1/51
偽りとしての自分
オレいや僕。
違う。
私。
なんだけど……。
自分の呼び方さえ、わからないでいる。
何せ、私は幼少の頃から男として育てられた。
お家柄では、本来ならお嬢様(?)なのだが、母が病弱だったために兄弟ができなかった。その為、跡継ぎとして育てられた。
代々、家を継げるのは、男児のみとされているため、祖父と父が親戚一同に私を男と言い張って騙している。
という経緯で、家では“僕” 外では、“オレ”と使い分けてきた。
そして、高校には名家の子息、淑女が通う全寮制の高校に入ることに……。
母の計らいで、女子の制服を用意されていたのだが、普段から男物しか着てないので、スカートを履くには些か抵抗があり、急遽男子の制服を取り寄せた。
寮は、もちろん男子寮。
祖父の計らいもあって、個室を宛がってもらえたのだが……。
これから、どうしたものかと悩む日々だ。