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「好きな人ができました」

私はこれまで人に自分の家庭の話をするのが苦手だった。


たしかに、母子家庭だったけど、お金もなかったけど、でも暖かく、厳しい母と賑やかな妹たちにかこまれて、幸せだった。

誰かに話すとき、必ずお父さんの話になる。でも私はほんとにお父さんを知らないし、「なんで?」と聞かれても答えは出てこない。

そんな父や母のことを同情されるのも嫌だし、哀れに思われるのも好きじゃない。


だから、私は誰かに家庭の話をするのが、苦手なのだ。


だけど、今日は話した。

和弘さんが

「お母さんやご家族に挨拶に行きたいんだ」

って言ってくれたから。

私の大好きな和弘さんに、私のこと、私の大切な家庭のことを知ってほしかった。

お母さんは20代前半で彼女ら娘3人を産み、女手ひとつで育て上げてくれた。お母さんは「娘想いのとても厳しくも優しい人」だと私は伝えた。怒るとかなーり怖いんだけど、そこは言わなくてもいいかな…?


まだ和弘さんとのことは一言も言っていない。

「アタシの気に入ったオトコにしか娘はやらない!」

と公言して憚らないお母さん。

カレシができたって言うのが怖かった…。


でも、和弘さんの言葉がグサッと心に突き刺さった。

ホントに好きなら、ちゃんと堂々と「好きな人ができた」と言おう。と思った。

なんて言うんだろう…怖いなあ…。


Rururu…。


「もしもし?」

「あ、お母さん?私。」


「由樹?あんた、ずいぶん連絡してこなかったじゃない!何ヵ月ぶりなの?メールしてもぜんぜん返事が返ってこないし、心配してたのよ?」

やばっ、返事返すの忘れてた(>_<)


「ごめん、ごめん、バタバタして忘れちゃってた!元気だよ!」

「もう、ほんとにあんたは。まあ、元気そうでよかったわ。で、どうしたの?」

お母さんあのね…

私、好きな人ができたの‥

…と、そう言おうとした時


「おねーちゃん!カレシでもできたんじゃない!?」


お母さんの電話の向こうから、妹実樹の声がする。

相変わらずの実樹の洞察力には脱帽だ。

保育園のときは私を虐めてきた男子達を木の枝を振り回して追い払ったり、小学校の時には私の同級生の男子から「アネキ!」と呼ばれたり。

カレシができるのも、私より5年も早かった。高校時代には貢がれたものの多くを現金化して、我が家はお金がないからわりに自己?資金を使って、化粧やおしゃれを楽しんだり。

ホントにどっちが姉かわかんないよ。


「そうなの!?アンタにもついに春が来たのね~!!!あ、でも、アンタはウブで天然だから、そこらへんのロリコンオヤジにたぶらかされてないか、心配だわ~」

はしゃぐ母の声。ホントに野生のカンだよ。怖いよ


うっ‥

‥

…半分否定できない!


「え?まさかの図星!?アンタ、ロリコンオヤジの愛人になってるの!?」

「あ、愛人じゃないもん!!」




ロリコンは否定しないのかよ!

(蒲生和弘心の声)





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