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再会

短めです。

あれから、一ヶ月。

母方の実家を伝に静かな田舎町に来て、平穏な日々を過ごしていた。

おばあ様の計らいで、学校にも通わせてもらっている(とてもありがたく思う)。

自分で言うのもなんだけど、学力も伴っていたので、高1の夏休み前には、地元の高校に転入した。

女の子としての生活が、新たに始まった。


髪も、あの時からのばし続けて、今は肩より少し長いぐらいだ。

父さんとお爺様に見つからないようにするためにも必要だった。


今まで、男として厳しく育てられてきたから、この現状を思いっきり楽しんでいた(制服も女子の制服だよ)。


「幸矢ちゃんって、言葉遣いが丁寧だよね」

こっちに来てから仲良くなった、成瀬唯華ちゃん。

成瀬って名字は気にはなったけど、唯華ちゃんが気さくに声をかけてくれるから助かってる。

「そう、でしょうか?自分では、余り気にしたこと無いので……」

初めて言われた気がする。

「ほら、その言い方が、大人びてる感じがして、皆近付きがたくなるんだよ」

その指摘に、どうしたものかと思った。

生まれ育った環境の違いが、ここに来て困ることになるとは。

「そうなの?そんなに近寄りがたいの?」

う~ん。これも、勉強しないと……。

「私は良いんだよ、だけど他の子達には受け入れられないかもね」

唯華ちゃんの助言を耳にして、考え込んでしまう。

「あんまり考えないで、自然体の幸矢ちゃんで良いから、ね」

って、クスクス笑う唯華ちゃん。

そう言われても、根が真面目だから言われたら、考えちゃうよ。

「じゃあ、幸矢ちゃん。また、明日ね」

ちょうど十字路に差し掛かり、唯華ちゃんが手を振る。

「うん、バイバイ」

私も小さく手を振って、唯華ちゃんを見送った。


家に向かって、歩いてると。

「あれ、幸矢じゃん」

って、声が聞こえた。

この町に知り合いなんか居ない筈……。

「幸矢。俺だよ俺」

って。

俺って、誰?

近付いてくる彼を見て。

「成瀬…?」

私は、半信半疑で聞く。

「おうよ」

って返事が返ってきた。

だって、一ヶ月会ってなかっただけなのに、顔つきが変わって、男の子から青年に変わってたから。身長も私より少し高いぐらいだったのに十センチも高くなってた。

「何で……居るの?」

私の問いに。

「夏休みだから、帰省中。で、何で、幸矢がここに……」

何でもないように答え、代わりに質問された。

それより、よく私だと気付いたな。そう感心しながら。

「話すと、長くなるけど……」

口に出すると。

「そうだな。どっかに入るか」

成瀬くんの言葉に頷いた。



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