プレゼントは…「下着?」「死ね!」
その後も9月そして10月に入り、少しずつ秋が深まっていく。
夏のフォーラムが終わったからといって、我々の業界はヒマにはならない。秋は各企業、団体とも総会シーズンだ。
俺をふくめた幹部は手分けして、顧客各社の総会の来賓として出席する。
総会での顧客の経営計画等の発表を聞き、今後の経営支援へと繋げていく。社員の反応や同じく来賓としてくる取引先企業の反応なども覗くことで、顧客の課題も見えてくる。
俺は連日の総会、そしてパーティ等へも招待され、その後の2次会3次会へと流れていくパターンが多い。これも仕事だ。
「うぉい、ガモーチャン!!もういっけんいくどー!」
「もう、シャチョー!おらく(お宅)のかいじゃ(会社)はズバラジー!」
「ぐわはは!じゃあ、きゃわいい、女の子のいる店にいっちゃおかー!?」
「いっちゃおー!」
…てな具合に真面目に誠実に顧客と肩を組み、向き合って日々努力を重ねている。これも仕事仕事と自分に言い聞かせながら…。
あっという間に、予定していた10月20日が近づいてきた。その間も、二海とは他愛のない日常の会話をメールで続けてきた。その日にあった嬉しかったこと、辛かったこと、なんでも彼女は話してきた。いつしか、この些細な日常のメールが、俺の大切な日課になっていた。
俺は二海への誕生日プレゼントを決めかねていた。なんてったってお世辞にも年下の未婚女性にプレゼントをあげるのは初めてだからだ。
「妹よ~!!どうしたらいいんじゃー!」
「は?意味わかんね。アタシ忙しいんだけど」
俺は妹に頼ることにした。事情を知るのはコイツしかいないからだ。
「やはり嫌味すぎず、きちんと誠実さが伝わるものがいいんじゃない?」
「へ?なにそれ?」
「ん~例えば衣類は着けてなきゃプレッシャーだし、毎日使えるし、邪魔になんないものとか?そ
「下着?」
「そう!毎日使えるしね!って、死ね!セクハラ中年!」
「ひどい…(T0T)」
「冗談はさておき、ちゃんと彼女のことを見ておけばわかるんじゃない?あとは自分で考えたら~アタシこれから彼氏とデートだし。」
「は?!兄ちゃんは聞いてないぞ!誰だ!どこのどいつだ!?」
ブチッ
ツー…ツー…
切られてしまった。
たしかに顧客に対してもそうだ。相手の目線のその先にあるものは、相手の立場にたって考えなければわからない。
妹よ。ありがとう。
そして今度話をするときは彼氏について詳しく教えてくれ!
10月19日(木)19:12
YukiFutami1020@ssweb.com
Sab:こんばんは!
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ただ今帰宅しました♪
今日もお疲れ様でした(^_^)
明日は一日代休をいただき、夜に備えようと思います。
部長も明日はお休みでしたよね?
今から何を着ていこうか迷っています(^-^;
居酒屋さんって初めてで、どんな格好をしていけばよいのでしょう?
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居酒屋をフランス料理か何かと勘違いしているのでは!?
俺は「今日もお疲れ様!明日はこちらこそ、よろしくね。夜は備えるほど緊張せず、リラックスして来てくれればいいよ~。安くてボロい居酒屋なので服装も普通の格好で充分だよ!ジャージを着てるおじさんも、作業服を着てるおじさんもいるよ!」と送る。
たぶん、ご両親の愛情を一身にうけて、大切に大切に育てられてきたのだろう。“世間知らず”な面もあるが、あまりに“純粋”なのだなと思わされるときもある。




