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アウトドア系男子が、自宅警備員になる方法  作者: たいちょー
ep.1 本城さんってどんな人?
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本城さんは、陽キャが嫌い

 翌週の、平日三番手の日。どうしても欠かせないサークルの集まりが、月曜火曜と昼休みに続いてしまったため、ここに来るのはちょっと久しぶりだ。

 まさか寂しくなんかしていないよな、なんて期待を少しでも寄せてしまう自分もいたが、そんな気持ちはすぐに押し殺した。あの本城さんに限って、“寂しい”と思っているわけがない。ましてや、俺なんかを相手に。

 淡い期待は切り捨てて、なるべく急ぎ足で今日も俺は学食へと向かった。






 学食の自動ドアをくぐり、中へと入る。いつもの学食、いつもの場所、いつもの席に、いつもの仏頂面で、彼女はイヤホンを耳に付けながら座っていた。そんな背中に、今日も俺は声をかける。


「おーい、本城さん」


「あら……? 先輩じゃないですか」


 今日の本城さんは珍しく、イヤホンをしていた割にはすぐにこちらへ反応し、耳からそれを外した。どうやら今日は、最初の茶番をする気は無いらしい。


「なぁんだ、生きてたんですね。てっきり二日間も顔を見せないから、くたばったかと思いましたよ」


「んなわけないでしょ。そうやって、すぐに人を殺さないでよ」


「でも先輩、案外陽キャのくせにヘッポコじゃないですか。自転車乗ってても、よく転んでそうです」


「ヘッポコ言うな、ヘッポコと。俺だって、それなりに運動はできる」


 彼女の皮肉に反論しながら、近くのテーブルから椅子を一台手に取って、彼女の隣に置いた。

 咄嗟に彼女は嫌そうな表情を浮かべたものの、それでも口にする気が失せたのか、特に何も言われなかった。


「先輩ってヘッポコの割には、絶対高校の時の体育の成績は五でしたよね?」


「ヘッポコの割には、は余計だ。でもまぁ自慢じゃないが、確かに成績五は取ってたな。本城さんは?」


「……やっぱり先輩には、デリカシーってものがないんですね。つくづく呆れます」


「へ、なんで?」


 急にそんなことを言われてしまっても困る。一体今の質問の、何がいけなかったのだろうか?


「それ、女性に体のことについて質問しているのと同じですよ。なんですか、『君は運動できるのかい?』って。セクハラですか、気色悪い」


「えぇ……そう解釈しちゃう? そういうつもりはなかったんだけど」


「解釈も何も、同じでしょ。体力や運動神経、筋肉量だって体の問題です。それについて質問するなんて、『前の生理はいつ来たの?』って質問してるのと同じことです」


「いや、それは絶対違うと思うんだけど……」


 相変わらず、思い込みや偏見(へんけん)が激しい子だと思う。普通の女の子なら、きっとそんな風には思わないはず……だよ、な?

 あれ、本城さんに言われてみると、なんか自信が無くなってきたぞ?






「まぁでも、体育の成績は二でしたね。全然真面目にやっていなかったので」


「え、二? 二って、体育ならそうそう付けられない成績だと思うんだけど」


 他の教科ならまだしも、体育はちゃんと参加さえしていれば、中間の三は貰えるはずだ。体育で二を貰うだなんて、一体どんな授業の受け方をしていたんだ?


「だって、面倒でしたし。適当にチームを組んでバレーとかバスケをやることになったときは、いつも試合に出たそうにしてる陽キャの子に代理を任せて、私は体育館の準備室で寝てましたね。それから、生理が来たときは期間を盛って、結構サボってました」


「お、おう……。俺は男だから完全に理解はできないけど、生理の乱用、ダメ、ゼッタイだと思うぞ……」


「いいんですよ。相手が男性教師なら、何も追及されませんから。それだけでセクハラですし、今の時代なら訴えられちゃいますからね。適当にお腹が痛いフリしていれば、あとは傍観していればいいだけなので、ある意味楽な授業でした」


「は、はぁ……」


 女というのは、こういう時に無駄な武器を持っていると思う。いや、決して無駄ではないのだろうが、それを乱用する輩がこうして湧いて出てきてしまうことが、まず問題だと思う。


「そういう先輩は、さぞ陽キャ達とワイワイ体育の授業を楽しんでいたのでしょうね。きっと私みたいな陰キャの子から、代理を頼まれたことも多いでしょう?」


「そうだなぁ。結構色んな奴に代わりに出てくれって言われて出てたな。あの時は、もっと試合出たかったからラッキーって思ってたけど……いざこうして話を聞くと、良いように使われてたんだな、俺」


「先輩は特に操りやすいですからねぇ。格好の的だったのでしょうね」


「うぅ……。否定ができない自分が悔しい」






「ところで、本城さん。今日はやけに気分が良さそうだけど、何かあったの?」


 普段よりも、少しだけ口角が上がり気味になっている気がする。なんだかいつもの本城さんらしくない。


「あら? もしかして私、顔に出ちゃってましたか?」


「うん。なんか、ずっとニヤニヤしてるから。どうしたのかなぁって」


「やだなぁ、バレちゃいましたか。実はですね……」


 一度咳払いをすると、何か重大な発表をするかの如く、大きく間を溜めてから、彼女は言葉を口にした。


「この間話した、デジタルクエストのゲームが昨日発売して手に入れたから、早く帰って遊びたいっていうのと、前に人気過ぎて買えなかったゲームのデラックスパッケージ版が、ホントに偶々一本だけお店に置いてあったので、衝動買いしてしまったんです! 開封は今日帰ったらしようと思ってて、それがもう楽しみで楽しみで……!」


「あぁ……うん。そんなことだろうとは思った」


 正直なところ、半分察してはいた。先日会った時に、来週発売するとは言っていたし、それについての話題というところまで、俺は予想ができていた。


「……なんですかその顔。たかがゲームかって思いましたか? 思いましたよね? ふんっ、陽キャの先輩には、陰キャの私の楽しみなんて、分かるはずないですよ」


 そんな俺の渋い反応が気に食わなかったのか、本城さんがぷいっと顔を背けてしまった。子供じゃないんだから、そこまで本気で受け取らなくてもいいのに。


「わ、悪かったって……」


「知りません。これだから先輩みたいな陽キャは、大嫌いなんですよ。ちっともこっちの気持ちを理解してくれないし、理解しようともしないんだ」


「あぁ……」


 マズい。これは本当に、拗ねられてしまったみたいだ。

 以前付き合っていた元カノもそうだったが、女性というのは気分が良いときにそれを崩されてしまうと、こんな風に機嫌を一気に損ねるから面倒くさい。


 ――どうしたものかなぁ……。何か、機嫌を取り戻してくれるためには……。


 左手で頬杖をつきながら、右手の人差し指でコンコンと机を突いてリズムを刻んでいる。

 このままでは、本当に何も口を利いてもらえなくなるかもしれない。何か、アクションを起こさなければ。……そう思ったとき、ふと俺は、そんな彼女の手元に目がいった。


「はぁ。それじゃあ俺、ちょっと昼飯買ってくるよ」


「……ん。どうぞ」


 投げやりな感じで本城さんが呟く。そんな彼女の言葉に見送られながら、俺は学食のカウンターへと向かった。そこでいつものハンバーガーを二つ頼むと、しばらくしてから袋を受け取って、再び本城さんの元へと戻った。






「お待たせ」


「誰も気持ち悪い陽キャのことなんて待っていません」


 スマホをジーッと眺めながら、こちらを見ずに彼女がぼやく。


 ――気持ち悪いは余計だ。


「そう陽キャ陽キャ言うなって……」


 そんな風にされると、こちらのほうがため息を吐きたくなる。苦い気持ちを我慢して、貰ってきた袋の中に手を突っ込むと、買ってきたハンバーガーの一つを本城さんに向けた。


「ほら、これ。お腹空いてるでしょ」


 ようやくこちらを向いてくれた本城さんは、ハッと目を丸くさせた。ハンバーガーを向けられたことがそんなに驚きだったのか、少しの間本城さんは、ボーッとそれを見つめていた。


「……なんですか、これは」


「いや、どう見てもハンバーガーでしょ。食べなよ」


「なんで急に……」


「アレほど昼飯は食わなきゃダメだって言ってたくせに、今日は珍しく机の上に何も出してないなって思ってさ。財布を忘れたりでもしたのかなって思ったけど、もしかしたら本城さんのことだから、ゲーム買いすぎてお金が無くなっちゃったのかなー、なんて思ってね」


「っ……へ、へぇ。先輩にしては、こういう頭は働くんですね。よく見ているじゃないですか」


 どうやら、正解だったようだ。変な間違いを起こさなくてホッとする。


「なに、財布忘れたの?」


「いえ、その……お、お金が……」


 ――あ、後者のほうなんだ……。


「そう。……じゃあ、ほら。要らないの?」


「っ! ち、違います! 要らないわけじゃ、ないんですけど……」


 未だに目の前の光景が信じられないのか、まだ彼女はそれに手を出してこない。きっと遠慮しているのだろうが、そんな彼女らしくない反応はご遠慮願いたいものだ。


「何よ?」


「いや……私なんかが、いいのかな、って……」


「いいに決まってるでしょ。友達なんだし」


「は、わ、私はまだ、先輩と友達になんか……」


「んー? この間、連絡先を交換しましょうって言ったのは誰よ。そのためなんじゃないの?」


「それは……」


 そのまま彼女は、分が悪そうに俯いてしまった。どうやら、まだ悩んでいるらしい。そんなに気にしなくたって、俺は本城さんのことをちゃんと友達だと思っているのに。






「……ねぇ、本城さん。この間、君は『まだ出会って一ヶ月ちょっとの私達が、一緒に食事をするのにはあまりにも早すぎる』って言ったよね?」


「……? い、言いましたけど」


 彼女が首を傾げた。


「一ヶ月って、言葉だけだと短く感じるけど、意外と長いものなんだよ。俺は一ヶ月で、本城さんのこういうところにだって気付けるようになったし、本城さんのこともなんとなく分かるようになってきた。そりゃあ、まだまだ分からないところもいっぱいあるけどね。


 友達との距離感っていうのは、時間じゃなくて、どれだけ相手を知ろうと思えるかが大事だと思うんだ。何度も言うけど、俺は本気で本城さんと仲良くなりたいと思ってる。まだ俺の言葉が信じられないかもしれないけど、頭の片隅くらいには、そう入れておいてほしいなって」


 相変わらず、上手く言葉をまとめることができずに、長ったらしい言葉になってしまった。てっきり飽きられて聞かれていないのではと思ったが、そんな本城さんは顎に手を添えながら、何かをジッと考え込んでいた。

 そんなに重く捉えることでもないと思ってしまうが、彼女にとってのそれは、とてもじゃなく重すぎる問題なのかもしれない。


「つまり……それはいわゆる、“思いやり”ってことでしょうか」


「まぁ、そんな感じかな」


「ふぅん。……やっぱり陽キャが考えることって、陽キャなんですね。私にはまだ、よく分からないです」


「そりゃそうだよ。だって俺と本城さんじゃ、生きてきた場所や経験が違うんだもの。食い違いが生まれるのは当たり前。でも、それをお互いに認め合うからこそ、友達なんじゃないのかな? それが、人間関係ってものだと思うよ」


「認め合う、ね……」


 ぼんやりとそんなことを呟くと、ようやく本城さんがハンバーガーに手を伸ばした。思わず嬉しくなって微笑んでしまった俺に対して、彼女は気持ち悪いものを見るかのような目でこちらを蔑む。そんな彼女らしさは、相変わらずだ。

 彼女が本当の意味で、俺の言葉を理解してくれたとは思っていない。けれど、それでも――ほんの少しでも、俺の言葉を理解しようと思ってくれたから、このハンバーガーに手を伸ばしてくれたのだと、俺はそう信じている。






「ところで本城さん。そのゲームを買うのに、いくらぐらい使ったのさ?」


 ハンバーガーの包みをガサゴソと開いている彼女に、俺は問うた。


「え。そ、それはですね……」


 何やら苦笑いを浮かべながら、彼女はそっぽを向いてしまった。なんだ、そんなに大金を使ってしまったのか?


「……わ、笑いませんか?」


「別に? 笑わないよ」


「……ざっと、三万は越えました」


「え。えぇ……使いすぎだよ、本城さん……」


「ど、どうしても前から欲しかったんですよ! デジタルクエストは、体験版で上げられるレベルを全部マックスまで上げるくらいやり込んじゃったし、これは絶対神ゲーだからやり込むっきゃないと思って、奮発してシーズンパスも買っちゃったし、衝動買いしたデラックスパッケージ版は、初回限定版のオリジナルグッズと限定ゲーム内アイテムが二つも手に入るから、これは絶対手に入れたくて、わざわざ通常盤を持ってるくせに思い切ってそのままレジへゴーしちゃったし、その他にも調子に乗って色々ネットで調べてポチッちゃったけど、よくよく所持金のこと考えてみたら、残額七百円しかないって気付いて、流石にヤバイって思って焦って、一応銀行には将来のために貯金してる分は残ってるけど、それすら使っちゃったら、もう本当にあのクソジジイ無しでは生きられない、真の自宅警備員になっちゃうと思って引き出せなかったし、それで、それで……」


「わ、分かったわかった、落ち着いて! 取り敢えずたくさん買っちゃったってのは分かったから!」


「うぅ……」


 手に持ったハンバーガーに口すらつけられずに、萎むように俯いてしまっている。どうやらこれは、本気で落ち込んでいるようだ。


 ――好きこそ物の上手なれ、とは言ってたけど……こりゃもう、それ以前の問題だな……。


「はぁ……。分かったよ。多少の飯なら、俺が奢ってやるから」


「へ?」


 らしくない変な声を上げながら、彼女がこちらを向いた。


「で、でも、流石に先輩に迷惑です! お金絡みの問題になんて、巻き込まれたくないし……」


「別に構わないよ。お返しとかも求めてないし、可愛い後輩に飯を奢るくらい、どうってことないから」


「……一応聞くんですけど。先輩って何か、バイトとかしてますか?」


 意外にもあの本城さんが、“可愛い後輩”というワードに食い付かなかったのは驚きだ。それほど本気で焦っているのかもしれない。


「あぁ、してるよ。火、木、日曜日の夜に、配達会社の倉庫整理のバイトやってる。高校生の時もスーパーでバイトしてお金貯めてたから、飯代くらいならそんなに苦じゃないよ」


「そうですか……」


 そう言うと本城さんは、次の言葉を投げかけた。


「じゃあ、来週の月曜日までの朝昼晩、奢ってくれます?」


「……へ?」


「だってさっきも言いましたけど、私いま所持金七百円なんですよ? 月曜日には、クソジジイからの仕送りが入るので、それまでの辛抱なんです。でもこんなんで、あと五日も生きていけるわけがありません。だから、先輩にゴチになってもよろしいですか?」


「あっ」


 しまった。そういえば、七百円だって言っていたのを忘れていた。それではいくらなんでも、俺の財布がしおれた花みたいになってしまうではないか。


「……やっぱり、ダメですよね」


 そんな返事を寄越さない俺を見て、再び諦めたように本城さんが俯いてしまった。マズい、早く決断して答えないと。

 急いで鞄から財布を取り出して、所持金を確認する。……お札は野口さんが二枚だけ。だが今度時間があるときに下せば、まだやっていけるとは思う。


 ――ダメだ、自分で余計なことを言っちゃったけど、自分の言葉には責任持たなきゃな……。はぁ、一気に買おうとしてたマンガ、来月に持ち越すしかないか……。


「もう……分かったよ。朝昼晩全て出せるかは分からないけど、言ってくれれば奢ってやるから」


「ホントですか! やったぁ! いやぁ、やっぱり持つべきものは友達だなぁ……」


 被せ気味にぱぁっと表情を明るくさせて、喜んでみせる。わざとらしくうんうんと頷くと、嬉しそうにハンバーガーをあむっとかじった。


「……本城さん。今のってまさか」


「決まってるじゃないですか、演技ですよ。まったく、今回は私だからいいですけど、私以外でこんな分かりやすい演技に引っかかっちゃダメですからね? とはいえ、先輩が情に負けて自分から言ったんです。責任は持ってくださいよ。さぁて、今日の夜ご飯は、何を奢ってもらおうかなぁ」


「……しくじった」


「何か言いました?」


「いや、なんでも……」


 本気で焦っているように見せるために、敢えて“可愛い後輩”にも反応せず、興味もない俺のバイト事情までも聞き出して、同情を引こうとしたんだ。あんな風にされてしまったら、嫌でもうんと言わざるを得ないじゃないか。こうして俺は、彼女に上手いように扱われているのだと思うと、なんだか本気で萎えてしまった。

 やはり人は、容易に信じるべきではないのかもしれない。一瞬でも彼女のことを信じてしまった自分を、俺は酷く恨んだ。



 ◇ ◇ ◇



 そうして何だかんだ、くだらない会話を繰り広げること数十分。早いことに今日のお昼休みも、もうすぐ終わりを迎えようとしていた。


「そうだ、先輩」


 荷物をまとめ終わり、お互い次の教室へと向かおうとした去り際。何かを彼女が思いついたように言うと、こちらを振り向いた。


「ん、どうしたの」


「いえ、大したことじゃないんですけど……」


 なんだからしくない表情を浮かべて、口をもごもごとしている。何かを言いたげな様子で、言葉を詰まらせること約十秒。一つ決意したような顔をすると、ようやく彼女が口を開いた。


「その、今度から、そっちの席でお昼食べませんか? 今のままじゃ、話づらいし」


 そう言うと彼女は、今まで俺が椅子を拝借していた数人用のテーブル席を指差した。急にこの子は、何を言い出すんだ。


「えっ? でも、いいの?」


「だって……友達なんでしょ? 私達。友達があんな風に、話づらいまま一緒にいるなんておかしいじゃないですか」


「あ、あぁ……。それも、そうだな……」


「……そ、それじゃあ、そういうことで。明日からは、そっちの席でお待ちしています。――また明日です」


「っ……」


 思わず、ドキリとした。けれど、そんな俺の都合などは一切気にせずに、彼女はさっさと背を向けてしまう。


「あ……。うん、また明日!」


 そうして、軽く右手を振りながら立ち去っていく彼女の後ろ姿を、見えなくなるまで俺はジッと見つめていた。






 ――ま、まぁ……一ヶ月もあれば、人も変わるもんだよな。……やっぱり、本城さんも人間だな。


 何を当たり前のことを。つい可笑しくなって、フッと口から笑みがこぼれる。持っていたハンバーガーの包み紙をクシャクシャと丸めながら、その場に立ち上がった。


「さて、俺も行くか……」


 座っていた椅子を、元の場所へと戻す。数歩だけ進んでから、改めて俺は彼女が座っていた席を振り返って覗いた。


 別れ際、初めて俺に堂々と向かって見せた、不器用ながらも自然な彼女の笑顔を思い浮かべながら――。

これにて、本章は終わりです。ここまでお読みいただき、ありがとうございます!


次回はいよいよ、(超クセの強い)新キャラが登場します……!

果たして二人の関係が、一体どんな風に拗れていってしまうのか?

お楽しみに!


もしよろしければ、ブックマーク・感想・評価もしていただければ幸いです。執筆のモチベーションになります!


【筆者のTwitterはこちら→@sho168ssdd】

詳しいお知らせやご質問などは、Twitterへどうぞ。小説家になろうのマイページにも、Twitterへのリンクを貼ってあります。

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