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ばれた


夏休みに入り、部活の合間に時間を見つけてバイトをするようになった。

母に負担をかけたくなくて……。



そんなある日。

部活もバイトのない日。

母と二人で家でのんびりと過ごしていた。


バーンッ!!

突然玄関のドアが勢い良く開いた。

見れば、黒ずくめの男が三人、土足のまま中に入って来た。

母は、動けずにビクビクしている。

私が、母を守らないと。

私は、彼らに向かって睨み付けると。

「なんですか?あなた方は。誰の許可を得て土足で踏み込んできたんですか?」

母を守るように立った。

すると。

「綾小路幸矢だな」

一人が、確認するように聞いてきた。

「そうですけど、あなた達は一体……」

「お前の父親から頼まれて来たんだ。お前を連れ戻せと」

父さんに……。

今更、何の用だろう。

それより、何で此処がバレたのだろう。

「私だけで良いんですね。だったら、母には手荒なことをしないでください。じゃなければ、私は行きません」

私は、彼らに懇願するように言う。

「わかったな」

彼らのリーダー格が頷いた。

「幸矢……」

母の弱々しい声が背後から聞こえてくる。

私は、振り返ると母の手をとって。

「お母さん、大丈夫だよ。私の事は良いから、自分の体調を治して……ね」

母に笑顔でそう告げた。

心配させないように……。

「用があるのは、私だけなんですよね」

威圧感たっぷり含んで聞けば。

「……あぁ」

彼らは怯みながら一言答えた。

「わかりました。行きます。母には、絶対に手を出さないでください」

私は、有無を言わせないように彼らと共に外に出た。

「幸矢…」

母の声が聞こえてくる。


母さん、ありがとう。

私、あの家に戻ります。

母さんのためにも……。




私は、黒塗りに車に乗せられた。

家に着くまでに時間がかかる。

私は、おもむろに携帯を取りだし。

ある人に電話を掛けた。


『はい…』

怪訝そうな彼の声。

「成瀬くん。今までありがとう、さようなら……」

私はそれだけ言うと電話を切った。

その後、折り返しに電話がかかってくる。

私は、電源を落とした。

これから、起こりうることに向き合うために……。



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