救援が待てない男の話
「おい、ヴィレンどこに行く気だ!!」
「どこに行くって……戦場だよ」
「六日もすれば救援が来るんだぞ……今戦場に行くのは死にに行くようなものだぞ!!」
「俺にチンタラと救援を待ってるのは性に合わないんだよ。お前昔言ってくれただろ『ヴィレン、お前さ無駄に行動力だけはあるよな』ってこういう時に使わなくていつ使うんだよ」
「僕はお前に死んでほしくて言ったんじゃない!!」
「安心しろ、"色々"準備は済ませてある。じゃあなレイン」
「待ってくれ、行くな!!」
俺はレインのその声を無視し戦場に行った。
俺は戦場となる敵陣を囲って"爆撃用の木"を能力で作っている。
見た目はただの木だ、しかし使えば救援が来るまでの時間は稼げる。
これであいつらは生き残ることが出来る。
さて仕掛けるとするか!!
「"爆木猟園"!!」
ドガン!!
「敵襲、敵襲ぅぅぅ!!」
「くたばりやがれ"双炎・龍華"」
「ぐはっ」
バタン
さてとこれから敵さんが来ることだし、人手が必要になるなこりゃあ、呼ばないとな。
「契約に従い姿を顕現せよ、幻霊召喚!!」
「主に呼ばれて参上シャーマっす」
「もうシャーマいつも言ってるでしょ、主様に馴れ馴れしすぎよ!!」
「仲良くなりたいならリョウカがもっと距離を詰めるべきでは?」
「そうだぞリョウカ、頭領と結ばれたいなら守るな攻めろ!!」
「なあミイシャ、ジョルテとカルマとロンダルは来てないみたいだがどうした?」
人数が足りないことに疑問に思った俺はミイシャに聞いた。
「あの三人でしたら、『ごめん帰省中だからいけない』とのことですよ主様」
「そうか……だとしても四人とも来てくれてありがとう。今回の相手は大物だぞ、なぜならジェルディル帝国軍とその皇帝だ。みんなは軍の方を頼む、俺は皇帝の首を狙う」
「了解っす!!」
「お任せください主様」
「私に任せていただければ勝利は確実です」
「頭領には勝利という名の愛を捧げるから待っててくれ」
そうして四人は軍を潰すために動いてくれた。
「よっしゃ、俺は皇帝の首を取りに行くとするか!!」
「"影神独歩"」
俺は影を使って移動し皇帝の元へ向かった。
四分後
「それでツァール……モルディアス王国軍はどんな状況だ」
「現在王国軍は白虎海平原にて本国から救援を待っている様子です。なので攻めるなら王国の同盟国である隣国のマルパール公国から王国を攻めるべきです。マルパールには『帝国の味方につけば王国の領土を半分渡すそして金脈も与える』そういったらすぐにゴマをすり始めましたよ。あんな国すぐに潰せますので王国を滅ぼした後に公国も奪いましょう」
「その辺はツァールに任せる」
「このツァールにお任せを、皇帝陛下」
今皇帝とこの参謀を討ち取り公国の罪を本国に……いや、まずは殿下に伝えねば。
「消えろ」
「おい、ツァール……早く助け……」
「…………ふっ、そのまま惨めに死んでください陛下。これで次の皇帝はこの私!! ……うっ、嘘……だろ」
俺は皇帝と参謀をすぐに消した。
その後俺は皇帝と参謀の首を陛下と殿下に見せた。
すると陛下が城中の人を集めた。
「皆よく集まってくれた。これよりジェルディル帝国との長きに渡る戦争を終わらせたこの者に英名授与式を行う!! 戦争を終わらせたこと、そして公国の裏切りを伝えてくれたこと誠に大義であった。この功績により彼の者に"国滅の鬼神の二つ名を与える!! これにより彼の者を王国の英雄とする!!」
「うぉぉぉぉ、新しき英雄の誕生だぁぁぁ!!」
俺は救援が待てないから戦場に行っただけなのに、なぜか英雄にされてしまった。
鬼が出るか蛇が出るか……今後のことは俺にも予想がつかねえよこりゃあ。
まあ今は仲間を護れたことを誇りに思うべきだな。
よ〜し疲れたし授与式が終わったら眠るとするか〜!!
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
家族から私が寝言で『チンタラ待ってるのは性に合わねえんだよ』と言っていたと聞かされたので思いつきました。
夢を見たわけじゃないと思うんですが、不思議です