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113 正義感

 こんにちは。


 職場について、クレームの口コミ投稿があったらしい。なんのサイトなのかは知らないけれど。


 人はどうしても得手不得手があるもので、そこを責めるつもりは無いけれど、うちの従業員はクレームを受ける可能性が高い予備軍が結構いる……。

 良い所もあり、改善の余地があるところもある。それが人だ。でも、その改善の余地がある部分が、接客に特化していた場合、どうしてもクレームをもらいやすくなると言うか、人を不快にさせてしまう可能性が高くなると言うか……


 まぁ今回は、うちの予備軍ツートップの内の1人が、口コミで書かれてしまっていた。

 ツートップのもう一人が、それを発見して、店長に報告をしたとこから話が始まる。


 発見したA君は、どうしても書き込みが、彼の正義に照らし合わせて、許せないらしい。人道的に考えて個人を公で非難する事が許せないのだとか。

 最初は店長とA君で色々話していたのだけれど、頑なに正義感を振りかざして取り付く島もないので、困った店長が私も話に寄せて来た。

 書き込みも見せてもらったのだけど、従業員を全員揃えて見比べたなら、ギリギリ特定できる特徴は書いているものの、個人名も出していないし、どういう事で嫌な思いをしたかという事も書いてある。それも理不尽な言いがかりでは無いと思う。ただ、その感想がクレームの対象であるB君に対して「精神的に大丈夫か?」という言葉だった。

 でもそれ以上の決定的な言葉は、使われていない。


 私からしたら、腹が立って本当はもっとメッタメタに書きたいところを、大人のブレーキでグッとこらえてマイルドに書いたと言う印象だった。

 それを逆に人格非難バリに、書き込むことがおかしいと訴え、謝罪が必要だとA君。


 口コミサイトである以上、口コミとして書かれることは仕方がない事だ。個人非難や、営業妨害とまでは行っていないと思う。そして、特に接客に対しての口コミという物は、たいていの場合、悪い方が描かれる可能性が高い。感情から行動を起こさせる原動力は、怒りの方が火力高い。

 客と店員の立場は平等であるのは前提だけれど、サービスを提供している立場ある以上は、店員側は何かしらの快適さを提供しないと役割を果たしていない事になる。

 だから、それが叶っていないを通り越して、不快感を与えてしまったのなら、こちらに非があるという事だと思うのだ。

 その客との大前提である関係性を全否定して、自分は守らられるべきだと言うのなら、接客業はやめた方がいい。

 

 もう一つ言うと、クレームの対象が自分では無かったから、強気になれるんだろうなぁ。そして自分の身に降りかかった時の予防線でもある。クレームを言ってきた方がどうかしているという常識をすり込みたい。まぁそこまで言うのは、勘ぐりすぎかもしれないけれど、私にはどうしても正当な口コミに思えたのだ。


 私の仕事はとても、センシティブな部分に触れる一面があって、そういう所をB君は無感情のまま、土足で汚してしまったんだろう。まだ痛みを知らない人には気が付けない事はとても多い。人生経験の多さ……というか、彼の場合は、ちょっと天然で、瞬時に人の気持ちになって応対をする事が苦手なのだ。彼は待決められたルールの中で、感情を介入させずに事務的作業をする事が得意なタイプなのだ。

 だから、事務的に答えてしまった事が、お客さんの不快を買ってしまったんだろう。

 得手不得手があるから、得意な事が足を引っ張ることもある。これは、経験だから仕方がない。そして確かに、彼は接客には向いていないんだろう。

 

 お客さんだって、クレーム口コミを書かないと収まらない位には、傷ついたのだ。でも、かなり大人だからかなりマイルドに書いてくれた。

 A君にどうしたら、やられた側の気持ちだけじゃなくて、やった側の気持ちも考えてくれるようになるだろう。これを説明しても、彼の心はまだ準備が出来ていないから響かないのだ。自分の正義しか知らない状態。


 そういう他者を寄せ付けない刺々しい正義感って、思春期の特徴だから高校生くらいがピークで、その後色んな思いや状況に触れて多面的な正義を知るようになると思うのだけれど、それは私が女子だったからなんだろうか。個人差はもちろんあると思うけれど、男女の精神的な成長の段階も違うのもあるのかもしれない。私はずっと女子校だったから、男の子のそういう思春期の通過儀礼の変容は分からない。でも、大学生になると同時に、世界がガラリと変わり、嫌でもいろんな事を吸収せざる得なくなり、多角的な正義という物を知る機会が増え、ある程度の許容を身に付けるものだと思うのだけれど。

 口コミを母親にも見せたらしくて「母親もおかしいと言っていた」と言ったいたので、家庭も正義の基準が潔癖気味なのかもしれないけれど……

 そこまで行くと、家庭の事情なので、なかなか難しいですね。職場で「一度きりしか会わない人に対しての寛容」を解いたとして、どこまで受け入れてもらえるのか。


 A君がこの先もこの事を、大事にしてB君が必要以上に傷つかないかが心配なのです。そして、A君がお客さんを訴えそうな勢いなのも怖い。訴えなくても、それだけの怒りの熱量があるのが怖い。その熱量が従業員を護ってくれない会社だと転嫁されるのも怖い。自分の中では、世紀の大問題なのかもしれないけれど、世間では生ぬるい話だと、気が付いてくれないかなぁ……

 お客さんもある程度は悪いよ。でも、個人攻撃を執拗にしているかというと、そうでは無い。「口コミ」の域を出ない。ボーダーラインがちゃんとある。


  次行った時に、どうなっているかだなぁ。

 イメージが大切です。想像する事。自分以外の立場の人の事を自分のことの様に感じる事。正しくいる事と優しい事はイメージでしか両立できないんです。

 イメージして生きていきましょう。その先に何があるか。それを想像することが大切です。




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