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アイツがいない

俺の不注意で、アイツは飛び出していった。

慌てて追ったが、見失った。



ダン。俺は、授業中にも関わらず廊下の壁を殴り付けた。

くそー。何してるんだ俺は。

アイツをずっと見てきたんだから、解ってたはずだろ。

いや、近くに居すぎて解ってなかった部分もあるのか。

何にしろ、俺はアイツを困らせただけだ。

早く謝らねば…。謝って済む問題でもないが、俺の想いはアイツに届いただろうか?


授業が終わり、アイツの教室に足を向けたが、姿が見えない。

何処に行ったんだ?

キョロキョロと辺りを窺うが、やはり居ない。

諦めて戻ろうとした時だった。

「幸矢なら居ませんよ」

そう声を掛けられて、振り向けばアイツの傍に何時も居た彼が立ってた。

「君は、幸矢と仲の良い…」

そういや、名前知らないな。

「成瀬祥です」

彼が、自己紹介をしてくれた。

こうして、面と向かって話すのは、始めてだな。

「そっか…。俺は…」

言いかけて。

「高津冬哉さんでしょ。アイツから聞いてます」

それを聞いて、俺は虚しく思った。

「幸矢が、言ったんだ…」

俺の事は、コイツに話してあるんだって。俺には、コイツの事何一つ話してもらってないって事に…。

「アイツに何か用事でも?伝言なら、俺が伝えておきますよ」

偽笑いを浮かべて言うコイツを信頼できるはずもなく。

「いや、大した事じゃないから、直接会って話すから…。じゃあ」

俺は、それだけ言ってその場を離れた。



それから日を開けてから、もう一度アイツの教室に向かった。

だがそこに居たのは、俺が求めているアイツじゃなく別人。

クラスの奴は、誰一人入れ替わってるなんて思わないだろう?

見た目は、物凄く似てるから…。

中身が違ってる。

アイツは、物静かな性格なんだ、今目の前ではしゃぐ奴は、違う。

あいつ…成瀬だっけ……。

奴だけは、アイツが別人だとわかってるんだろう。一切関わろうとしない。

俺は、自分の教室に向かう。


アイツは、今、何処で何してるんだ?

生きてるのか?

連絡くらいしてくれても良いだろ?

俺の連絡先知ってる筈だ。

何故、連絡をくれないのだ?

幸矢、無事なんだろうな?


アイツのことばかりが、脳裏に浮かぶ。

早く戻ってこいよ。

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