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ドラゴンメイデン  作者: 中澤メタル
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第四話 「竜人、世話を焼く、服も焼く」

すいませんお待たせしました。

――古い古い話が竜人族の間にあった。



 遥か昔、火竜族の王、風竜族の王、水竜族の王、雷竜族の王がそれぞれ集い話し合った。


「――雷竜の王よ、黒の民は退けられたと聞いた。しかし根絶やしではなかろう? 脅威の種は未だ潰えておらんのだろう?」


 風竜族の王はそう言った。


「根絶やしにはならんだろう、始祖竜様達はそうすべきではないとおっしゃっておった。皆一つだと」


 火竜族の王は深いため息の後にそう言った。


「ふん、ワシらは所詮水の中。陸の上は陸の上、水の中は水の中よ。いつもいつも陸の上は騒がしいわい、全くもって関するに値せん」


 水竜族の王は水の中から顔を出してそう言った。


「黒の民とまとまる気などさらさらない、降りかかる火の粉は払うまでよ。第一、お前達はやつらの何を知っている」


 雷竜族の王は声を強めてそう言った。


「やつらと争っているのはお前達だけではないぞ。皆、幾度となく民を殺されておる。全く相変わらず戦いしか脳のないやつらめ」


 風竜族の王はそうあざけった。


「言葉を慎め小やかましい風よ。黒の民の次はお前達でも構わんのだぞ」


「ぬかせ雷が、やってみよ。前々から貴様の一族は・・・」


 そう言って雷竜族の王と風竜族の王が言い争いを始めた所に火竜族の王が割って入った。


「やめぬかお前達、また争いの時代を繰り返すつもりか? これでは集った意味が無いぞ」


 そこにザバリ、と水から上がった水竜族の王は言う。


「この集いの目的か。皆で集い力を束ねよ、だな。始祖竜様らのお達しであるな。だが結束し、黒の民とやりあえというのか。そもそもどう束ねるというのだ」


 火竜族の王はこう告げた。


「・・・黒の民は脅威だが、その事だけではない。もっと先の未来への話だ。それぞれの持つ力を各々の範疇はんちゅうに留めているだけでは時代はいずれ同じ道をたどる、と。私はそう考える」


 一同がお互いの顔を見合わせた。火竜族の王が続ける。


「ただ戦う事だけが私共の『力』というわけではない。火竜族の豊かな実りと鉄を打つ技をもって、それらをそなた達にもたらす『力』としたい」


 風竜族の王が大きくうなずき、そしてその後に続いた。


「なるほど、それがおぬしの『力』か。ならば我らは雲を操ろう。雨を呼びたければ、我らを呼べ。そして雨を退けたければ、再び我らを呼べ」


 雷竜族の王は少し悩み、やがて決意の表情を見せる。


「・・・すまぬ、我らはやはり戦いの力しか持ち合わせてはおらぬ。ならば我らは、このいかずちの力をもって皆の剣となり盾となることを誓おう」


そしていよいよ残るは水竜族となった。皆が水竜族の王の顔を見るが、彼は横を向いてこう言った。


「フン!ワシか!水の中から何をお前達にもたらせば良いと言うのだ。魚でも捕ってこいというのか」


 火竜族の王は考え、答えた。


「私としては魚でもいいが、貴方達には人間達の事を頼みたい」


「人間だと?」


 驚きの声を上げる水竜族の王に火竜族の王はこう言った。


「人間達は『舟』というものに乗って海から我々の地に近づく事がある。彼らを遠ざけて欲しい。頼めるだろうか」


 しかし水竜族の王は渋っている。


「海から来る人間共を遠ざけるなら、風や雷にでも出来るであろう」


 だが火竜族の王は首を振った。


「風や雷では彼らを海の藻屑にしてしまうかもしれない。貴方達なら穏やかに舟を元の岸へと追い返せるはずだ」


 その言葉に水竜族の王は目を丸くしたが、すぐに答えた。


「良いだろう。ワシらは潮の流れを操り、人間共をお前達の地から遠ざけてみせよう」


 そう聞いた火竜族の王は満足げにうなずき、こう言った。


「皆良くまとまってくれた。これでこの先の未来、私達は皆一つだ」



 今となっては竜人の年寄りが語るのみの、古い古い話であった――。




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





「ん~ッ、まずは腹ごしらえしないとね。この舌に絡みつくねっとりと濃厚な甘み・・・むしゃ、むしゃ、むしゃり・・・」


「コロナ様、そういって何個目ですか・・・早く行きませんと」


 コロナが食べているのはマンゴーだ。雷竜族のところへ飛んでいく道中、マンゴーの木を見つけ、腹ごしらえのため降り立ったのだった。道中、とはいったが朱焔殿しゅえんでんを飛び立ってからまだ5分とたっていない。

 出発前に食事をしたばかりなのだが、まだまだコロナには物足りなかったようでどこかに食べ物はないかと思っていたところ運良くこのマンゴーの木にありついた。熟し、その溢れんばかりの甘い香りがさらに食欲を掻き立て、夢中になってむさぼった。


「んー、うぁんおふ、うぁんおふ。ふぁ、ほおほおひうは、(んー、満足満足、じゃ、そろそろ行くか)じゅるるる・・・」


「マンゴーはあまり食べ過ぎると体に良くありませんよ、あとちゃんと種を吐いてしゃべってください」


 もごもごと平たい種をいつまでもしゃぶり続けるコロナにドミネは呆れた様子である。


「ぺっ、んー・・・まだまだ味があるなぁ、とりあえず袖に入れておくか」


「はわっ!?汚っ!」


 唾でベトベトの種を躊躇無く巫女装束の袂に放り込むコロナに驚きつつドミネは東の空を指差した。


「もたもたしてると日が暮れてしまいますよ、コロナ様。雷竜族の地は夜すごく冷えますから、我々にとっては危険な地域なのです」


「うんうん、わかってるよぅー、前にも行ったことあるからね。さてお腹も膨れたし、それじゃ出発!」


 そう言うが早いかコロナは羽を勢いよく広げ、ズバッ!と飛び立った。・・・西の方角に。


「はわーッ!?そっちじゃありませんコロナ様ーッ!お願い戻ってーーッ!!」


 慌ててその背を追うドミネ。この先、無事にたどり着けるかすら不安になってきた彼女であった。




―――豊かな森の姿がしだいに消え、眼前に荒涼とした砂漠が広がりつつある。そうしてコロナ達は雷竜族の国『シンティラ』の地へ入った事を悟った。


 二人はしばらく砂漠の上を飛んでいたが雷竜族の民に未だ人っ子一人として出くわしてはいない。ヴァルカンの国土の数倍以上あるこの広大な砂漠は、生命の気配すら乏しい地であった。延々と砂ばかりの世界をひたすら飛んでゆくも、目的地への道のりを見失うことは無かった。上空から少し北を見やると大きな川が見え、この川を視界に捉えつつ進んでいけば雷竜族の長の下へ辿り着けることを二人は分かっていた。


「川が見えてきましたね、コロナ様、宮殿まであともう少しですよ」


「んぅー、はっほは、ほっほもほふらっひゃっはは(やっとか、ちょっと遅くなっちゃったな)じゅるる」


「また種を・・・あれからさらに道草食うからですよコロナ様」


 先ほどの話だ。森と砂漠の境目の川辺に差し掛かったときコロナが声を上げた。


「あーーーーっ!? 象だーーーー! 親子だーーーー!」


「はわっ!? えっ!? ちょ!コロナ様ーーーー!?」


 コロナは水浴びをする親子の象を見つけるやいなや直角に方向転換し、急接近を始めた。そして子象の背にどすん、と降り立ち乗り心地を堪能する。


「どーん!!あははー、象かわいいなーよしよし」


 子象をすりすりと愛でるコロナ。しかし突如現れた赤い珍獣を二匹は外敵と捉え、むずがり、身じろぎする我が子の背の敵を排除せんと母象は鼻から勢いよく水を放つ。


「びえぇーーーッ!? やめてーーー!!」


 背から転げ落ちるコロナ。泥の水たまりの中をのた打ち回り、母象にあわや踏んづけられるところでドミネに救出された。


「なにやってるんですか・・・まったくもう!」


「びえぇ・・・ごめんドミネぇ・・・」


 泥だらけになった服と体を引きずりながら離れた所に移動し、汚れた装束を脱いで木の枝に引っ掛けた。コロナはこんなこともあろうかと下にいつもの黒い服を着込んでいたのだった。


「はわわ、どうするんですかコロナ様!せっかくの服を泥だらけにしてしまって!そのままじゃあの方にお目通りできませんよ!?」


「んー、しょうがない、ちゃちゃっと乾かすか」


 呆れかえるドミネを尻目に装束を少しでも乾かそうとコロナは炎を吹いて炙る。そして装束に少し焦げ目が付いたところで慌てたドミネに羽交い絞めに止められたのだった。

 本当なら泥をきちんと洗い落としたかったのだが、やはり水に近づくのは抵抗があり乾かすだけに留めておいたためところどころ泥の塊がそのままになっている。


「うぇー、今着るのはよそう、宮殿に入るときに着るかな」


 コロナはそういって服を畳んで小脇に抱えた。


 そんなこんなで、やっと雷竜族の王が住む『エルヒタン宮殿』の姿が遠くに見えてきた。およそ半日ほどの道のりであったがドミネには途方もなく長い時間に思えた。



――エルヒタン宮殿――


 大河とオアシスに囲まれた雷竜族の代々王族の壮大な宮殿として古い歴史をもつ。美しい庭園には数々の花が咲きその奥にそびえ立つ白亜の宮殿は『規律と品格の一族』といわれる雷竜族の気高さをかもしだしている。外敵から侵略され続けた歴史もあり、防衛のための数々の砦が宮殿の周りに構成されたその景観はかつて『不落の城塞』とうたわれていた。


 その宮殿の横手の上空からドミネはいくつもの影がこちらに近づいてくるのが見えた。


「あれ? コロナ様なんでしょうねあれは? お出迎えの方々でしょうか? それにしても数が多いような・・・」


その言葉にしばらく目を凝らしていたコロナが驚きの声を上げる。


「びえっ!? ちがうよあれ! ワイバーンの群れだよ! こっちに来る!」


 ワイバーンは竜人たちが役竜えきりゅうとして使役できないドラゴンの一種である。それらは総じて野生の竜、すなわち野竜やりゅうと呼ばれ、その中でワイバーンは知能が低く体はコロナぐらいに小さくも群れを成すと凶暴で家畜や集落を襲う事がある。


「はわわっ!? どうしましょうコロナ様? 私達ではあの数は太刀打ちできませんよ?!」


「早く宮殿の中に入ろう!」


 二人は羽ばたきを速め、ワイバーンの群れに鉢合わせすまいと宮殿へまっしぐらに向かったが思いのほか群れの動きが早く、宮殿までもう一息のところで取り囲まれてしまった。


「びええーーッ!! 囲まれたーッ! どうしようドミネぇー?」


 上下左右どちらを見てもワイバーンだらけだった。数にすればおよそ200匹以上はいるであろう。そのぎゃあぎゃあとうるさい鳴き声と羽音、そして顔にかかる羽ばたきの風が二人の心臓を早めていく。


「はわわわわ・・もうやるしか、ありませんね・・・。コロナ様、炎でこの数をどこまで撃退できるか分かりませんが、隙を見て宮殿へと逃げましょう」


 ドミネの眼が竜の瞳になる。体温を上昇させて大きく息を吸い、大きな炎の塊を目の前の固まった集団へと噴いた。しかし、


「ギャアアッ! ギャアアアアーーッ・・・・!!」


 あれだけの大きな炎に飲まれ落ちていったのはたった一体だけだった。ワイバーン達はその炎に怯むことなく時折二人に急接近し鋭い鉤爪を掠めていく。


「びええーーーッ!? 来るな来るなーーーッ!!」


 コロナも応戦しようと闇雲に炎を噴きまくった。しかしワイバーンの反応速度は速くそのことごとくを避けられてしまった。


「くッ! このおッ!! ゴオオーーーーッッ!! ・・・・あ」


 小脇に抱えたままの汚れた装束がこぼれ、コロナはうっかりそれめがけて炎を噴いてしまった。燃え盛り、空中で灰になりながらひらひらと落下していく。


「びええーーーッ! 服がーーーッ!!?? なんてこったーーーッ!! びええーーーッ!!」


 動揺し、頭を抱えるコロナ。油断したその顔めがけワイバーンの鉤爪が迫ってきた瞬間、


 ―― ドーーーン!!!! ――


 大きな雷鳴と閃光が辺りを包んだ。それとほぼ同時に迫ってきたワイバーンが煙を立ち上らせながら地面へと落ちていく。続いていくつもの雷鳴と共に稲妻が立て続けにワイバーンたちを打ち落としていく。


「お二人とも、お怪我はありませんか? 申し訳ありません、追いつくのが遅れてしまいまして」


 二人はその声の主を見やる。そこにはしとやかな雷竜族の女性がいた。輝き、長く美しい金色の髪はその胸前で優雅な縦巻きのカールを描き、その頭部にヘラジカのようなてのひら状の角を生やしている。美術品のように細工の施されたきらびやかな鎧を豊かな胸からしなやかな腰にかけて纏い、篭手をつけた腕から伸びる黄色がかった鱗の手先に大きな刃先の槍が太陽の光を浴びて輝いていた。


「あーーー!! エクレアだーーー!!」


 コロナはその女性を指差し驚きと喜びの声を上げた。


「あら? もしかしてコロナ? ここで会うなんて、お久しぶりですわね」


 そういって優雅に微笑むエクレアの側をワイバーンの爪が掠めた。


「っと、挨拶は後にいたしましょう。お二人とも! わたくしの後ろにお下がりください」


 言われるやいなや、二人はエクレアの後方に回りその後ろ姿を眺めた。陽光を受けた黄色の羽は神々しく羽ばたき、伸びた尻尾から時折パリパリと雷が小さく放電している。


招雷しょうらい!」


 力強く放ったかけ声と共にその全身に雷が纏い始め、穏やかなその瞳が竜の眼の鋭さを宿す。


「一匹たりとも逃しはしませんわ」


 彼女がワイバーンへとその槍の切っ先を向ける。耳をつんざくほどの轟音とともに放たれた幾筋もの稲妻が次々とワイバーンに命中し次々に打ち落としていく。


「ほおぉーーー! エクレアすごいぃーーーー!!」


 そういって感心するコロナのすぐ背後にワイバーンが迫ってきた。


「コロナ様! 危ないぃッ!!」


 ドミネが声を上げる。とっさに炎を噴こうとするが間に合わないほどにその距離は迫っていた。


「ハッ!」


 ヒュン! と風を切る音。


「ギャアアアアアアッ!!!」


 瞬間、飛来したエクレアの槍がワイバーンの頭に突き刺さり、血しぶきと共に落下し砂地を赤く染めた。


「びえぇ・・・危なかったぁぁ、ありがとねエクレア」


「どういたしまして、これも務めですから。さて残りは・・・あら、やっと来たようですわね」


 エクレアが見た先に鎧をまとった雷竜族が3人ほど姿を現した。


「エクレア様! ご無事でしょうか! 申し訳ありません、他の群れを討伐して遅れを取りました」


 それぞれ頭を垂れる3人をエクレアは手を上げて制した。


「わたくしがワイバーンなどに倒される程非力な者だとでも? 謝辞の前にまだすべきことは残っています。皆、ワイバーンを一匹たりとも逃してはなりません」


「御意」


 すぐさま3人が離脱し各々が放つ雷がワイバーンを次々と葬り去り、やがて空に舞うのは竜人たちのみとなった。


「はわぁ・・・流石は雷竜族ですね」


「びえぇ服が・・・」


ドミネとコロナは呆けた顔でその様子をただただ見ていた。



「―――なるほど、それでこちらの地へ」


 一同は地上に降り立ち、エクレアは先ほどの槍を抜き取りながらコロナ達が来た経緯を聞いていた。


「それでエクレア様、直ちに女王様にお目通りしたく存じます」


 頭を下げるドミネの前にコロナが割って入った。


「待って待ってドミネぇ! ちょうどエクレアがいるんだからもうここで書簡渡して良しにしない?ね?」


「はわっ!? いやいやいやコロナ様! ものには順序というものがありますから! いくらなんでもそれはダメですよ!」


「えぇーーー!? ね? だめ?エクレア」


 手をすりながらエクレアを見るコロナ。


「ええ、もちろん、ダメですわ」


 にこやかに強く言い返されてしまい、ぶぅ、としょげるコロナ。


「御付きの方の言うとおりですわコロナ。それは女王様に必ずお話をなさっていただかなくてはなりません」


「うぇー、やっぱトレノおばさんのとこに行かなきゃダメな・・・・もがぐぐっ!」


 いきなりドミネに口を押さえられるコロナ。


「ちょ、ちょちょ! コ、コロナ様! 雷竜族の女王をおばさん呼ばわりはさすがにまずいですよ!・・・あ。ほほほ、エクレア様、なんでもございませんので」


 その様子を見てエクレアは、はぁ、と小さなため息をついた。


「全く相変わらずですわねコロナ。よくそれで使いとして来ましたわね。あと、あんまり無礼な事を働くとさすがに不敬罪として捕らえられかねませんので、あしからず。母君の厳しさは、皆良くご存知でしょう」


「びえっ! それは困る! って、あ! そうか、トレノおばさんはエクレアのお母さんだもんね、お互い厳しい親を持つと苦労するね、うんうん」


「言われたそばからあなたはまた・・・しょっ引いて差し上げましょうか」


 言いながら槍の柄を強く地に突きたてるエクレアをドミネがすぐさまなだめようとする。


「はわわわわ・・・コ、コロナ様! もう早いとこ女王様に会いに行きましょう! すいませんエクレア様! どうかここは穏便に!」


 コロナをまた羽交い絞めにしてエクレアから後ずさるドミネ。


「まったく・・・そうですわね、今は長話をしている時ではありません。こちらの三人に案内をさせます故、お二人とも直ちに謁見の間へ参られるように」


「あっ! 待ってーエクレア」


 先ほどやってきた三人組にいくつか話し、飛び立とうと翼を広げたエクレアをコロナが呼び止めた。


「なんですかコロナ?」


「いやー実はさっきのワイバーンのせいで巫女の装束をダメにされちゃったから、今こんなのしか着てないんだよねー。さすがにこのままのカッコでおばさ・・・女王様に会うのは気が引けるから、なんか服貸してもらっていい? まったく困ったワイバーン達だよねほんと」


 そういいながらコロナは焦げてボロボロになった装束の切れはしを見せる。


「まあ、それは大変・・・ふぅむ、なんか本当に全部ワイバーンのせいなのか若干怪しい気もいたしますわね、何故か焦げてますし・・・。まあ仕方ありませんわね、服もご用意させるといたします。ただし、く・れ・ぐ・れ・も、汚したり破いたりすることのないように! いいですね!? 綺麗に扱ってくださいまし!」


「お、おぉう。わかったわかった・・・。」


 服の話になると急に口調を強めだしたエクレアに気圧けおされつつ、コロナ一行はいよいよ宮殿へと入っていくのだった。

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