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第0話 「プロローグ」

初めての投降となります、清迥と申します。

文才もなく、ただ思い付きを文章にしているため、『読みにくい』『、多くねw』『何これ』と思われる方もいらっしゃると思いますが。優しい目で見ていただけると幸いです。

 20XX年、

 世界はあらゆる歪みに耐え切れず遂にその身を炎で焼いた。聞こえてくるのは、銃声や爆発音、悲鳴、我が子の名を呼ぶ母親の声…阿鼻叫喚が具現化した世界がそこにはあった。

 人々は必死に守ろうとした、他人を蹴落とし、時に騙し、考えうる最悪の手を使ってでも、その両掌にあるものが、その背に背負うものが零れないように祈りながら…


                               *


 「マーク!マーク!何処にいるんだ!返事をしてくれ!」

 炎に包まれ、けたたましく火災報知機のベルの音が鳴るとある軍病院の中で、弟のマークエルの名を叫びながら、アリストは弟が入院している病室へ向かって駆けていた。何度も通ったことのある通路だが、炎のせいか、それとも胸に渦巻く不安のせいか、まったく見覚えのない道を走っているかの様に錯覚しそうになっていた。

 「マーク!」

 目的の病室に到着したとき、アリストは目の前の光景を信じることができなかった。病室の天井が崩落していたのである。

 ここハメイレル軍病院は、この国最大の医療技術があるとして近隣諸国からもとても重宝されていた。さらにここでは、他の病院とは違い≪ B.M.S. ~Body Mechanization Surgery(身体機械化手術)~ ≫を行うことのできる唯一として世界に認められた病院でもあったため、この第4次世界大戦の結果を左右する大きな要因として他国から狙われることが多かった。

 そのためこの軍病院の警備や安全設備は、並みの防空シェルターよりも強固になっていた。しかし、戦争は終わる気配を見せず。軍はやむを得ず、この警備や安全設備の大半を前線へと送ってしまった。そこを他国は見逃さず、遂にここに向けて爆撃が開始されたのである。

 「嘘だ。こんなの嘘だ…」

 目の前には大量のコンクリート壁の残骸やむき出しの鉄骨。そしてその下には、きっと今まで体内を巡っていたであろう大量の血が水溜りのように広がっていた。多くの患者は逃げる間もなくその炎に身を焼かれ、ないしは爆風で木っ端微塵となっていた。だが、アリストはそんな光景を見ながらも、きっとマークは…と何処か祈っていたのだろう、しかし現実はどうしようもなく残酷であった。

 「嫌だ…マーク!居るなら…居るなら返事をしてくれ!」

 その時どこかで、火災報知器の音でも、炎に焼かれる音でも、何かが崩れる音でもない音をアリストは確かに聞いた。

 「兄さん……何処?」

 「マーク!」

 ――今確かにマークの声がした。

 「そこにいるのか!今助けてやるからな!」

 できる限り下手に瓦礫を動かさないように注意しながら、アリストは自分の持ちうる全ての力をもって瓦礫をどかした。皮は破け、血が滲み、爪も剥がれかけていたが何とかマークを見つけることができアリストは安堵した。同時に今の状況が非常に危険だと思い即座にマークに声をかけた。

 「マーク!やっと見つけた。心配したんだぞ。」

 「兄さん?そこにいるの?暗くてよく見えないよ。」

 「え…マークお前――目が」

 「…え?」

 「いや、何でもない…そうだなここは確かに――真っ暗だな」

 アリストはそう言い、瓦礫の下からマークエルを助け出した。

 「すぐここから逃げよう、また爆撃が来ないとも限らないからな。」

 そういいながら、アリストはマークエルを担ぎ軍病院を後にしようと駆けだした。

 だが、一階のロビーに出たとき、他に人がいることに気づき。救護隊が来たと思い声をかけようとしたが、その一団の様子がおかしいと直感的に感じ、即座に近くの部屋に身を隠した。

 「マーク、ここで少し待っててくれ。絶対に大きな音は出すなよ。」

 「うん――でも、どうしたの?」

 「ちょっと様子を見てくる。」

 そう言い残し、アリストは慎重にその場から離れ、謎の一団に気づかれぬようできる限り接近した。

 ――なんだこいつら、救護隊じゃないな

 遠くからでは煙でよく見えなかったが、接近してみるとその一団が間違いなく人を助けるために此処に来たのではないことが分かった。

 ――ガスマスクにサブマシンガン?こいつら何処所属の兵士だ?もし他国だとしたら不味いな、このままじゃ確実に見つかる…

 そう考えている矢先、遠くで金属トレーが地面に落ちた高い音が聞こえ、瞬時に現実に戻された。

 ――マークの奴、あれほど動くなといったのに!

 「今、あそこから音がしなかったか?」

 「あぁ、何か落としたような音だ――まさか生存者か?」

 「可能性は在るな。よし、確認に行こう。」

 そんなやり取りを聞きながら、アリストは頭の中が真っ白になっていくのを感じた

 ――戦うか?……無理だ、相手は銃火器を所持していてこっちは丸腰だぞ。

 ――なら逃げるか?マークを置いて……そんなことできるわけないだろ。

 ――ならいっそ投降するか?……もしあいつらが生存者を殺すためにいるんなら、わざわざ死にに行くようなもんだぞ。

 ――じゃぁどうするんだ?……それは。

 今から移動しても、マークエルの所に着くまでにこちらが先に見つかる可能性が高かった。その時、アリストは近くに救護カーゴが落ちていることに気が付き、即座にその中から金属トレーを取り出して、マークエルのいる場所とは離れている場所へ投げた。

 「ん――あっちでも音がしなっかたか?」

 「移動したのか?だとしたらとんだ間抜けだな…わざわざ居場所を教えるなんて」

 「どうする?」

 「あっちに先に確認に行こう」

 そういいながら兵士が方向転換したのを見計らって、アリストはマークエルの所へ移動を開始した。

 ――そう長くは保たない、なら今のうちに脱出しないと。

 アリストはマークエルの所まで来ると、

 「マーク、直ぐにここから逃げるぞ。ここにいたら殺される」

 「え――何で…」

 「とにかく…」

 そういいつつ、アリスト自身も逃げ切れるのかと自問自答していた。

 ――逃げ切れるのか?……じゃなきゃ見つかる。

 ――あいつらだけなのか?……わからない…でも。

 そんな考えを他所に、遠くから…

 「クリア――何もなかったな。」

 「さっきの場所も確認するか?」

 と、兵士達の会話が聞こえてきた。

 ――不味い!

 そう思うや否や、アリストはマークエルを担ぎ移動し始めた。爆撃により広いホールも大量の瓦礫が積み重なり、遮蔽物が多かったためか、兵士の目を欺き何とかアリスト達は外へ脱出することができた。

 しかし、外に出るとすぐにヘリのサーチライトに照らされ、

 『止まれ!生存者発見!すぐに両手を上に上げ、投降せよ!』

 そう警告が走ると、すぐに周りを兵士に囲まれ、二人とも成すすべなく捕縛され、両手と目を布で隠されてしまった。

 しばらくして、濁音を帯びた声が前方から聞こえた。だがその声には、おおよそ抑揚などなくただ淡々と質問をしてきた。

 「お前達は、何者だ…」

 その、あまりにも感情の籠っていない声に得体のしれない何かを感じ、震える声でアリストは答えた。

 「ここの患者と、その家族です。」

 そう言うとすぐに、近くから――

 「間違いありません――データベースにも登録されています。」

 「そうか…なら次の質問だ、なぜ貴様はここに来た。」

 「それは――」

 「よもや、家族の為なんて言うなよ。」

 まさにそう答えようとしたアリストからすれば、他にどう答えればよいかわからず、その場で言葉を失ってしまった。

 「お前は本当に家族が大切でここに来たのか?それとも、別の目的があったのか?」

 ――何を言っているんだ?

 混乱した頭では、まともに考えることもできず、アリストはただその場で固まってしまった。

 「時間の無駄だったな――殺せ。」

 その瞬間、周りから金属のこすれる音がした。

 ――ここで死ぬのか?まだやりたいことが沢山あったのに…

 「隊長、カークス博士から連絡です。サンプルを持ち帰ってこい。とのことです。」

 「あの、マッドサイエンティストめ――お前らそいつらは殺すなサンプルとして……生け捕りにする。」

 ――生け捕り?生かしてくれるのか?

 「兄さん?」

 「やったぞマーク――生きて帰れるぞ。」

 すると、後ろから別の兵士が、

 「いや、坊主達。ここで死んだほうが良かったかもな……」

 「「…え?」」

 その言葉もヘリのローター音でかき消され、その意味を知るのはもっと後のことになるのを二人はまだ知らない。

  



何とか最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。

何か質問や感想等あれば、感想欄に書いていただけると、嬉しいです。

それでは、次話がいつ更新か未定ですが、できる限り早くに上げるつもりですのでその時もよろしくお願いいたします。

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