表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸福のフェリス  作者: 海野 咲凛木
第三章 王都アライア・へウン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/54

第41話 「契り」


昼間とは違う少し空気の冷たい夜。


目の前に立つ黒い甲冑の女性。


その威圧感に気圧されないようただ黙っている彼女の姿を見て立ち尽くしていた。


「なぜ貴方がハーデリアンさんの家にいるのかしら?」

「それは…」


「貴方の身元を調べたいのだけれど、本来の住所を聞いてもいい?」

「…」


「もしかして、この王都の人間ではない?」

「…ッ!」


おそらく、この人は分かって聞いてきている。フードを深く被る仕草でさえ、怪しく見られているに違いない。


逃げ場の無い状況。おばさんもいないし、どうすることも…


「わ、私は…」


「まぁ、貴方の身元は後で調べるとして今回は今日起きた事の確認をしに来たの。」


「…確認?」


「貴方でしょ?今日のグリフォン襲撃騒動の後、私の兵士達の治療をしてくれたというのは…」


あの騒動の後、私はおばさんに連れられてこの家に戻る途中、大通りで深傷をおって動けず横たわる人達が大勢いたのを見て、一つ考えがよぎっていった。


「ローブを纏いフードを被った女性…救われた兵士達は皆そう言っていた。」


それは、母だったらきっとそんなことはしない。


「貴方じゃないのかしら?」


治療を必要とする人が目の前にいるのなら母は約束を破っても迷わず助けるに違いない。


「み……」

「み?」



「見捨て…られなくて…」



「……貴方だったのね。」



その一言を最後に沈黙が過ぎていく。


何かを考えている様子だ。身元を調べてどうしようか考えているのだろうか。

今ここで走って逃げても、この王都内でこの人から逃げきる自信なんか微塵もない。


「…ありがとうございました」


突然、深々と頭を下げられ困惑してしまった。


「え…あの…」


「フェリスさんのおかげで、私の大事な仲間達が救われた...本当にありがとうございます。」

「いや、ただ私は必死で…」

「確認したいのだけれど、フェリスさんは治癒魔法の使い手?」


「そうです…」

「そっか…」


また深く考える仕草をしている。この人はなんというか、表情がコロコロ変わる人なのだろう。


「ねぇフェリスさん」


またさっきまでとは打ってかわって明るい表情で問いかけてきた


「私、遠征終わりで明日は1日非番なんだけど、良かったら一緒に出かけませんか?」


「…え?」





ーーーーその頃、プロト村にてーーーー



ケガワウシの鳴く声が聞こえ、いつもの日常が過ぎていたこの村に、その平和を脅かす者が訪れていた。


「いないとは?村長、そなたの言っている事が理解できぬのだが?」



一際大きな村長の家を囲うように立つ衛兵達。逃げ場のないように、誰も入れないように寡黙に立っていた。


「ですから、先ほど話した通りです教皇。もうここにはおりません。」


「つまり、王都から直々に参ったこの私に無駄足を踏ませたということ…そしてそなたと交わした5年を無駄にしようということか…」


「……」


「この男を王都へ。」


教皇が一声指示を出すと、近くにいた衛兵達は村長を乱暴に取り押さえる。


「実に残念だ。そなたの一族と代々交わしていた契りと共に、この村は消滅することになってしまった。」


「村の民達だけでもどうか…わしはどうなっても構わん……」

「何を言う。そなたがあの娘一人の為に、この村の民達を見捨てたのではないか。」


「どうか…」


「早く連れてゆけ。それと伝令を飛ばしあの氷檻にいるドラゴンを運び出す運搬牛車をこの村に呼べと伝えよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ