ここはどこ?私たちは誰?
トイレの外には、ここまで三人を連れてきてくれた侍女さんが待っていてくれた。
「…では、みなさまがたこちらへ」
と、入ってきた方向とは別方向に案内された。
大きな扉の前に、あの、サンタクロース似の老人が立っていた。
「てはこれよりーーイスワール王国国王代理、コージー王子様との謁見を許すものなりーー」
「上から目線かよー」
と、サキ。
「やっぱりいきなり王様とは会えないのね」
と、エリ。
「衛兵さんとか、出てこないのね。エキストラにお金かけたくない、安いドッキリなんじゃないの。これ?」
と、マチこと、町子。
緊張感のかけらもない三人の目の前で、トビラが開かれた。
部屋の中は、そこそこ豪華な造りだった。奥に、三段ほど高い位置に椅子がしつらえていて、そこに、金髪に青い目をした、少年が座っていた。
肘掛けに肘をついていた。
なんとなく、ガラが悪くいけすなかい印象を、町子は受けた。
「……そなたたちが、聖女と賢者と勇者か…?」
と、前置き無しに、コージー王子は言った。
顔は綺麗だけど、しつけのなってない子ねっ!と、ひそかに町子は思った。
外人っぽい顔立ちのせいで、年齢は分かりにくかったが、ハタチを、超えているようには見えない。
「……して、そなたたちの、誰が聖女で誰が賢者で誰が勇者であるか?」
…………。
…………。
…………。
サキ、エリ、マチの三人は顔を見合わせた。
「どうした?早く答えぬか!」
尊大に、コージー王子は言い放った。
「わっかりませーん」
一番先にキレたのは、一番若いJKのサキだった。
「うちら、突然ここに連れて来られて、何が何だがサッパリわかりませーん」
「そうよ。大体、自己紹介もなしに、突然私たちを、連れてきたお詫びもしないで話を進めようとするなんて、非常識だわ!」
と、OLのエリ。
「どこのユーチューバーだか知りませんけど、突然拉致してドッキリなんて、法に触れますよ?」
と、マチこと町子も言ってやった。
「おい、教皇、この者たちは、本当に聖女と賢者と勇者なのか?!」
女三人の剣幕にたじろぎながら、残念感漂うイケメン王子様は、サンタクロース似の老人に話を振った。
「間違いありません」
と、教皇と呼ばれたサンタクロース似の老人は言った。
「我が呼びかけに答え、異世界より召喚した三人の女性ーーですが、誰が聖女で誰が賢者で誰が勇者なのかまでは、召喚した私にもわかりませんのですじゃ」
めっちゃいい加減な教皇であった。
こうして、誰が聖女で誰が賢者で誰が勇者なのか、わからないまま、というか、これが本当に異世界召喚なのか、町子たちには確証が持てないまま、話はもたもた続くので、あったーー