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学校一の美少女は学校一嫌いな奴だった  作者: 夏斗輝明
第一章:『3年1組』
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第七話:天からの差し入れ


(あたま痛いな・・)


 晴輝は合宿2日目の授業を受けていた。


 昨日は結局、お酒を飲んだけど、350mlの缶チューハイ2本で気持ち悪くなってそのまま寝てしまった。

他の奴らは4本ほど飲んでいたらしく、自分はお酒が弱い方なのだと思い知らされた。二日酔いというものなのか、朝から後頭部の辺りに鈍痛が続いているため、午前の授業はあまり集中できなかった


 密かに心配していた先生の見回りは、あれだけ騒いでいても来なかったため、ただの噂だったことにほっとしていた。未成年の集団飲酒なんか、謹慎どころか退学ものだ。ここで退学なんかたまったものじゃない。


(もう酒なんか飲まない)


 2日目の夜はみんな飲酒をやめて、最終日に行われる『合宿終了試験』に向けて自己学習をしていた。

この試験は最終日の午前の授業の後に行われ、5教科のテストが全て60点以上を超えないと、合宿所を出る時間の18時まで帰ることはできない。タイムリミットになった場合は、莫大の量の課題が与えられてしまう。(合格した者から帰宅が許される)


「みんな頑張ってるよな」

「そうだな」


昨日、飲酒して大騒ぎしていた奴らとは思えない。一言も話さずに明日のテストに向けて勉強をしている様を見て伊織と感心していた。


「てか、お前はもっと頑張らないと受からないだろ、伊織。俺は受かったらすぐ帰るからな?」

「冷たいなー。俺は受かるんだよ。しっかり勉強してるから」


本当かよと思いつつも伊織は本当に今までのテストも何とかしてきていて、一応赤点は取ったことがない。


 そんな伊織が思い出したように急に雑談を始めた。

「そういや昨日さ、晴が来る前にみんなで恋バナしてたんだ」


「へぇー」とそっけなく返し、カリカリとペンを走らせる。


「そしたら、やっぱり一番人気は岡村さんだったよ」


あと一行で三角関数の問題が解けそうなところで、ペンと思考が止まる。

「・・まあ、そうだろうな」と返すが、昨日のことを思い出し、伊織の話すことに耳を傾ける。


「でも岡村さんて『なんか男子に冷たいよな』てなったんだよ。まあこれ以上、話は膨らまなかったけどな。喋ったことあるやつも少ないし。席が隣の晴なら話した事ある?」


 少し返事に困ったが、「俺もないな」と返した。


確かに冷たいけれど、昨日のあいつはしょうもないことで笑っていて、普通の女の子のように見えた。でも、学校の時はあからさまに人(特に男子)と話すことが少ないのも事実。基本的に伊藤と岡島くらいとしか一緒にいない。


昨日のコンビニ帰りと学校での彼女を比べた。


「確かにちょっと冷たい気もする。てか、そんなこといいから勉強しようぜ」



 勉強合宿最終日。晴輝は誰もいない静かなエントランスの椅子に腰掛けていた。


 晴輝は昨日伊織に宣言した通り、1発で合宿終了試験を合格した。


 しかし、予報では晴れだった天気も一回目の試験が終わったのと同時に雨が降り始めた。まるでまだ『お前はまだ帰ってはならない』と天から言われているようだった。


 今回の合宿参加者はゴールデンウィークということもあってか、親に送迎をしてもらっている人が多いらしく、一緒に1回目で受かった人たちの姿はもうどこにもなかった。


 スマホで雨雲レーダーを確認すると、あと2時間弱で雨が止むらしい。


「今バイクで帰ったら俺、散るの確定じゃん」

自分の不運を想像し、フッと鼻で笑う。


「なに一人で笑ってるの?」


 いきなり前の方から人に声をかけられた。だが、この声は『あいつ』だとすぐに分かった。

 岡村玲奈は座っている晴輝を見下ろすように立っていた。


「別になんでもないよ」

「ふーん。あれ、いつも一緒にいる小谷君は?」

そう言いながら岡村は、空いている隣の席に座ってきた。


(何しにきたんだろう)


「あいつは馬鹿だから何回もテスト受けてるよ。岡村は?」

「終わったからここにいるんでしょ。あんなテスト、簡単でしょ」

「簡単て、何点だったんだ?」


 自分の点数を思い出すためだろう、指を折りながら数えていた。その姿が大人っぽい見た目に反して少し子供っぽく見えた。


「えっとね、国語が62点、数学が69点、英語と理科が61点で社会が64点かな?」

「数学以外、ギリギリじゃん」


 そう言われ明らかに不服そうな顔をして岡村が反論してくる。


「受かれば何点でもいいじゃん。そういう一ノ瀬は何点だったわけ?」

「全部80点はあったかな」

「え、そんな頭良かったの?一ノ瀬って暗いし、髪長いのに頭良いとかやっぱ陰キャじゃん」


昨日から陰キャ、陰キャと散々言われてるが、不思議とそこまで気分は悪くなかった。


「頭良いのは別に良いだろ。家に居ても暇だから毎日勉強してただけ。陰キャ舐めんなよ」

「うわー何そのドヤ顔。ウケる」


またコンビニの時に見せた笑顔で笑いかけられる。自分の心拍数が上がっていくのが左胸を中心に全身で感じる。


「また人の顔じっと見てる。どうしたの?」

「いや、別に」


また恥ずかしさで伏目になってしまう。


「あ、ママ来たみたいだから帰るね。バイクで帰るんだよね?気をつけて帰りなよ」

母親からメールがきたのだろう。スマホを確認してから立ち上がり、玄関に歩いて行く。


「おう、じゃあな」


 母親が来る間の暇つぶしに、自分は話し相手に選ばれたんだろう。いつも学校では男子への当たりが強いあの岡村玲奈が、一昨日に続いて今日もこんな自分と話をしてくれた。


 どこか優越感に浸る気持ちを持ちながら、車に乗り込んでいく彼女を見送った。

 


 終了試験で間違えたところの復習をしていたら、予想よりも早くに雨が上がっていた。

 また1時間ほどかけて帰るのは少し気分が下がるが、自分の愛車に跨り目的地の家を目指す。


 家に着くのと同時くらいに伊織からメールが入った。


『流石にもう帰ったよな?時間ギリギリだけど、俺も受かったぜ!やっぱ俺はやる時はやる男だわ。じゃあまた来週、学校で!』


元気だなーと呆れる。しっかり合格してくるのは、やはり伊織と言ったところである。


『はいはい、おめでとうさん。また来週』


 晴輝にとってこの合宿は、大人数と共にいつも以上に勉強時間が増えるだけのものと考えていた。だが、勉強以外で学んだことも多かったように思える。岡村との一件や、メンズとの飲酒を通しての交流もあった(本当はダメだけど)。

今まで見てきたものとまた違って、楽しかった気がする。


しかし、伊織のメールを見るとその楽しい2泊3日の勉強合宿が終わったことを改めて実感した。


いかがだったでしょうか。これで第一章:『3年1組』は終了となります。

第二章もできるだけ早く、投稿していきたいと思います。

これからも新米なろう作家『夏斗輝明』をよろしくお願い致します。

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