自由自在に
『…★●◆』『◎▽♪…』『…☆※◇』『○□△…』
…ガヤガヤ話し声が聞こえる。
煩くて目が覚めたけど、樹上の小屋にはもちろん私以外に誰もいない。
もしかして? と思って下を覘いたら…、
(おぅ…)
…海一面、芋の子を洗うように人がいましたよ。
まるで真夏のプールみたいだった。水着を着てないところに違和感があるだけだ。比較的お年寄りが多いから、見ようによっては温泉の大浴場かも。
真下を覘くと島にもビッシリと人がいた。
家には入りきらないから地ベタにもたくさん座っている。受入れるとは言ったけど、まさかここまでとは思ってなかった…。
これだけいっぺんにって何があったの? 移転先が受入れ出来るようになるまでにどれだけの時間がかかるのかね?
いや、ツリーハウスが在ってよかった。
***
その騒ぎはしばらく続き、その後も新規の受入れが何度もあった。いくら高い所のツリーハウスといえど、始終大勢の話し声が聞こえると寝られない。
(大体ね…)
辺りをグルっと見渡す。
(限度ってもんがあるでしょうが! いくら魂同士が触れ合わないからって、狭い空間にこんだけ詰め込むか?! この人数に対してここじゃ狭すぎるんだよ!)
ダンっ!!! と床を拳で叩いて八つ当たりした瞬間、『カッ!!!』と辺りが眩しく光り、彼女は思わず目を閉じた。
…―――しばらく経ってゆっくり目を開くと、さっきまでの景色が一変していた。
「エェ――?!」
空間が広がったのか、遥か遠くにたくさんの小さな島が浮いていた。よく見ると、島にはたくさんの小さな粒がウロウロしているのが見えた。
あれは人?
ってことは、たくさんいた人達は島に移動したの?!
…やるじゃん、私!
海にも下の島にも誰もいない。いつも通りになった!
さっきまでの光景が嘘のようにいつもの景色(人がいないこと)に戻った。これで静かに眠れそうだと頷き、彼女は畳の上にバッタリと仰向けになった。
***
その後も受け入れは続いた。
そのたびに島は増えて空間も広がった。
受け入れた人達は随分長いこと滞在していた。どんな様子かは特に気にしていなかったが、ある時、何かの気紛れで島を覘いて見ると皆が暇そうにしていたので、彼女は何か暇つぶしが出来る物を考えてみた。
将棋・オセロ・碁・チェス・トランプ・花札・麻雀。半分くらい遊び方は知らないけど、駒や札くらい見たことはあるのだ。それと球技用の道具も一通り出してみたら、各々が集まって楽しそうに遊んでいた。
そして、数えきれないほど寝て起きてを繰り返した後、ようやく責任者は現れた。