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旅立ち

 初魔法の衝撃にみっともなくひっくり返った後、魔法について私なりに色々研究してみた。


 どうやら本に描かれている魔方陣を頭の中で強く想像するだけで良いらしい。

 屋敷の裏庭で他の魔法を使ってみたが、今のところ使えない魔法には出会っていない。難しくてイメージしきれないものもあったが………。


 しかし、引っ越しがあるので魔法の研究は早々に切り上げ、荷物を纏める作業に取りかかった。

 魔女の肉体のお陰か、まったく疲れない体に感動する。まあそれでも、夕暮れまで支度は終わらなかったが。


 引っ越しは明日にすることにして、本日は休むことにした。夜の森はさすがに怖い。

 そうなると途端にお腹が空いてきた。そういえば今日は何も口にしていない。

 台所にあった野菜類を適当にサラダにして食べた。ガラス製の食器は置いていくことにしたので、今日でお別れだ。今日しか使ってないが。


「なんか、勝手に他人の家で暮らしてる気分…」


 いや気分というか、広義ではその通りなのだが。罪悪感より空腹感が勝っていた。

 荒々しい野菜の味がここが現代日本とは異なる場所であることの証左のように感じる。そんなことを考えながらサラダを食べていた。


 食事を終えた私は目覚めた部屋まで戻った。ベッドに転がり目を閉じる。


(目が覚めてもこの世界であって欲しい…)


 そんな願いの中で私は寝落ちた。







 黄色の魔方陣がゆっくりと地面に降りる。地面に張り付いた魔方陣が一瞬、一際強く輝いた後、地面から石像が()()()()()


 ヒトガタの石像は全長2mほどある。女性にしては長身の(ヴェヌメア)でも首を上に向けざるを得ない。

 緊張の一瞬だった。緊張ゆえに目を外せない。汗が左頬を流れていった。震える唇で言葉を紡ぐ。


「…りょ、両手を上に挙げなさい」


ゴゴゴ


 鈍い音と共に肩関節に当たる部分が挙動した。両腕が真っ直ぐと天を突く。


「ほっ…」


 安堵のため息に緊張が漏れ出た気がした。


 今使ったのは『ゴーレムメイキング』という魔法だ。大きな土人形を造り出す魔法であり、簡単な命令ならできる。

 「アスアド」では臨時盾役(タンク)として使える魔法として重宝されていたが、現実なら荷物持ちに使えるかもしれない。


「よいっしょ………」


 優に100kgを越えるであろう大きなリュックサック(中身は全て魔法書)を簡単に持ち上げ、ゴーレムの肩にかける。

 ゴーレムは一瞬後ろに傾いたが、何とか耐えた。

 ゴーレムにはバランスを保つ機能などないだろう。よろければ必ず転ける。


「ヒヤッとしたぁ」


 何はともあれ、これで引っ越しの算段がついたのだった。早速森に入ることにしよう。


 

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