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父親の過去
第5話
夜、父ちゃんは道具を拭いていた。
アレンは、その横に座る。
「父ちゃん、前はハンターだったんだよね」
「ああ。二、三年だけな」
「なんでやめたんだ?」
「家の仕事を継いだからだ」
それだけだった。
「魔物、怖かった?」
「怖いからやめた」
父ちゃんははっきり言った。
「ハンターは、強くないと続かない。
父ちゃんは、剣術は大した事ないし初級魔法しか使えないからな」
「初級って、一番下だよな」
「ああ」
父ちゃんは指を折る。
「初級、中級、上級、特級、超級、あと一つ。
知られてるのは六段階だ」
「父ちゃんは初級だけ?」
「それで十分な時もある」
父ちゃんは、少しだけ笑った。
「ずっと戦う仕事じゃない」
「だから畑?」
「ああ。
生きて帰れる仕事だ」
アレンは頷いた。
「……魔法ってさ」
「なんだ」
「勉強すれば、使えるようになるのか?」
父ちゃんは、少し驚いた顔をしてから言った。
「なる。
才能より、まずは勉強だ」
「じゃあ」
アレンは、少しだけ考えてから言った。
「オレも、魔法の勉強する」
父ちゃんは、アレンの頭に手を置いた。
「いいぞ。
まずは文字と数からだ」
その夜、アレンは布団に入ってからも眠れなかった。
魔法は、戦うためだけのものじゃない。
勉強するものだ。
そう思うと、
少しだけ、明日が楽しみになった。




