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ステータス・NULL  作者: 般若湯
見知らぬ世界
1/9

ある日

 普通な人間。なんて投げやりな自己紹介はするつもりはないけれど。

平均よりはほんの少し身長が高くて、得意不得意な教科があって、好き嫌いが多い……。そんなわざわざ時間をかけてまで言うようなこともない、いわゆる没個性的な人間だった。

 だがそんな普通も没個性も過去な話だ。


#NULL!


 いつものように、リビングで動画サイト片手にパソコンを触る。最近やっと飲めるようになったお酒を片手に、たまった1週間分の課題を片付けていく。

 きっとどこか誤字脱字をしているが、評価なんて気にせず提出して満足。中学高校ほど学問に身が入らない。が、まあそれが学歴主義の日本の大学生だろう。


 アルコールが回り眠気が襲い掛かってくる。

 両手を上げ背筋を伸ばすと、肩と腰の骨が鳴る。成人したばかりだと言うのに、体が衰えだしたような気がする。最近は季節の変わり目で必ず風邪をひくし。

 ただの自堕落な大学生活とアルコールのせいかもしれないが。


 伸びた後に背もたれにもたれかかる……。かかろうとした。

 

「ちょ、な!」


 体が後ろに倒れて変な声が出る。手と足を前に伸ばし机へ掴まろうとするが幾つかの小物つかむだけに終わった。

 目の前にあったはずの机もパソコンもない。


 そして、不細工に空いた口に“何か”が入ってくる。慌てて吐き出そうとした瞬間、ドンッと背中を打ち付けた。


「カハッ」


 肺の空気が出ていき代わりに“何か”が肺を満たす。溺れている様な錯覚を覚えるが、周りに液体はなく、水じゃないなら毒ガスか何かか。

 声も出ず、意味もなく手を伸ばし助けを乞う。掴める物は草や土だけで、暴れれば気にぶつかる。

 嫌悪感が限界に達し、嘔吐する。胃に入っていたのはアルコールくらいで、吐き出されたアルコールが地面に染み込んでいく。

 そしてそのままプツンと意識を手放す。


#NULL!



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