生徒会
第13話
入学して、半年が過ぎた。
学園の生活にも、だいぶ慣れてきた。
朝は寮で起きる。
点呼。
食堂で朝食。
それから授業。
寮生活は、思ったより規則正しい。
消灯時間は決まっているし、
掃除も当番制。
勝手なことをすると、すぐ注意される。
「またロイ、布団たたんでねぇぞ」
「あとでやる!」
「あとでじゃダメだって」
そんなやり取りが、毎朝の定番だった。
ミハルは几帳面で、
カイルは剣の素振りを欠かさない。
アレンは、その間で普通に過ごしていた。
特に目立たず、
特に遅れず。
その日、講堂に呼び出しがあった。
「一年生の中から、
生徒会に入る者を選ぶ」
先生の言葉に、ざわっと空気が動く。
生徒会は、
学園の中でも特別な役目だ。
「生徒の見本となること」
「授業についていけない者を助けること」
「生活態度を正すこと」
楽な仕事じゃない。
「成績は、満遍なく必要だ」
「一つだけ得意でも、足りない」
先生たちは、
すでに名前を決めている様子だった。
呼ばれたのは、五人。
「アレン」
名前が聞こえた。
一瞬、頭が真っ白になる。
「え?」
ロイが、隣で目を丸くした。
「お前かよ」
アレンは、前に出た。
理由は分かる。
文字も。
計算も。
歴史も。
剣術も。
全部、平均以上。
飛び抜けすぎていない。
それだけだ。
その日から、生活が少し変わった。
放課後、
授業についていけない生徒に声をかける。
「ここ、こうやって書く」
「計算は、先にこれを揃える」
剣術では、
力を抜いて教える。
「最初は、構えだけでいい」
寮でも同じだ。
消灯後に騒いでいる部屋に注意したり、
遅刻常習の生徒を起こしに行ったり。
そんなこんな夜、部屋に戻ると、
ロイがベッドに寝転がって言った。
「生徒会、大変そうだな」
「まあ……」
「でもさ」
ロイは笑った。
「アレン、向いてると思うぞ」
「なんで?」
「全部、そつなくやるから」
アレンは、少し考えた。
向いているかどうかは、分からない。
でも――
できることをやるだけだ。
それは、畑でも、狩りでも、
学園でも同じだった。
灯りが消え、
部屋が静かになる。
アレンは、天井を見上げた。
三年間のうち、
まだ半年。
生徒会という役目は、
思ったより忙しい。
でも――
ここで学ぶことも、
誰かを助けることも、
全部「生きるため」だ。
そう教えられた。
アレンは、静かに目を閉じた。




