もしかして、運命?
本日二話連続投稿です。
前話からお読みください m(__)m
あれから、あいつはこの教室に戻ってくることはなかった。
期末の順位も一気に落ちて、周りから心配されてるが、別人になってるなんて誰も気付いていない。イヤ、一人だけ気付いてるか……。
気付けば、夏休みに入っていた。
夏休みの間は、寮は閉鎖しているなのでオレは、家に戻っていた。
夕暮れ時、何気に家を出てぶらつこうと近所を歩いていたら、目の前に見知った姿を見つけた。双子の姉唯華の隣を歩く女の子。
だが、違和感がある。
オレが知ってるのは、男の格好をしたヤツで、女の筈がない。
アイツの兄弟か?
でも、あいつは一人っ子の筈だ。
じゃあ、誰なんだ?
オレの見間違いか?
そのうち十字路に出て、唯華がその子に手を振って別の道を歩き出した。
その娘が向かう道を少しだけ先回りをして、前から顔を見ることにした。
オレは、驚いた。って言うか、驚くことしかできずその場で立ち止まった。
だって、幸矢本人が、目の前で女子の制服を着てるんだ。
ってことは、オレの想いは封じ込めなくてもいいってことだろ?
幸矢がだんだんと近付いてくる。
心臓が、バクバクいってる。
それをなんとか押し留めて。
「あれ、幸矢じゃん」
って声をかけた。
幸矢は、一瞬誰って顔を見せた。
あんなに傍に居たのに酷いヤツだな。
「幸矢。オレだよ、オレ」
もう一度そう言えば。
「成瀬……」
下の名前で言ってもらえなかったが、思い出してくれただけで、オレは良しとした。
「何で……居るの?」
幸矢の呟きに。
「夏休みだから、帰省中。で、何で、幸矢はここに……」
俺は、そう返して幸矢が思案させるから、何か訳ありなんだと悟った。
「話せば長くなるけど……」
そう返してきたから。
「そうだな、どこか入るか」
オレが提案すれば、幸矢も頷いた。
まさか、こんなところで会えるとは思っても見なかった。
もしかして、これって運命(?)って思ってみたりして。
そんなわけ無いのにな。




