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変態上司だと、思われたくない!

蒲生和弘

年齢38歳


好きな歌手 ささきいさお、影山ヒロノブ、槇原敬之、ZARD

好きな歌 ロボットアニメ主題歌全般 90年代のラブソング


機関駅から快速電車で2駅 10分


駅の改札を出ると二海が待っていた…


なんてことはなく、そんな妄想に浸りながら、駅から徒歩15分のマンションにつき、部屋に入りシャワーを浴びて横になる。


初めて彼女ができたのはハタチ前。4つ歳上の女性だった。服装もオシャレに気を使い、タバコも覚えて必死に背伸びをしてカッコつける。

しかし彼女は1年後、3歳歳上の男にあっさり持っていかれた。


その2年後。大学4年の時、高校の同級生の女性と付き合った。彼女は家計が大変で、働いていた。

そんな彼女の家に転がり込んで彼女が働いている間、ヒモみたいにごろごろ寝るだけ。しまいには寝タバコで失火しそうになり、家を追い出された。


それ以後、タバコも辞め、酒の量も減ったが、まともな恋愛はできていない。

働きはじめて仕事を最初は転々としたものの、今の会社の社長に、巡り会えたのが幸運だった。

俺のがんばりを過大に評価してくれ、うまい具合にのせられて気がつけば今年から部長職。地方都市の中小企業とはいえ、50人の部下を持つことになった。


しかし、不思議に恋愛には縁どおかった。単にモテないだけだろう。不思議じゃない。


しっかし、なんだかなあ。

若くてかわいいとはいえ、部下の気安い発言に、ドキッとするなんて。

いかんいかん!!彼女いない歴が15年近くになると童貞に戻るのか!?

私は猛烈な恥ずかしさを勝手に覚えながら寝ることにした。


----

それからは何事もなかったかのように、また日常がはじまった。


俺は彼女に預かったハンカチはクリーニングしたものの、

「オッサンが一度つかったものを返されても…」

と、影で気持ち悪がる10代女子の顔がすぐに、妄想できた。

でも返さなかったら

「そのハンカチでナニやってんだよ。キモッ」

とか、絶対に思われる。一昼夜寝ずに考えた。

結局、

もう一枚買うことにした。

借りたハンカチがコスモスだったから、藍色のリンドウの描かれた白色のハンカチをつけて渡すことにした。

居なかったら机の上に置いておいてもわかるように、名刺サイズの和紙のカードに俺の名前と電話番号とメールアドレス(返品時のためにね!)と少し気持ちばかりのメッセージを書いて和紙でつくられた包装紙のなかに一緒にいれた。


会社で私的なやりとりをするのもどうかと思ったが、

「二海さん、先日はハンカチをありがとう。洗ったので、返すね」とだけ、伝えて渡した。


彼女は少し驚いた顔を見せたが、少しおとなしめな笑顔で受け取ってくれた。


その夜、メールの着信があった。


9月15日(金) 19:03

YukiFutami1020@ssweb.com

Sab:二海由樹です

--------

先日はありがとうございました。

まさか、こんなにすてきなハンカチをいただけるなんて思っても見なかったです。

家で開けてみて驚きました…。よかったのでしょうか。

もしいただけるのであれば、とっても嬉しいです。


またステキなメッセージも嬉しくて、少し泣いてしまいました。

部長と出会えてよかったです。

いつも優しい心遣い、本当に嬉しいです。部長は私にとって大切な方です。その後はお体大丈夫ですか?お仕事無理なさらないでくださいね。

本当にありがとうございました。

----------


そんな大層なメッセージは送ってないのだが、泣けるほど思い詰めていたのだろうか。

「あなたのがんばる姿を見ている人は必ずいます。私もその一人です。だから、無理せず自分のペースで、歩いていきましょう」

と書いただけだ。


俺は「喜んでもらえて安心しました。これからも、力になれたら幸いです。何かあれば遠慮なく言ってください。

どん、と受け止めます!明日もよろしく(^O^)おやすみ。」

--------


いかんいかん、19歳の女性を相手に、「うわっこの上司、ストーカーかよ!きもっ」とか言われたらたぶん立ち直れないし、下手すれば失業だ。


なので、返信メールはあっさりに限る。

返信させなくてもいいように。入れては消し、消しては入れて…


…にも関わらず、返信は来た。


9月15日19:35

YukiFutami1020@ssweb.com

Sab:返信ありがとうございます

--------------

ありがとうございます。嬉しいです。

部長が居てくれて、本当によかったです。

明日も、そして、これからもよろしくお願

いいたします。(^^)


二海由樹

---------------


小一時間悩んだが、返信は返さなかった。

「返信の返信とか、クソ上司まじうぜえ」

と思われたくなかったので。


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