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Morbid relations  作者: 皐月
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第1章ー出会いー

 高2になった春。

 

 新学期に入り、浮き足だった声が周りから聞こえてくる。


 新しいクラスに新しい友達。


 そんなものの何が楽しいのか。何が面白いのか。俺には理解できないし、する気もない。


 今回のクラスは2ー3。出席番号は14番。


 そんなもんで充分だろう。


 何故、ここまで騒げるのか。何故、仲良くなりたいなどと考えるのか。


 誰が何を考えているかなんてわからない。相手が例え笑顔だとしても、その顔の裏ではどんなことを考えているのかさえ自分達は気付くことができない。


 そんな中でどうして無条件に相手を信頼するのか。


 友達なんていらない。親友なんて馬鹿げている。ましてや彼女なんて必要性すら感じない。


 ここまで来ると恋愛にうつつを抜かす奴等の気が知れなくなる。信頼のおける人間なんて、そうそういる筈がない。心から気をゆるせる仲なんて、いたら奇跡に近いだろう。


 そんな俺に遂に彼女ができた。


 「遂に」という表現は少しおかしいかも知れない。

自分自身、待ち望んでいたものではないからだ。それでも信頼のおける人物というものは中々に嬉しいものだった。


 彼女の名前は矢継(やつぎ) (まい)。俺が物心がついた頃から初めて人の心を、「好意」という感情を俺に実感させてくれた人であり、俺のクラスメイトである。


 舞と恋人という関係になったのは始業式の当日。午前中で授業が終わってしまい、暇をもて甘していた午後2時頃のことである。

 

 その頃俺は一人、道を歩いていた。家にいても特に何もすることがないし、かといって誰かと遊ぼうという気もない。日が暮れる頃までそこらを彷徨いて帰る予定だった。


 ただ、不運なことに人気を避けて進んでいたら少し目をつけられたらしい。3~4人、俺と同じくらいの年の男達が絡んできた。


 自惚れている訳ではないが喧嘩は強いほうだと思っている。よく周りからカモ扱いをされてきたからか、結構な数の場数を踏んできた。男達はニヤニヤと笑いながら近づいてくる。


 最早、見慣れた光景になりつつあるその表情を前にして、気付かれない程度に反撃にかかれるように身構えておく。こうしたのも一応相手のことを考えての行動だった。ただ、その行動も相手の男の一人が腕を振り上げたことから相手を気遣った行動ではなくなった。第一撃をかわし、驚きの表情を見せている男の顔に一発、拳を入れようとしたその瞬間。横からの攻撃によって男が吹っ飛んだ。


 俺にも何が起こったかわからなかった。囲まれていたせいで気づかなかったが誰かが側に落ちていた鉄パイプで殴ったようだった。


 男達が殴ってきた本人を見据えた。俺もつられてそちらを見たがそこにいたのは、鉄パイプを携えた女だった。


 顔もスタイルも整っている、ここに居ることが明らかに場違いな少女がそこに立ち、にこやかに微笑んでいる。


 男達も驚いてはいるが、一人気絶させられているため一度標的を変更したようだ。残り3人の内、2人がその少女に近づいた。


 ーーー男達の意識が完全に少女へ向いていることを確認した俺は残った一人に行動を仕掛けた。


 まず、残った一人の腹に一発入れる。完全に油断していたらしく簡単に崩れた。そこへすかさず足に向けて回し蹴りを叩き込み、その流れのまま回し蹴りを、今度は足をついた男の頭へ向けて叩き込んだ。


 今度は俺が一人でまたもや一人を気絶においやったことに驚いた男達は、一度意識をこちらへ向けた。


 ーーーその瞬間に今度は少女が行動にうつし、残った2人を片付けた。


 騒動が終わった今、改めて見るとその少女は俺と同じ学校の生徒であることがわかった。制服を着ていたから気づけたことだが、しかし相手の表情から、制服でないにも関わらず、彼女は俺のことを知っているらしい。


 「こんにちは♪龍くん♪」


 彼女は笑顔で微笑みかけてきた。赤い液体が滴るそのパイプを携えながら。

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