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お義母さん、はじめまして。って、いつ会えるの? !

平屋の趣ある家の前で立ち止まる。


昔、おじいちゃんが米屋さんをしていたらしい。

家の前には、小さな花壇。パンジーと葉ぼたんが丁寧に植えられていた。


「ここですよ、着きました」


ガラッガラと引き戸を開けて、土間から由樹が

「おかあさん、ただいま~」

と、さけぶ。


すると、奥から

「お帰りなさーい!」

と女性の声がする。


バタバタっと土間の奥にあるガラスの格子戸ををあけて現れたのは、明るめの髪に、ゆるいピンクのパーカーをはおった少女だ。これが実樹ちゃんだろう。


「お姉ちゃんお帰り。」

「ただいま、実樹。おかーさんは?」

「奥でゴハンつくってるよ、あ、えーと、」

実樹ちゃんの視線がオレのほうに向けられる。さりげない視線でオレを値踏みしてるよ、この子!こわいよ!


なにこのオッサン、まじさえねーやつじゃん、童貞臭と加齢臭がおりまじってまじくせーんだけど、姉ちゃんの趣味まじありあえないんだけどー


って思われてるよ。絶対!(←あくまで妄想です)


「か、蒲生か、和弘です。こんにちは」

「あ、お姉ちゃんの彼氏の…、こんにちは妹の実樹です。はじめまして」

「はじめまして。よろしく実樹さん」

あー!ノッケから噛んじまうし、ノッケから下の名前で読んじゃうし。

…しげしげと見られている…気がする。


「どうぞ、おあがりください」

案内されて、土間をあがると、そこはリビングであろう、畳の部屋だった。今どき見たことがない昭和の香りがするちゃぶ台。その前におかれた座布団に腰をおろす。


実樹ちゃんが由樹になにやら耳打ちしている。

ねえ、オレのこと?ねえ、気になるよ!…なんていえないよね。


「す、すみません和弘さん、ちょっと母を呼んできますね」

「あ、はい」

実樹ちゃんと由樹が連れだって部屋から離れた。


ポツーン

あれ?帰ってこない?


あかん、眠くなってきた。


言い訳するんじゃないけど、朝からオレは大忙しだった。

夕べは緊張で眠れなかったんだ。


いちばん美味しいと言われるケーキ屋“Le.Bonte”に並び、ショートケーキを買う。

今からが旬のイチゴをふんだんに使ったムースのショートや、和栗のモンブラン、カマンベールチーズのケーキ等々10個くらいを選び抜いた。店員さんにはどこかのケーキ屋からのスパイかって怪しまれるくらいショーウインドウに眼を釘付けていただろう。


そして、その近くの藤乃生花店さんでプリザーブドフラワーをお願いした。

爽やかなグリーンアレンジ。ローズやブルーとオレンジのカーネーションで濃淡のあるグリーンが演出されて、派手でも華美でもないが、優しい色合いが好きだ。


そしてとなりのクリーニング屋のオヤジをたたき起こして、取りに行けていなかったワイシャツとスーツを奪うようにして持ち帰る。

そして、由樹を連れだって電車に揺られ、雨森市へ。

そして、まさかの待ちぼうけ。←今ココ




ぐぅ。


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