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やる気の無い教師リーナ

第18話



アレンは、班の顔ぶれを改めて見て思った。

(……剣、できる人いないな)

十人のうち、剣術が得意そうなのは――自分だけ。

周りを注意深く見た。生徒会の他の四人も、

似たような“半端な構成”を割り振られている。

(ザンの班も、たぶん同じだ)

一人だけ突出して、

あとは足りない。

助け合えるかどうかを見るための配置。

そう考えると、納得がいった。

「よーし、じゃあ出発ねー」

間延びした声が、後ろから聞こえた。

振り返った瞬間、

班の空気が一気に止まる。

「……は?」

そこに立っていたのは――

どう見ても先生に見えない人物だった。

長い白色の髪の毛。アレンより低い身長

整った顔立ち。

制服でも鎧でもなく、私服。

年齢は……十代。

アレンたちと同年代、少し見える。

「……えっと」

誰かが困惑した声を出す。

「先生、ですか?」

「一応ねー」

軽い。

とにかく軽い。

「非常勤だから、あんまり期待しないで」

そう言って、欠伸をする。

(……非常勤?)

アレンは首を傾げた。

どう見ても、

この学園の先生に見えない。

「名前は?」

「名乗るほどの者じゃないけど……まあ、リーナでいいよ」

それで終わりだった。

剣も持っていない。

杖もない。

防具すら着ていない。

「え、武器は?」

誰かが聞いた。

「ないよ」

「邪魔でしょ」

全員が黙った。

「ちなみに言っとくけど」

リーナは、森をちらっと見て言う。

「魔物出ても、基本ノータッチだから」

「……は?」

「勝手にしてくれていいよ」

「死なない程度にね」

さらっと、とんでもないことを言った。

「え、先生って」

「引率はするよ?」

「ほら、ちゃんと最後尾にいるし」

実際、

リーナは班の一番後ろに立ち、

歩く気満々ではある。

ただし――

守る気は、なさそうだ。

歩き始めてしばらくしてから、

班の一人が小声で聞いてきた。

「なあ……あの先生、大丈夫か?」

「……分からない」

アレンは、正直に答えた。

(でも、見てる)

リーナは、やる気はない。

でも――

周囲を見ていないわけじゃない。

足音。

距離。

隊列。

全部、把握している。

「ところでさー」

歩きながら、リーナが突然言った。

「君、生徒会に入ってるよね?」

「はい」

「ザンはどうんな子なの〜」

一瞬、空気が止まる。

「……クラス別なので詳しくは知らないです。凄いとしか」

「そっかぁ」

「くじ、負けたかー」

完全に独り言だった。

「先生、ザンを知ってるんですか?」

「知ってるもなにも」

リーナは肩をすくめる。

「噂、すごいじゃん」

「王都の方まで聞こえてきたよ」

アレンは、そこで引っかかった。

「……じゃあ、ザンを見に非常勤に?」

リーナは少しだけ考えてから、答えた。

「見てみたかったんだよね」

「どんな子か」

「で、応募した」

「そしたら班割のくじ引きで外れた」

ほっぺを膨らませてる。

(……この人、なんなんだ)

やる気がない。

責任感も薄そう。

でも――

森を歩く足取りは、まったく乱れていない。

「ちなみに言っとくと」

リーナは、前を向いたまま言った。

「この森、最低ランクだけど」

「数、出るよ」

全員が、ぴくっと反応する。

「だから、勝手に突っ込まないこと」

「君たちが剣下手なの、見れば分かるし」

容赦がない。

「アレンだったっけ?」

「はい」

「君だけは、動き分かってるから」

「前に出すぎないように」

その一言で、

全員の視線が集まった。

「……分かりました」

(やっぱり、見てる)

リーナは最後尾にいる。

なのに、全部見えている。

それが一番、厄介だった。

「じゃ、薬草探しねー」

「日暮れまでに戻ってくればOK」

そう言って、

本当に最後尾から、ついてくるだけだった。

やる気なし。

謎だらけ。

でも――

(この人、危ない)

アレンは直感した。

魔物が出ても、

多分、この人は動かない。

動くとしたら――

本当に手遅れな時だけだ。

最低ランクの森。思惑のある班構成。

やる気のない先生。

条件は、最悪に近い。

だからこそ――

アレンは、目を離さなかった。

森の奥も。

班の仲間も。

そして、最後尾を歩く、美少女教師


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