の一? 心理テストというか、テスト的な何かだけど。

 ただ、それだけで答えを導き出せると彼女は言った。しかし、よくわからん質問で自分を語られるのは変な感じだ。相手が姫野だから嫌な気はしないけれど。

 姫野はペンを机の上に置き、顔を上げた。優しい眼差しでこちらに目を向ける。

 慣れたと思っていたが、まだ彼女の美しい御尊顔には慣れていなかったようだ。見つめれ、俺は気づかれない程度に視線を背けてしまう。

 そして、彼女はゆっくりと口を開いた。

 「春元君は、何を見てここに来たのかな」

 「え?」

 優しい口調で、姫野はそう言った。



 他人に対して、腹を立てることはあれど。取り乱したことなんて一度もなかった。

 泰然自若。冷静沈着。重厚長大。……そんな男が自分。

 けど、別にそれは自分の精神が大人だから他人を見下しているだとか、感情の起伏が少ないだとかそういうわけではなくて。一応は嫌なことをされたら腹を立てるし、家に帰った後でちゃんと対象人物を呪う。ただ、本人の前で取り乱し怒ったり、なんてのがないだけで特別な人間ではない。

 理由は単純、面倒臭い、それに尽きる。

 確かに嫌なことをされると無性に当たりたくなる気持ちも分かる。人からの評価なんて気にせず怒鳴って、喚きたくもなる。それが人間だと思うし、それが正常だ。けれど、その時感情に任せて怒った場合のストレスの軽減と、怒った後待ち構えている面倒ごとを天秤に掛けた結果、その場は抑えるべきだと俺は考えている。たとえ相手と僕の一体一だった場合でも、本人が周りに言いふらす可能性があるわけで、そこを考慮しなければならない。

 喧嘩、口論、いじめ。所詮凡庸な高校生が戦争についてとやかく言うつもりもないけれど、対立や争いなんて続けても得はない。

 しかし、俺はやらかしてしまった。誰かを傷つけてしまった。後先のことを考えず行動した。幼い子供のように。

 ……ただ、信じられない話、あの日のことを鮮明に覚えていないのだけれど、こうして相談部に呼び出されている以上、それは事実だ。

 人は積み重ねた徳よりも一回の過ちに大きく印象を左右されるのだ。十年間のフェアプレーより、たった一回のラフプレーが印象に残ってしまうみたいに。

 危うく俺は、高校生活三分の一にして、居場所を失うところであった。ほんと何してんだか。

 沈みゆく太陽の光が、姫野のシルエットに形取られる。

 「何を言って……」

 一瞬、あの日の出来事が脳裏で再生される。本屋帰り、目の前に現れた巨大な竜。

 姫野は今、何を見た、と言ったのか? なぜ知っている?

 確か、あの竜は自分以外の人からは見えていなかった。そもそも常にスマホというカメラをポケットに突っ込んでいる世の中で、あんな存在が飛んでいたのなら映像として残っているはずで。今日までそんなニュースは流れていなかったため、俺だけが見えていた幻だと認識していた。……それなのに、どういうことだ?

 可能性としては、姫野と俺だけが見ることができる竜という線だが、それだと誰とも情報共有していない俺のことを特定したのはおかしいことに。いや、そもそも姫野は「何を」と聞いてきただけで、「竜」とは一言も言っていないし。となると、俺が幻を見たことだけを知っていて、それ以上は知らない?

 ……自分だけなら疲労が原因の幻とかで何とかなるのだが、他者が登場してしまうと一気に訳が分からなくなってしまう。頭が混乱する。

 「どうしたの? 春元君」

 俺は目をまん丸にして口を半分開いたまま。しかし、姫野はじっと目を合わせ視線を外さず、蛇のようにこちらを見る。答えるまで引かないといった気概が伺える。

 俺は何と答えるのが正しいんだ? 素直に竜を見ましたと答えれば良いのか?

 中古のハードでソフトを起動させるように、混乱した頭を高速回転させる。

 「えっと……」

 ガラガラ

 しかし、その瞬間。何者かに教室の扉が開けられ、自分たちの注意は向きを変えることとなった。

 「お疲れさまです」

 ドアが開き、二人の間に発生していた張り付いた空気が再び溶け出す。見ると、一人の女性が紙をひらひらと振りながら立っていた。

 「こんにちは、西園寺先生。どうしましたか?」

 姫野が問うと、先生はゆっくりと落ち着いた口調で答える。

 「目安箱に相談用紙が入っていたので、届けに」

 言いながら先生は手に持っていた紙を机の上に置いた。

 ただ、俺は届けられた紙よりも先生の格好に目を引っ張られていた。

 「西園寺先生……?」

 現れた教師は、教師にあるまじき華美な格好をしていた。

 膝下まである黒のワンピースにはレースやフリルが施され、胸元には大きなリボンの装飾。どこか英国を思わせるその格好は、日本の一般高校の雰囲気からはあまりにも乖離していた。いくら多様性や自由が推進されていく世の中と言えど、まだこの格好は異質と言わざるを得ない。

 彼女は俗に言うロリータファッションをしていた。

 「あなたは確か、新入部員の……」

 「春元です」

 「そうでした、春元さんですね。私は顧問を務めます、西園寺と申します」

 彼女は両手をお腹の前で揃えると、まるで本場のメイドさんのように、えらく姿勢の良い会釈をした。本場を知らないけれど。自分も合わせて軽く頭を下げる。

 「では、私はやることがありますので失礼します」

 言うと、華麗なターンを披露した後、再び教室の外に戻っていく。業務を遂行しただけで、自身の自己紹介もないらしい。ミステリアスというよりは、変な人だ。

 俺はここでようやく机の上に置かれた紙に関心がいく。

 「あんな目立つ教師がうちの高校にいたのか」

 ユニークではなく、特異という意味を含んだ、目立つ教師。しかし俺は、記憶を辿っていっても彼女がヒットしないことに首を傾げる。

 あんなにインパクトのある見た目なら一度見れば覚えていそうなものだ。校内ですれ違っていたのに、気づかなかったとか、そんなわけはない。自分が今感じている衝撃の度合い的に、初見なのかもしれないと思った。

 服装のせいで分かりづらかったが多分華奢な体躯に、腰まで伸びた真っ直ぐな黒髪。年齢以上に大人びて見える教師という肩書きにもかかわらず、彼女はとても幼く見えた。制服を纏っていれば同級生と言われても疑われないかもしれない。ただ、綺麗な人ではあった。 姫野同様に。

 「今の人は養護教諭の上田先生。うちの部の顧問を担ってくれてるの」

 「へぇ、養護教諭の上田先せ…………ん? 上田?」

 今さっき、西園寺先生って呼んでなかったか?

 「西園寺は偽名で、上田が本名」

 「偽名? どゆこと?」

 「多分だけど、お嬢様とかに憧れているんだと思う。格好もあんな感じだし。それで西園寺を名乗ってるんじゃないかな」

 いやそれ、偽名じゃん。他の職種ならまだしも、教育者なら一番アウトだろそれ。

 「私も本名を知ったのは出会ってから半年後だったよ」

 「……半年って、絶対あだ名とかじゃないじゃん」

 一応、我が校は県立高校なのだけれど、随分と自由が許されているらしい。一方の生徒には未だツーブロック禁止という古風な制限が設けられているというのに面白い事実だ。

 自分も社会に反発する学生らしく、明日から学ランにパーカーという洒落た格好で登校してみようか。咎められないんじゃないの。 少なくともあの人には。

 「ちなみにあの格好は本来アウトらしいんだけど、注意しても着てくるらしい」

 「もう無敵の人だな……」

 咎められるどころか、褒められるな。きっと。

 姫野は視線を下に落とし、西園寺先生が相談用紙と言っていた紙を手に取る。

 「それは?」

 「これは生徒用の相談用紙。これに相談事を書いて設置されたボックスに入れると、相談部の元に届けられるの。たまぁにしか来ないけどね」

 確かに図書室の前の机に箱があったような気がする。今時なんだからサイトを作ってそこに送ってもらう方が楽な気もするが、紙だからこその効果でもあるのかもしれない。


『四月の末の、ある日のことでした。その日は最後の授業が体育であったので、私達は二 時間ほど校庭に出ていたのですが、その時に事件が起きたのです。授業が無事終わり校舎 に戻って来た私。下駄箱を確認すると、あるはずの私の上履きがなくなっていたのです。 C組の人が犯人だと踏んでいるのですが、正直これはいじめだと考えています。けれども 組に恨まれるような関係の人は思い当たりませんし、かといって、一年時のクラスメイト の中にも思い当たる人はいません。今私は少々困惑しており、近々行われる小テストの勉 教にも身が入らない状況です。そこで、ここからが相談なのですが、私は最近そちらの部 室を覗かせていただいたことがありまして、その時この部を知り、相談しようと決断する に至ったわけなのですが、私はどうして上履きを隠されたのでしょうか? これからの将 来のためにも、「何でも相談部」の部員の意見を頂けると有り難いです。お返事をお待ちし ております。(二年C組 鎌取)』


 「なんか変な文章だね」

 姫野が言った。読み終えた彼女から紙を手渡され、自分も読んでみると、確かに同じような感想を抱いた。

 要約すると、それはいじめについての内容だった。

 差し出し人の鎌取という生徒は、ある日の体育の授業後上履きを隠されたため、自分がいじめを受けていると認識した。そして、最近知った相談部にいじめを受けた原因を教えてほしいとのことで、相談を送ったとのことだった。

 「変……だな」

 「だよね。一度上履きを失くしただけで、いじめ認定して相談を送ってくるテンポの良さはまだ理解できるけど、他クラスの生徒のいじめの原因を私たちに聞いてくるのはおかしいよね」

 ごもっともだ。俺はB組で姫野はA組。口ぶりから一年時も姫野と鎌取は同じクラスではないだろうし、自分も違うので、いじめの原因を聞いてくるのは甚だおかしい。それにいじめの原因は当人の人間性や性格などの内面的な部分が主なことが多いため、なおさら俺たちにわかるはずがなかった。

 そして気づいたことがもう一つ。

 「それと、最近、この部を知ったっていうのも違和感がある。相談部はこの学校の謂わば特色なわけだし、入学してすぐの部活動紹介の日を休んだとしても、学校運営によく関わる相談部は度々目にするから、俺たちと同じく一年以上在籍している鎌取が相談部を知らないのは珍しいどころの話ではない気がする」

 あと、少し文章が下手くそな気もするが、それは高校生だからで片付く話か。

 すると、姫野はぼーっとこちらを見ていた。

 「どうした?」

 「なんか生き生きしてるね、春元君」

 何だそりゃ。ただ、一文述べただけじゃないか。

 「なんか出会ってから全然表情が変わらなくて、考えてることが読みづらかったけど、今説明してた時の春元君どこか楽しそうだったから。謎解きとか結構好き?」

 嬉しそうに、美人がローアングルから覗く。可愛さすぎて、俺死にそう。

 しかし、表情が変わっていなかったのか。おそらく緊張していたからだと思うけれど、何か可愛い子の前でスカしちゃった小学生みたいで恥ずかしいな。

 「そんなことないです。というか、相談事を謎解きって、失礼っぽくないか」

 「失礼かもね! てへ」

 自分で、てへ、いうタイプか。残酷な話、他の子ならあざとい扱いされそうだけど、姫野なら何でも可愛いな。

 もう一度読み、気になるところはなかったので、姫野に紙を返す。

 「んー、いじめはどうにもできそうにないからなぁ。なんて返せば良いものやら」

 いつの間にか取り出したシャーペンをくるくる回しながら唸る姫野。俺は早速、相談部の部員仲間という自覚の下、意見を述べる。

 「とりあえず上履きがどこにいったのか考えれば良いんじゃないか?」

 「上履き? それはもう持ち替えられて捨てられてるんじゃないかな」

 姫野は首を傾げながら言った。どうやら俺とはいじめの解釈が違かったらしい。

 「捨てるってリスキーな気がする。家で捨てれば家族に見つかるかもしれないし、適当に河原とかに捨てると、大事にされる場合がある。いじめっ子は対象を嫌っているのが前提なのに、嫌いな人のために大きなリスクなんて負いたくないと思うし、ワンチャン見つかってないだけで、まだ校舎に隠されてるんじゃないのかな」

 言うと、姫野は無言で拍手を始めた。

 「良いね、その前向きな発想。私は好きよ」

 「……え、好き?」

 姫野は保護者のような優しい眼差しで、そう言った。……こりゃ、恋愛対象とかではなさそうだな。現実はそんなもんさ。

 「いじめ、と本人が言うならそうなのでしょう。でも、いじめられる原因って自分で分からないものなのかな?」

 俺はその言葉を聞いて、即座に反応した。

 「分からないよ」

 そして、即、否定を入れた。

 「そうなの」

 「人間、そう上手くできてないからな」

 ありがたいことに俺はこれまでの人生でいじめを受けたことがない。もちろん、いじめを受けていた人間を近くで見たことはあるけれど、自分が対象になったことはない。それはそれで最低かもだけれど。

 ただ、それは自分というより環境に恵まれていただけだったのかもしれない、と今になって思うことがある。

 人は一人一人違う。マイペースだったり、潔癖だったり、頭が悪かったり。それを表現する言葉がなかったとしても、自分にしかない何かがある。それは決してポジティブシンキングではなく、事実として。

 そして、人には好き嫌いや許容範囲があって、それまた人によって異なる。

 過度なスキンシップに何とも思わない人もいれば、鬱陶しいと感じる人もいて。男なのに可愛い格好が好きなことを受け付けない人だっている。

 いじめの対象となる人物の特徴は、人との違いに気が付けない人。……それか、人との違いがなく、普通すぎる人。

 言い方を変えれば、魅力を感じない人。

 「まぁ当人に原因があったとて、それがいじめの免罪符にはならないから。紛れもなく鎌取さんは被害者だと思うよ」

 自分に酔っているように、そう答えた。

 俺はふと外を見る。校庭にはサッカー部や陸上部、野球部などが場所を譲り合いながら練習していた。ザ・青春といった感じで。そして、さらに奥を見ればハンドボール部、そのさらに奥ではテニス部が、汗水垂らして部活に励んでいた。

 「春元君……」

 正直言って自分は善人ではない。夜中に外出した際、人の気配がなければ赤信号でも渡ってしまうし、大して興味のない漫画のサイン本であれば平気でネットに出品するような人間だ。何なら事件を起こした今、悪人寄りの人間かもしれないし、ここで不慮の死を遂げれば、きっと地獄で釜茹での刑に処されると思う。

 ただ、別に平和ならそれで良いじゃないか、くらいには思う。誰かのために行動することはないけれど、誰かを不幸にするような行動をわざわざ取るなんて誰も得しないんだから、くらいには思う。

 すると、姫野が考え込むような素振りを見せる。

 「春元君。実を言うといじめ等の当人に踏み込みすぎた相談は拒否する権利があるの。たとえ私たちだから打ち明けた悩みだとしても、もし間違えて傷を悪化させることになったら責任は取れないし」

 「あぁ……まぁそうか」

 確かに、普通そういった相談はスクールカウンセラーの仕事だ。横流しはダメでも、しっかり断ってそちらを勧めるのが無難であろう。それを非情だとは思わない。

 それこそ、西園寺先生の方が合っている。

 「そこでなんだけど、君はこの相談を受けたい?」

 「え、俺?」

 新人の一存で決めるのか? いきなりだな。

 姫野はどこか遠くを見ているような、得体のしれない眼差しを俺に向ける。美人のこういう瞳ほど、背筋の凍るものはないと感じた。

 「……どうしよう」

 じー

 俺を試している? 何か思惑を感じた。……まぁ、非凡な自分が考えても分かりそうにないし、ここは大人しく正直に言うのが吉か。

 「折角相談部に入部したんだしな。記念すべき相談第一号は流せないかな」

 答えるが、姫野はじっと見つめたまま。目にゴミでも入っているのだろうか。それとも、俺の目の中に小さな宇宙でも見えたのだろうか。

 「ふふ……」

 しかし数秒後、姫野は視線を逸らすと、溢れるように笑った。

 「なんか今、ちょっと部長っぽい雰囲気出てたね!」

 「えぇ……」

 試しているわけではなく。ただ、初めての部員にはしゃいでいただけだそう。えぇ……。

 「春元君。心理テスト的な何かの結果を報告するね」

 「あぁ、さっきの。 ……え、このタイミングで?」

 楽しそうな表情で、姫野は言った。

 「あなたは良い人です」

 「良い人……?」

 こういうのはもっと具体的で分析的な結果が返ってくるものでは? 何とも抽象的で簡明な結果だな。当てにならなそうな質問で、当てにならない結果が返ってきた。

 それに、入部一ヶ月とかならまだしも、出会ってからまだ数分の人間を「良い人」認定とは。姫野、意外と詐欺に騙されやすい人なのか?

 「どういう意味……?」

 「言葉のままだよ。私の一種の能力でね、もう分かっちゃったんだ。あなたが良い人だってこと」

 俺は困惑し眉根を寄せる。まるで汗を舐めると嘘をついているのかを判断ができるギャングのようではないか。……というか、能力って。結局、さっき答えた三問のテストは意味がなかったことになってない?

 すると、姫野は自分の反応なんて気にしないように、右手を差し出し握手を求める。

 「これからよろしくね、春元部員。私は君を歓迎するよ」

 「入部間もなく新人が危機を救って、周りから一気に認められる展開。初日だけど」

 俺は応じるようゆっくり手を伸ばすと、瞬間、両手で手を握られ、嬉しそうに上下に振られる。陽キャ流握手なのか、これ。

 「ごめん、今日は部活なしとか言っちゃったけど、仕事頼んでも良い?」

 ほぇ? 仕事?

 姫野は相談用紙を机の上に置くと、行の一文字目を繋ぐように横線を引いた。

 「気付いちゃったんだけど、これ。四時にC組の教室に来て、になってると思うの」

 「あっ、横読み」

 俺は再び紙を見る。

 絶妙に下手くそな文章。自分を知らない人間にいじめの原因を問うという意味の分からない相談内容。下はバラバラなのに、行の一文字目は意外と綺麗に揃っている違和感。

 逆にどうして気が付かなかったのか。今思うと不思議なまでにわざとらしい。

 「そう。そして、もう少しで四時になる。てことで、行ってきてくれないかな」

 「何が、てことで?」

 いや、新人が行くのはおかしいでしょ。

 「実はさ、春元君には対人相談を担当してもらいたくてね」

 「対人相談?」

 「相談部の相談って、大きく二つに分けることができてね。対人相談、言い方を変えるとお悩み相談かな。それと、雑用相談の二つ。今まで私しかいなかったから両方とも私がこなしていたんだけど、折角だから春元君には対人相談の方を担当してもらおうと考えていたの」

 「だとしても急でしょうよ。そんな、ちょうどお客来たから、レジやってみようかみたいなノリで……」

 「大丈夫! 今少し話してみて、君が良い人なのは分かってるから!」

 もうしわけないけれど、出会って数分の人間から下された良い人なんて評価は、そもそも俺の中で判断材料に入っていない。むしろ、母親が童子を大袈裟に褒めて肯定感を植え付ける手法と似ていてマイナスなくらいだ。

 てか、分かってるからって、脅迫みたいな言い方やめて。

 「それに、いじめの相談って案外異性の方が適任なのよ。どうかな?」

 「……うっ」

 姫野はぐいっと顔を近づける。たじろぐ俺を、今回はあざと可愛い眼差しで見つめる。

 卑怯だ。分かっていたけど、姫野は自分の可愛さを弁えているタイプだ。

 「…………いやいや、いくら何でもおかしいって。今さっき部員になったばかりの人間が、一人で生徒のお悩み相談なんて」

 「新入社員が率先して電話を取るアレと同じよ。可愛い子は崖から落とすってね」

 なんか、混ざってるし。それに新入社員が電話を取るのだって俺は反対派なんだ。働いたことないけれど、働いたら意義を唱えるつもりだ。

 「相談って言ったって、今日解決しなければならないわけじゃないんだから。初日は挨拶だけみたいな感じだよ」

 オリエンテーションかと思いきやレクリーションだけと告げられ、今仕事を受けるのか迫られている状況に立たされている自分が、挨拶だけという言葉をどう信じれば良いのだろうか。

 先の関係のためにもはっきりさせておきたいのだが、俺はちょろい人間ではないぞ。

 「……さすがに今日は姫野に任せて帰るよ。初日なんだし、それくらいは許してく……」


 その時だった。

 一瞬、俯いた姫野の表情が、曇ったように感じた。

 完璧超人。誰に対しても平等に優しく、誰に対しても平等に微笑む。

 そんな彼女の表情筋が、一瞬、ひくついた気がした。

 気のせいか?


 「……?」

 「大丈夫! 君には素質がある!」

 「今度は素質ですか」

 「少なくとも私より素質がある! 適任とは今この時のために生まれた言葉だよ!」

 良い人で、さらに悩み相談の素質がある新入部員。……胡散臭さが増したな。どんな人物なんだ、春元という高校二年生は。大型新人じゃないか。

 「……確かにそうだよね。何もないんじゃ、やる気にならないよね」

 言って、姫野は腕組みして考え込んだ。

 なんだ? 次は何か報酬でも用意するつもりか?

 「うーん。お金のかかる報酬は良くないよね。学生なんだし。そもそもお金で人を動かす姿を生徒会長たる私が生徒に見せてはいけないよね」

 生徒会のトップ。生徒を束ねる長。姫野は生徒会長でもあった。

 もちろん、この学校には生徒会は存在せず、相談部がその役割を担っているのだが、一応生徒会長という役職、肩書は存在していた。もしかすると元々生徒会と相談部は別々に存在していたが、希望者の低下が二つの組織を合体させ、生徒会長、それに雑用相談は、そういった流れの名残であったのかもしれない、と自分は勝手に納得していた。そう考えると一層、一人で切り盛りしていた姫野はモンスターで、一人に頼り切りの学校サイドは異常だと思った。

 ただ、お金をかけることは許されないとなるとなると、何を差し出すつもりなのだろうか。俺は正直、今日はちょっと会話して、お暇する気満々だったのだけれど。

 すると、姫野は目を大きく開けると、力強く宣言した。

 「わかった。もし相談を引き受けてくれたのなら、私を一日お貸ししましょう!」

 「ウェっ⁉︎」

 不意な宣言に、俺は素っ頓狂な声を漏らしてしまう。

 「……なんて、仕事で忙しい両親を持つ子供じゃないんだから。こんなんでやる気になるわけないよね。一日貸すって言ったって、勉強教えるくらいしか……」

 「行きます! 相談に行ってきます部長!」

 別人とチェンジしたかのように、俺は快諾した。

 「え? 行ってくれるの?」

 「やっぱり初日だからって甘えるのは良くないと思って!」

 息を吐くように嘘をついた。まるで別人と入れ替わったかのように。

 こりゃずるい。その条件はほぼチートだろうに。けど、ありがとう。

 「ありがとう、春元君!」

 姫野は再び俺の両手を掴み、感謝の言葉を述べながら先程より大きく腕を振った。これは彼女の癖なのだろうか。過度なスキンシップはモテない男を勘違いの地獄に突き落とす恐れがあるので、今後はやめてほしい限りだ。

 俺は大型新人として、堂々とした面構えで鞄を拾い上げる。姫野は気を遣ってドアを開けて見送ってくれる。

 「今日は挨拶だけでも良いから!」

 姫野は、気軽に気軽に、と言いながら肩をポンポンと叩いた。

 ……いや、気軽にって、お悩み相談なんだから真摯に向き合わなければ失礼だろうに。

 もしや姫野、実は適当な人間なのか?と思ったが、それはそれで結局萌ゆることに気が付く。

 まぁ、とりあえず俺は、脳の一番大事な部分に姫野との約束内容を書き込み、無事入部の挨拶を終えることとなった。

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