三人で話し合おう!
夕食が終わり、有能侍女のカリーナが下がり、三人になると、BBAのマチ、公務員のエリ、JKのサキは、ソファに腰掛けつつ、話し合いを持った。
「まさか、この世界から、帰れないなんて……」
と、エリが、まだショックさめやらぬ体でつぶやいた。
20代前半と見える、若い女性で、長い髪を、後ろでキュッと結んでいる。
「でもまあ、最近の異世界モノは、みんなそんな感じっスよ、あきらめるしか、無いっスよ!あーあ、でも、ウチの家族は、みんな心配するだろうなぁ……」
と、JKのサキは、制服姿で、短いスカートで、長い脚を組みながら、言った。
「私は身寄りもなく、パートナーもいないから、こーんな異世界に飛ばされても、どうってこと、ないわっ!」
一応この物語の主人公にして、齢五十歳の、町子ことマチは、そう勢い強く言ったのであった。
「私も、パートナーというか、彼氏はいなかったんですが……」
と、エリ。
「アタシも、彼氏とかは、いないっす。あ、いなかったっていう、過去形で言うべき?」
と、サキ。
「あら〜三人の共通点は、彼氏がいなかったことだけ?年齢もみんなまちまちだし、脈絡がかんじられないわねぇ」
と、マチは言った。
「それより、これからのことなんですが……」
おずおずと言った感じで、エリが切り出した。
「私は、聖女みたいなんですけど、もしかしたら、一人でこの王宮に、取り残されるかも……。あの……お二人は、どちらが賢者でどちらが勇者であるにせよ、魔女王を懲らしめる旅に、立たれるんですよね?」
「そういえば、そんな話だったわね」
と、マチ。
「勇者と、賢者イコール魔法使いときたら、回復役のヒーラーは、必要じゃないっスか?」
と、サキは言った。異世界モノの知識は、彼女が一番豊富らしい。
「私が王様だったら、あまねく病を治す聖女は、厳重に保護して、決して危険な旅なんかには、出さないわねっ!」
と、マチは自分の考え口にした。
「……私だって、危険な旅になんか、出たくはないですけど、お二人と離れて、見知らぬ世界でひとりぼっちは、絶っ対、イヤです!」
エリは首を横に振りながら、力を込めて、ぜっったい!と言った。
「まあ、それは、あの異世界転移統括責任者の、イケメン残念王子にかけあうか、王様に直訴するしか、ないのではないかしら……」
と、とりあえず、マチは、そう言って、エリをなだめた。
「ぷっ!イケメン残念王子て!」
サキは吹き出し、
「あいつ、本当に、いっけすかない感じだったぁ!」
と、続けて言った。
「まあ、私たちが三人離ればなれになりたくないっていう意思は、強く意見表明しましょう!ーー今夜はこれくらいにして、めいめいお風呂でも入って、休むことにしましょうよ!ーーあら、そういえば、替えのショーツやら、寝巻きは、どうするのかしら?歯磨き洗顔のアメニティグッズは、バスルームに、あったけどん!」
と、マチが言うと、
「クローゼットの中に、みんな揃ってましたよ!ここは、異世界とは思えない備えの充実っぷりですね!」
と、エリが、両手を打ちながら、言った。
「ただ……ブラジャーなんかは、どうすればいいのか……洗って、干しておこうかしら……?」
「ブラジャー、あるんじゃないっスかねぇ。あのカリーナさんの、形の良い、大きな胸!あれは、絶対ブラしてますって!」
と、サキは請け負った。
「私、ワイヤー入りは苦しいから、イヤだわん。ソフトブラとか、あるかしらん?」
と、BBAのマチ。
「……あると、いいっスね。なんか、マジックアイテムを使うのは勇者だとかなんとか言ってたから、なんか、魔力のこめられた道具とか、あるんじゃないですか?アラクネの糸とか言いそうな、魔法の糸で作られたブラとかーーうん、言ってたら、ありそうな気がしてきた!」
サキは、自分の胸を、ドンと叩いた。
「……そういえば、二人はスマホ、持ってる?」
と、マチは、エリとサキに向かって、訊ねた。
「持ってないっす!空手でアタシは飛ばされました!」
と、サキ。
「私も、就業中で、おトイレに立ったところだったから、持ってないです。ーーもしかして、マチさん、スマホ、持ってるんですか?!」
「そうよ、実は、この小さなバッグに、スマホ、入ってたのよっ!!」
と、マチは打ち明けた。




