銀の鍵事件
2018年5月19日、改稿 3回目です。
1回目 初期の文章に情景描写などを付け加えました。
2回目 文章の可笑しな点、構成を修正をしました。
3回目 改行部分の見直し、修正をしました。
初めて読む方はもちろん。もう読まれた方もまた見ていただけると嬉しいです。
放課後の学校は人が少なくなり、薄暗くて寂しい。
精々賑やかなのは、音楽室から廊下へ漏れ出しているピアノを弾く音と、誰かの囁くような歌声ぐらいだろう。
こんな綺麗な音楽も微かにしか聞こえない校舎の一角に、一つの教室がある。
その教室の周りは、ボロボロの段ボールと、絨毯の様に巻かれた大きな印刷用紙で廊下が埋まっていて、埃っぽくインクの匂いを漂わせている。
中も窓から運動場の様子が見られないほど段ボールで密閉されていた。
どう考えても、倉庫だろうとしか思えない場所。
けれど中に、たった一人で新聞を読んでいる女子生徒が居る。
彼女の名前は雨宮 八重といい、この月夜高等学校では変わり者として有名だ。
理由は、彼女が読んでいる新聞が関係している。
“2013年10月31日
月夜高等学校で生徒四名が銀の鍵で自殺未遂。生徒達は意識不明で病院に運ばれていった。その後一人の男性生徒が意識を取り戻したが、記憶障害があり動機は不明。
同様に一週間前、女性生徒が銀の鍵を使い自殺を図っていたことも判明した。
その他に…。”
このように中身は曖昧、動機も不明な記事の内容。
そしてこの通っている学校で起こり、5人が自殺未遂したという不吉な事件。
確か警察の捜査では、5人とも自分の手で鍵を刺し、血は反対側に綺麗に飛びちっていて、誰かの足跡もなかったという。
何らかの理由で精神的に追い込まれていた人が集まり、自殺したという形で落ちつき。とうとう“私たちには理解が出来ない自分勝手な事件”となった。
そして新聞の記事になったといえども、3年前の事件で彼女が調べようがない話のはずだが、彼女だけは違い、調べに調べている。
例えば、色々な生徒にこの事件について聞き込み捜査をしまくって、あまりにもしつこ過ぎたのか先生に注意されたり、部外者以外立ち入り禁止の資料室をピッキングで鍵を開けようとして、また先生に注意されたり……。
ここまでする理由は本人でもよく解らない。
しかし推理オタクだから、5人の生徒が銀の鍵を使って自殺しようとするなんて、変わっている不思議な事件、“これはきっと深い理由があるはず!”と考えてしまうのだろう。
そして今日も彼女はペンとメモ帳を持ち、警察の真似事を始めるのだった。
お読みいただき、ありがとうございます!
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