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①初めての魔法使い

「ラルドが主人公だったら、なんかカッコイイ必殺技とか叫びながら放って魔王を打ち破るようなストーリーになりそうですね !」


「まじかバリバリの勇者じゃん!なら武器は剣がいいな!それから必殺技は切り裂き魔をイタリア語に変えて!スクワルタt、あっ食べ終わったか」


「はい!ごちそうさまです」


食力が無くなったとはいえ、折角作って貰った食事を残しちゃダメだ!


もったいない精神が働いた私は、若干飲み込むようにエッグベネディクトが乗っていたお皿を綺麗になるぐらいは食べ切った。


いつの間にか重苦しい雰囲気だった部屋が、すっかりライトを付けたように明るい。


「じゃあ住民票の手続きはメイドに任せているから、今は異世界にきた八重の立場や生活、魔法について話をしようか」


あれ?魔法について説明してくれるのはいいとして、もう夜空 蕾、ウルさんに起こったことは聞かなくていいのかな。


「あのウルさんの件については?」


「まぁユキの話を聞いたところ、シロノクニにきた理由も魔法暴走原因も不明。今は調査員の結果を待った方が良さそうだ」


「そう……ですよね。あのっできればウルさんが変化した理由が分かったら教えてください!」


こう言うと、ラルドさんが鋭い目付きバージョンになって考えだす。


だっダメなのかな?銀の鍵事件関係者の人物だし、知られすぎると困ることがあったりして。


不安になっていると、オオカミの雰囲気を醸し出していた彼が、


「ああっいいよ」


考えが決まったのかイエイヌのような笑みを浮かべてこう言った。


「あっありがとうございます!」


はぁー良かったぁー。

知らないままだとモヤモヤする。後、ウルさんのことが心配だ。


銀の鍵事件に関係することかもしれないし、聞いとかないとね。後、ウルさんのことが心配だ!


……そう表面的に考えながらも、やっぱり自分のせいでは無いのかと思う自分がいる。


何故かは分からないけど、私は夜空 蕾を蹴落とす様な真似をした気がして仕方なかった。


それをどうこうするべきなのか、懺悔したほうがいいのかも決まってないし、彼女が許してくれるのか満足するとも思わない。


ただただ今は不安や罪悪感が毒霧のように体を苦しめて息が苦しい。


毒に感情や苦しめられている自分から解放されたい。


一時的にでも自分のせいじゃないと安心したい。


そんな考えから調査結果を聞きたいと考えてしまっている。


……本当はウルさんの心配より、心の安定を図る自分が何となく嫌で嫌で単純に辛い。


「八重さん?顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」


心の調子の悪い私に対し、ユキさんが首を横に傾けている。


"彩花が私の体調を気にしてくれた。"


急に私の中からでてきた声。

この言葉に疑問に持ちながらも、ユキさんのお陰で少し黒い霧が晴れたような気がした。


ユキさんを見ていたら落ちつくのかもしれない。そんな風に思ってカップを持ちながら観察する。


「あのじーとハシビロコウみたいに僕を見られても困ります」


あれ?

安心というより、殺された恨みと怒りがふつふつと湧いてきた。何でだろう?


「恨みはらせよおくにけり」


「なっなっぁ……ぁあ!」


私は殺した恨みを晴らすため、ユキの耳をもふもふし始めた。

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