魔女王を倒せってさ!
「これでエリ様が聖女さまということが立証されました〜」
侍女カリーナは、パチパチと拍手した。
「さあ、次はサキ様とマチ様のどちらが勇者でどちらが、賢者かということになりますがーー」
「ちょい待ちーー聖女の役割ってのは、だいたいわかったけどさ、勇者とか、賢者とか、なんであたしらに求めてるわけ?」
「ーーと、おっしゃいますと?」
「勇者だか賢者だかっておだてて、なにかやらせようって魂胆なんじゃないかな……なぁんてね?」
サキが、カリーナを睨め付けると、カリーナはあっさり白状した。
「勇者さまと、賢者さまには、魔女王の元に行っていただかなければいけません」
「魔女王……魔界の女王と言ったところかしら……?」
と、マチ、こと町子。
「いえ、魔女の中の王といったほうが正しいとおもいます」
カリーナは、キリッとして言った。
「現在この世界では、もう二年間も子どもが、生まれておりません。他ならぬ、魔女王の呪いのせいです」
「あらあらまあまあ……証拠はあるの?」
と、町子
「他ならぬ魔女王自身が、わざわざ王宮まできて、呪いをかけたと宣言したのです!」
「それはまあ……わかりやすいわね……でも、なんでまた魔女王は、そんな呪いをかけて行ったの?」
「末のお姫様の御生誕パーティに、呼ばれなかったからですっ!」
「それって、まんま眠り姫の困った魔女じゃない……」
と、町子は脱力した。
「最近、映画の二作目もやりましたね……」
と、エリ。
「そーんなことで、国中の人を巻き込んじゃうなんて、超陰キャラじゃん!やることは派手だけど」
と、サキ。
「しかし、魔女王の力は強大で、実際この国……いえ、この世界では子どもが生まれなくなってしまったのです。そこで!!」
「魔女王を倒す!」
と、サキがいうと、
「いいえ」
と、カリーナ。
「呪いは、モノにもよりますが、術者本人が死んでも術式自体は生きていることがあります。それで、勇者さまと賢者さまには、遠い遠い魔女王の谷まで行っていただき、魔女王を、まず説得、懐柔することを、お願いしたいのです!」
「えー説得って……それって、勇者賢者関係なくね?」
「いえ、そこで賢者さまの出番なのです。魔女王から、術式を盗み取ってこれれば、それを読み解いて解除することができるはずなのです!ちなみに賢者さまは、ありとあらゆる魔法を使いこなせるはずなのです!」
「そこで賢者の出番がようやくくるのね……で、勇者さまの出番は、どこらへんなの?」
と、町子。
「この王宮には、さまざまなマジックアイテムが貯蔵されております。剣、鎧、その他もろもろありますが、それらの特殊な能力を引き出すのは、勇者の証を持つ者である必要があるのですっ!」
「勇者の証って?」
「勇者の剣、を鞘から引き抜けた者が、すなわち勇者!そのとき額に勇者の証が現れるであろうと言われております」
「その剣、なんていう名前なの?」
と、町子
「俗に勇者の剣としか、呼ばれておりません。名前は、勇者さまがおつけになり、剣はそれに隷属すると伝えられております」
「はぁ…」
町子は、歳のせいか、色々あって疲れてしまっていた。
「とりあえず、あれやこれやは明日にして、もう休ませてもらえないかしらねぇ…お風呂とか、着替えとか、歯磨きとか、用意はあるのかしら?」
「バッチリです!」
有能侍女、カリーナは心得ておりますとばかりに、にっこり笑った。