〜エピローグ〜b史
森の中の一本道を、作戦目標である歩兵大隊が進んでいた。右手に槍を、左手には盾を。腰に剣を帯び、革の鎧を装備している。歩兵部隊の標準武装だ。その集団を木陰に身を隠したまま、歩兵大隊の人数を数えているのは、黒緑のマントにフードを被ったもの達だ。
敵は、3中隊、約30人大隊といったところだろうか。
そして彼らは、傭兵団であり請け負った最初の仕事だから、華々しく飾りたいと思ってるところだ。彼らはこれから始まる戦闘を思って、気分が高揚した。小さく深呼吸し、小さく笑ってから、ハンドサインでカウントした。
小柄の少年が最後の指を折ったと同時に、隣にる少女が光属性の魔法を大隊に向けて放った。この世界において、攻撃魔法は火力が低く、街の喧嘩では使えても戦争では使えないというのが一般常識。よって、魔法使いは治療班としてしか出世できないでいた。少女の魔法にも、火力など期待できない。
唐突に光の玉が出現したので、敵の大隊は動きを止めて警戒した。そして、光の玉が目映い閃光を放って弾け飛んだ。
「さぁ諸君。僕たちが街にまった初戦だ。甘美な血と殺戮を望もうじゃないか。じゃあ行こうか!」
「Yesボス!」
少年が叫び、仲間たちが森から道へと飛び出す。敵大隊の前列は槍を落とし、自分の目を押さえて呻いている。
「これくらい予想しなくて戦争なんて勝ち目ないんじゃないかい!?」
少年は木の上から飛び降りる。風で、フードが脱げ
「敵だ! 対応しろ! 敵だ!」
大隊後方で、目が眩まなかった者が叫んだ。もう、遅いよと少年が呟くと同時に、大隊の中央の人間が吹き飛ぶ。
「.俺を楽しませろッ!!」
中心には、男がおり黒色の仮面をしている人間だ。
手足には炎を纏っている。
「うわァァァ!」
「おい、お前ら散らばり敵兵を確認しろ!!」
「隊長、敵兵が確認できません!!!」
「なに!?」
「うそだろぉ!俺の手が腐ってる!?」
「助けてくれぇ!!俺は足がないんだ!!」
敵兵は、混乱し統率が取れなくなり数秒で地獄絵図となった。
「あはは、もっと狂って踊ろうよ!ねぇ敵兵さん名前は?」
「うっ.......。助けてくれぇ」
「確かに、痛いのは嫌だもんねー。ほら治してあげる〜」
「うわぁあああああ!」
「あ、ごめんなさいね〜。間違えて両足に化粧つけちゃった。」
「おの.......」
倒れている敵兵はシルクハット少女を睨むが上から降ってきた男に頭を踏み潰され絶命した。
「おーいナーヤ遊ぶのはいいけどちゃんと仕事しろよー?」
「もう、アインせっかくのショウを邪魔しないでよね〜」
「はいはい、なら仕事しろよー」
そういい、アインという男は消えていった。
「準備運動も出来たし、みんなにショウを見てもらわなきゃ。どんな歓声がきこえるんだろ!楽しみだな〜 」
後に残ったシルクハットの少女も煙と共に消えていなくなった。この場には痛みに喘ぐことしか出来ない敵兵と死の匂が充満していた。