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第壱話
そのターミナル駅は、いつもの雑踏のなかにあった。
何本もの鉄道路線が集まり、一日に三百万人を超える乗客が往来する。
だから、オレのようなやつがひとり消えようが紛れ込もうが、だれも気づかない。
オレは、切符を通すタイプの自動改札機の前で待ち伏せをして、狙いをつけたヤツの前に割り込む。
そして、その切符を投入した。
背後から舌打ちが聞こえた。
だがオレは振り返らない。
あんたに恨みはないが、しかたがないんだ。悪いが、オレは先にいかせてもらうぞ。
フラップドアに阻まれるまえに、オレはさっさと自動改札機を通り抜けた。




