鏡写し1-3
何箱開けても出てくるのは、女の子用の産着やらとても小さい浴衣ばかりだった。古都野さんは生地の保存状態を見る限りしっかりと手入れをされていたもので、とても大切にされたものだと私に伝えた。
「叔母はなんで大切にしていた物をわざわざ私に……?」
「さぁ……。まだ箱はたくさんありますし開けてみましょうか。」
私と古都野さんは古い日付のを探しながら開けていった。すると産着以外の物が入った箱を見つけた。
「古都野さん!!なんだか違うのが出てきましたよ!!」
着物に疎い私にはなにが出てきたのかすら検討もつけれないから古都野さんを呼んだ。箱の山をどうにか乗り越えてきた古都野さんに出てきた包みを渡した。
「わぁ……。これ七五三の時の三歳用の被布ですね。あ、こっちは中に着る着物と襦袢が入ってますよ。草履と足袋も……。どれも小さくて可愛いですねぇ。生地もいいですし仕立てもとてもいいですし本当にいい品ですよ!!」
古都野さんは興奮気味に教えてくれた。でも、私にはこれを着た記憶は無かった。ただ忘れているのかそれとも本当に着ていないのかわからなかった。
「……ん?あれ被布もう一セットありますね。佐藤さんって姉妹がいるんですか?でも、色違いのセットですけど同じ染めで二つ対になってますね。まるで二人で七五三をやるためにわざわざ仕立てたみたいな……。」
「……え?私姉妹いませんよ。一人っ子ですし……。誰かと一緒にお祝いするような子もいないですし。」
「うーん、そうなんですか……。佐藤さんのために二つ仕立てたんですかね……。」
古都野さんは考え込んでから私につぎに会う約束と荷物以外にもうひとつ持ってきてほしいものがあると言った。私にはなぜそれがいるのかわからなかった。