ドワーフちゃんは缶コーヒーの缶を再利用する事にした。
「あのっ、すみません! 勇者様、その缶コーヒーの缶貰っていいですか?」
「おお? おお、いいよ。いっぱいあるけど」
「あるだけ下さい。お願いします!」
「いいよいいよ、あげるよ。なんなら、これから飲んだ缶全部あげちゃう」
「ありがとうございます」
「いやぁ、ゴミどうしようか迷ってたんだよね。貰ってくれてありがとう」
勇者様はそう言って空中に複雑な魔法陣を書いた。
私の前にたくさんの汚れた缶が出現する。
勇者様が缶詰めになったジュースが好きで、中でもコーヒーが好きだという事は知っていた。
そして、勇者様が元の世界の物として召喚した缶コーヒーは、中身を飲んだら缶はいらないものだという事に気づいたのだ。
何故それらに気づいたかというと、勇者様がいつも缶コーヒーを飲む時、ウチの鍛冶屋から見える広場のベンチに座るからだ。
いつもコーヒーを飲んでから首を傾げて困ったように缶を見ている。
それから、空間収納にでも収納したのか手から缶が消えていたからだ。
少し前、異世界から人間の少年の姿の勇者様がこの街に現れた。
そしてこの街の周辺で魔物を倒し始めてから治安が良くなった。
……本当に感謝している。
いつも魔物討伐をした後に広場でくつろいでいる勇者様を見て、私は陰で拝んだりしていた。
……そして思ったのだ。
私も勇者様のように何か人の為になることをしたい、って。
と言っても私はただの鍛冶屋をやってるドワーフだ。武力もないし、攻撃魔法も撃てない。
でも、何かできる事は……。
そこで思いついたのが、勇者様が缶コーヒーを飲んだ後の缶だ。
私は目の前のせっせと洗浄した後の、勇者様から貰った缶コーヒーの缶を見た。
思った通り。
缶は、勇者様の魔力を帯びているどころか『勇者様の魔力によって生み出された金属』だった。
召喚している、と言っても元の世界から盗んでいるのではなく、勇者様のイメージで缶コーヒーを作り出しているのだろう。
私は火と風と水の魔法を唱えながら、缶の金属を加工し始めた。
………缶の金属から作り出した武具が想像以上に評判が良く、売れに売れた。
勇者様にはもちろん儲かった分のお金を渡した。
勇者様には半分のお金を返されたので、私は鍛冶屋の設備投資をした。
そして、缶の金属を使った満足の出来の武具を勇者様にプレゼントした。
勇者様が、その武具を使って魔王討伐まで成し遂げたのはそう遠くない未来の話。
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