2年生
第15話
――あっという間に、一年が過ぎた。
アレンたちは、二年生になっていた。
都市ラグナートでの暮らしにも、すっかり慣れた。
石の道。
人の多さ。
毎日決まった時間に鳴る鐘。
最初は落ち着かなかった街の音も、
今では気にならない。
休みの日には、
友人たちと街へ出ることもある。
ただし――
「見るだけ、だな」
ロイが苦笑する。
学生に、金はない。
屋台の匂いを嗅いで、
道具屋の剣を眺めて、
服屋の前で立ち止まる。
「高っ……」
「一生買えねぇ」
それでも、楽しかった。
街を見るだけで、
世界が広がった気がしたからだ。
そんな日常が、
二年目に入って、少し変わる。
「本日より、野外訓練を行う」
講堂でそう告げられた。
行き先は、
都市の外――森の前。
魔物が出る、
本物の場所だ。
二年生全員が、
列になって街を出る。
学園の門をくぐり、
石畳を抜け、
やがて土の道に変わる。
「……久しぶりだな」
誰かが言った。
街の外は、
村に近い匂いがする。
森の手前で、全員が止められた。
「ここから先は、訓練場だ」
先生の声は、はっきりしている。
「勝手な行動は禁止」
「命を軽く考えるな」
アレンは、森を見た。
木々が密集し、
奥は暗い。
畑や街とは、
まったく違う。
(……戻ってきた感じだ)
都市に慣れても、
この空気は忘れていなかった。
剣を握る。
荷物を背負う。
二年生になったアレンたちは、
初めて学園の外で学ぶ。
教室じゃない。
黒板もない。
ここから先は、
生きるための訓練だ。
先生が、前を向いた。
「――進むぞ」
そうして、
一行は森へ足を踏み入れた。




