表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ステータス・NULL  作者: 般若湯
見知らぬ世界
9/9

狩り

 森の中をマイスマと二人で抜き足差し足で進んでいく。整備なんて全く行われておらず。果てしなく歩きづらい。音を立てずに歩くというのは結構筋肉を使う物で、野生動物がどれだけ筋骨隆々なのかが分かる。

 が、彼らほどではないが、今は体が軽い。音を立てず遅れることなくマイスマに付いて行く。


 狩りとはいっても、別に大剣振り回して、身の丈の何倍もある化け物を狩るわけではない。そもそも、そんなでかいのを狩っても管理しきれない。大半を腐らすことだろう。


 やることは、罠を仕掛けてかかるのを待ち武技や魔法でとどめを刺すらしい。で、その罠は俺がでかい鞄に仕舞って運んでいる。

 俺の体格でも、登山リュックみたくなっているのに、よくマイスマが使えるな。


 そして肝心の罠だが、トラばさみや煙で燻したり、毒を含んだ餌を置いたり、殺意高めものばかり。もっと檻とかないのかと思ったが、獣を捕らえれるだけの耐久性がないそうだ。今俺たちが狙ってるのって小動物だよな?


 マイスマの指示に従って罠を設置していく。小動物が通るであろう獣道に罠を置き、警戒されないよう土草をかけて匂いと見た目をごまかす。


 後は、罠にかかるのを待つ。俺とマイスマは罠が作動したのを確認したら、すぐに行動に起こせるように腰を浮かせ無言で休んでいる。


 #NULL!


 十分ほどして罠の一つが、ガチャンと動いた音がした。それを聞いて罠のほうへ向かう。

 

 罠には、腹に深々とトラばさみが腹に刺さった、濃い緑色の布を纏う……狸? みたいな動物がいた。

 狸はトラばさみを外そうとじたばたと暴れるが、刃はより深く刺さるばかり。すると、狸が燃え始めた。

 別に、トラばさみにあんな機能はないはずだ。だとするならあの狸自身の魔法だろうか。なんだかんだ魔法を見るのは初めてかもしれない。マイスマは、あまり魔法を使いたがらないし、魔法的な道具は小屋に幾つかあったが、目に見えるほど派手なものはなかった。


 不思議と、狸が出した炎で布が燃えることはない。そりゃ自分の魔法で自爆しないだろと思うだろうが、そうでもないようだった。

 燃えないのは布だけであって、鉄でできているトラばさみはそうはいかない。魔法の特性か、あっという間に熱され、傷口から香ばしい匂いがしてきた。


「ミキくん、とどめを刺してくれる」

「了解」


 俺は習いたての武技を使う。マイスマから借りたナイフを取り出し構える。ナイフを持つ右手に閃光が走り、体が俺の意思を離れナイフを投擲する。ここで抵抗すると、筋肉を傷めるので大人しく投げてもらう。

  

 武技にもまた種類があるらしく、簡単に言うとオートマとマニュアルだ。オートマは今俺が行ったように、初めから決まっているテンプレートに沿って体が動く。が、どうにもこの操られている感が苦手だった。何というかハラハラする。オートマは、テンプレート則っている分高威力を誇るが、キャンセルが効かない。つまり、回避されれば敵前で硬直することになる。

 そして、マニュアルの方だが、武技の始まりから終わりまで自分で作ることができる。こちらは、途中で終わることはできるが、即興で行う分威力が低い。そしてなりより、この即興ってのが難しい。

 残念ながら戦闘慣れのしていない自分はまだ、オートマしかできない。


 が、今はこれで十分だろう。ナイフは経験のない俺でも真っ直ぐに飛んでいく。閃光を纏ったナイフは狸の腹に深々と刺さり、ふっと、炎が消える。

 息絶えたのだろう。次の獲物が掛かる前にさっさともって帰り、解体して血抜きをしなければならない。


 #NULL!


 狸が纏う布、基毛皮を剥ぐ。

 そう、毛皮なのだ。いったいどういう仕組みなのか、ある程度成長したこの狸……名はクロスというらしい、似合わぬカッコよさがある……で、狸は自然と毛が編み込まれ天然の布になるらしい。

 ちなみに今俺たちが来ている服も、こいつの素材だ耐火性能が抜群らしい。


 で、狸を干したころ、また罠が作動する音が聞こえた。もしかしてこの音も魔法なのだろうか? 音を反響させる的な。後でマイスマに聞こう。


 罠のほうへと向かうと。杭を起点にくるくると棘が振り回されている。危ないことこの上ないが、残念ながら獲物達は回避したらしく。棘を追いかけまわしている。


 獲物達ということから分かるように、対象は複数だ。一言でいうならキウイだろうか、果物のではなく鳥の。キウイは物凄い速さで回る棘を追う。それこそ幹や枝すら足場して縦横無尽に。うっすらと閃光を纏ってるし武技を使っているのだろう。それもマニュアルの。


 珍妙な生き物だが何というか、あまり頭がいいように感じない。同じ動きをする棘相手に誰も待ち伏せをしない。群れで生きる動物としてそれでいいのか?


 しかし、あれだけ速く動かれ、尚且つ群れとなるとなすすべがない。


「どうする、マイスマ。あれは俺だとどうしようもないぞ」

「そうね、あれはしょうがないし魔法で一気にやりましょう」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ