時間は止まらない
BBAの町子こと、マチ。公務員のエリ。JKのサキ。三人は、それぞれが、隣り合った、それなりに豪華な部屋に通された。おそらく客室なのだろう。
「ここは、三間続きとなっております。真ん中の部屋から、隣合った部屋へと続く中扉が、あります」
と、案内してくれた、有能侍女のカリーナは言った。
「じゃあ、私、真ん中の部屋でいいわ。若い娘さんたちは、プライバシーを気にするでしょうし、用があったときに、いちいち王宮の廊下なんて、通るの面倒でしょ?その点、私なんかこの歳だし、恥ずかしいものもなんもないわー」
と、齢五十歳の町子が提案した。
サキとエリは、顔を見合わせたが、
「マチねーさんが、それでいいなら……」
「すみません。では、そういうことでよろしくお願いします」
と、いうことで、落ち着いたのであった。
「では、夕食は、マチ様のお部屋に、のちほどまとめてお持ちしてよろしいでしょうか?」
と、カリーナ。
「それでいいわ。夕食は、何時くらい」
「18時では、いかがでしょうか?」
町子は、反射的に腕時計をチラッと見た。
「……カリーナさん、ちなみに、いま何時くらい?」
「もうすぐ、16時になるところですが?」
「15時55分…私の腕時計でも、そうなってるわ…」
「あっ、アタシの時計も!」
と、サキ。
「ええ、私の時計も、同じですわ」
と、エリ。
「時間は同調してるってことね、ふぅん……」
と、町子。
「あの……。何か問題がございますか?」
と、カリーナが聞いてきたが、
「まあ、いまはどう考えていいかわからない問題だから、カリーナさんは、気にしないで。夕食は、18時ね。それまで、私たちは、ゆっくり休みましょう。なんか、いろいろあって、さすがに疲れたわ……」
「そうっスね」
「そうしましょうか」
サキとエリも同調し、三人は、それぞれの部屋へと入ったのであった。
町子は、部屋に入ってすぐ、ベッドに横になりたい誘惑にかられたが、まずは、トイレとお風呂のチェックだった。
トイレとお風呂は、幸い別々だった。
安いビジネスホテルのように、水回りが全部一緒だったらどうしようと思っていたので、安心した。
お風呂は、バスタブにシャワーという、ありきたりだったが、トイレは、どうみても、現代日本並みのクオリティの洋式便座であった。しかも、ウォシュレットまでついている。
「電気が、通ってるって、ことよねぇ?それにしても、これ……ボタンの説明のところも日本語だし、どうなっているのかしら……後で要確認ねっ!」
とりあえず、そこで用など足してから、町子は、部屋の中の、ソファに、ぐでっと座った。
「はー、しんどい……」
まったく、こんなBBAなんか、召喚するんじゃないわよ、それでなくても疲れやすいんだから!
ーーと、胸の中でひとりごちたあと、町子は、緊張の糸が切れたのか、眠ってしまったのであった。




