表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/21

エックス、カリバー!!



 本当に、発光現象ばかりで、もううんざりであった。


 しかしーー


「カリーナさん、これ、抜けないわよ?!なんかめっちゃグラグラはしてるんだけど、抜けないわよ?!」


「マチさま!その聖剣に名前を付けるのでございます!その呼び名に応えて、聖剣は覚醒するのですっ!」


「名前?ーーそんなもの、急にいわれてもーー前もって言っておいて欲しかったわぁ。ええと、どうしよう。しかたないわん、ここは、やっぱり、あの伝説の聖剣の名を借りてーー」


 マチこと、町子は、叫んだ。


「エックス、カリバー!!!!」


 するりと、聖剣は、台座から、抜けた。あんまり簡単に抜けたものだから、拍子抜けして、マチは、とっとっとっと、よろけそうになったほどだ。


 しかし、そこはさすが若返った体。マチはバランスをとり、鮮やかに身を(ひるがえ)し、パッと、片手で聖剣を頭上に掲げた。


「ドヤっ!」


 マチが決めポーズを取ると、万能侍女のカリーナ、元JKのサキ、元公務員のエリの三人から、パチパチパチっと拍手があがった。


「エックス・カリバー!素敵な響きですね!」


 と、カリーナが褒め称える。


「そう?円卓の騎士アーサー王物語の、聖剣エクスカリバーから、そのままパクっただけだけど、他に思いつかなかったのよ……!」


「???ーーエックス・カリバーでは、ないのでございますか?」


「いやね、カリーナさん、エックス・カリバーじゃなくて、エクスカリバーよ!」


「……でも、マチさま、エックス・カリバーって、おっしゃって、ましたよ?たぶん、その名前で、所有者登録されてしまったのではないかと、思われます」


「所有者登録?!」


「ーーはい。その聖剣に向かって、『エクスカリバー』と、呼びかけてみて下さいませ」


 カリーナの言葉に従って、マチは素直に、


「エクスカリバー?」


 と、呼びかけてみた。


 何も起こらなかった。


「ではーー次に、『エックス・カリバー』と呼びかけてみて下さい」


「エックス・カリバー」


 マチがつぶやくと、


「わたしの名はエックス・カリバー」


 という《声》が、マチの頭の中で響いた。


「うわ?!ひえっ?!」


 あやうく聖剣を取り落とすところだったマチは、あたふたしながら、なんとか足の上に剣を落とすことを免れた。


「しゃ、喋った?!」


(あるじ)よ、長い長い間、あなたを待ち続けておりました。ーーわたしの名は、エックス・カリバー……」


 なおも、聖剣は《声》を発し続けた。


「聖剣は、意志を持ち、己の認めた主人との意思の疎通が可能ーー勇者にまつわる伝説の通りでございます!」


 カリーナは、感嘆した様子だった。両手を胸の前で組み合わせて、涙を流さんばかりだ。


「ーーマチねーさん、アタシの耳には、何も聞こえないっスよ?」

 

 と、怪訝そうに、サチが言った。


「ええっ?!そうなの?!もしかして、カリーナさんにもエリさんにも聞こえなかったの?」


「はい」


 と、カリーナとエリは口を揃えた。


「ひえー。あんた、喋れるんだー?」


 マチは聖剣を、目の前にかざした。


「主よ……ありがとう。わたしの名は、エックス・カリバー……」


「なんか、同じ言葉を繰り返してるだけみたいなんだけどー?」


「そのうちに、複雑な意志の疎通が、可能になるはずでございます。文献には、そうありますっ!」


 マチに、カリーナは力強く主張した。


「さあ、これでーー」


 まだ興奮冷めやらぬ(てい)で、カリーナは、鼻息も荒く、


「ーーめでたく、マチさまが勇者さまであることが証明されましたっーーということで、消去法で、残るサキさまが、賢者さまであることが、確定したのでーす!!ジャカジャン!」


 両手をパーっと広げて叫んだのであった。


「なんか……消去法でって……複雑なんっスけど……」


 サキが小さくつぶやいた声がマチには聞き取れたが、カリーナの耳には届いていないようであった……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ