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学校一の美少女は学校一嫌いな奴だった  作者: 夏斗輝明
第一章:『3年1組』
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第一話:唯一の友達

この作品が私にとっての作家デビュー作品となります。温かい目で読んで頂けると幸いです。

『は?無理なんだけど。』




 彼は不機嫌そうに目を覚まし、自分の部屋の天井を見つめる。




(久々に見たなこの夢。)



「晴輝〜、早く起きなさいよー。もう7時すぎてるわよー」

1階から母の大きな声で登校時間のギリギリに自分が目を覚ましたことに気づく。



 彼の名は一ノ瀬晴輝。兵庫県に住んでおり、兵庫県立北神高校に通う普通の高校生である。



晴輝にはこれといった特技があるわけでもなく、それなりに人生を生きている凡人である。

凡人とは普通の人のことを指すが、高校では凡人ではない。



どの学校でもスクールカーストは存在する。俺はその最下層に位置している。別にいじめられている訳でもなく、あんな奴いたっけ?と卒業式に思われるタイプである。


別にそれが嫌だとか、今から変えようとは思わない。


自分のような人間など世の中にはたくさん存在する。身長も170センチ前半で、髪の毛もワックスなどつけたことはない。

少し長い髪が鬱陶しくなるが、散髪代もかかるため、親に散髪代をもらえるまであまり切りには行かない。





 晴輝は寝癖のついたその髪を掻きながら一階の洗面台へと向かう。現在は4月上旬のため、まだ寒い。流水で顔を洗うが気温と水の冷たさで、寝ていた身体が一気に覚醒する。


 「おはよう。朝飯、今日もおにぎりにしてくれない?」


 晴輝の朝食はある程度、メニューは決まっている。基本的には、ソーセージ3本にだし巻きが3切れと白米である。晴輝が遅刻しそうになると、これらを母におにぎりにしてもらい、学校で食べるのだ。



 「それはいいけど、あんた本当に自分で起きれるようになりなさいよ。今日からあんたも3年生なんだから」

 「わかってるよ」




 晴輝は今日から高校3年生である。この年齢になると、誰しもが直面する問題がある。『受験』である。

中には就職する人もいるが、晴輝はそれといった就きたい職業も今のところはない。


大学までは出ておけとの父親の教育方針もあり、受験と言う大きな課題にこの一年間、取り組まなくてはならない。


 晴輝が北神高校の制服に袖を通し、母が握ったおにぎりを手に取った時だった。


 晴輝の携帯から木琴で弾かれた着信を知らせるメロディーが流れてきた。スマートフォンの液晶には『小谷 伊織』と表示されている。



「なんだよ、伊織」

『おはよう!俺がこの時間に晴に電話するってことは、内容は分かってんだろ相棒」


朝とは思えないほど元気な声で伊織は電話をかけてきた。

なぜ電話してきたのか、晴輝はわかっていた。


「なんですかそれ、分かりません」

『おいひどいぞー。俺を見捨てるなよ。じゃあ、今日は500円でどうだ?』

「無理。今日はそれプラス、昼飯」

『分かった!いつもの唐揚げ丼温玉抜きの大盛り奢るから頼む!』


晴輝はため息をついた後続けた。


「今から準備するから、15分後に行く。」


伊織が『了解』と言い終わる前に、電話を切り玄関の鍵を取った。

「行ってきまーす」

家を出た後すぐに、庭のガレージへと向かい、鍵を開ける。

「久々だな、これに乗るの。」



8時10分に伊織の家に到着した。伊織の家は木造の家で、曽祖父がある金融の取締役をしていたため、土地や家はかなり大きい。そのため、伊織の家は住宅街の中にあるにも関わらず、目立つため見つけやすい。



 インターホンを押す直前で伊織が玄関から出てきた。


 小谷伊織は満面の笑みで近づいてくる。


 伊織は晴輝と幼稚園からの幼馴染で今も同じ高校に通っている。



こいつは俺と違ってある程度モテる。社交的で誰にでも元気に振る舞える。身長も180センチ近くあり、髪の毛も毎日セットしてきている。まさに俺と対照的の存在である。



しかし、小さな頃から俺とずっと一緒にいてくれた唯一の友達である。俺にはこいつの存在が大きい。




「おはよう、晴。毎度悪いなー」

「思ってないだろお前。まあいいや、さっさといくぞ」

「そうだな。それにしても晴のバイクはかっこいいな。ゼファーだっけ」


 晴輝は自分のバイクで伊織を迎えにきた。父親がバイク好きのため、幼い頃から晴輝もバイクが好きであった。



 晴輝のバイクは今では旧車の部類に入り、現在では当時の新車販売価格の倍は下らないほどの代物である、2000年式のゼファー400である。



 伊織が遅刻しそうな時は雨や雪の日を除き、バイクで一緒に登校している。もちろん、高校にはバイクを止められないため、近くの駐輪場に止めている。



「まあ俺の単車だからな。さぁ、いくぞー」



 ————————————————————————————————————————



20分ほどバイクを走らせると晴輝と伊織は駅近くにバイクを止めて徒歩で学校へと向かった。




「なあ、晴。今日クラス替えだけどさ、誰とクラスになりたいとかある?まあ、俺は確定だろうけど」

「なんでお前が確定なんだよ」

「幼馴染みだからに決まってんだろ。で、誰なんだよ。やっぱり岡村さんか?かわいいもんな。てか、岡村さんのグループ、可愛い子多すぎるよな。」


(岡村・・・)


岡村玲奈。その名は晴輝の学年では知らない者はいないほど有名人であった。


彼女は容姿端麗であった。


この四字熟語は彼女のためにあるのではないかと、入学当時は言われていた。


 噂では、何度もモデルやら女優などのスカウトを受けたことがあるらしい。長い髪はいつも巻いてきており、メイクもばっちりしてきている。

 制服の胸元から少しだけ見えるネックレスが余計に男子を魅了する。晴輝も岡村をかわいいと思っていた1人であった。


 しかし、今の晴輝にとってはかわいいと思うどころか、嫌いとまで思う存在になっていた。



いかがだったでしょうか。様々な意見を頂戴したいと思うので、どんなことでも良いのでメッセージを頂けると嬉しいです。

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