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幽霊王女と優しい殺し屋  作者: 佳景(かけい)
第1章
2/29

―1―

 ある新月の夜。


 星影と睦み合う夜風と共に、ジェスは音もなくバルコニーの窓から部屋に滑り込んだ。


 纏うのは闇夜に溶け込む黒装束。


 顔も髪も片目も黒い覆面に覆われていて、緑色の強い隻眼だけが覗いている。


 その目で、ジェスは辺りに素早く視線を配った。


 静かなきらめきを放つ、鈴蘭に似たシャンデリア。


 高く足を上げた馬を戴く飾り時計や彫像が並んだ棚。


 他にも立派な調度が並んでいるようだったが、こう暗いと上等も粗末もない。

 

 部屋の中にはジェスと、天蓋付きの大きなベッドの中でいびきを掻いている男の他には誰もいないようだった。


 ジェスは床一面に広がる絨緞の上を猫のように静かに歩いて、ベッドの前に立つ。


 その上では獲物が何も知らずにいびきを立て続けていた。


 今日の獲物は、豚のように醜く肥え太った中年男。


 伯爵でそれなりの地位にあろうとも、死んでしまえば只の肉の塊でしかない。


 ジェスは袖口から無造作にナイフを取り出し、振り上げた。


 幾度も繰り返してきたその動作には、最早何の感情も篭ってはいない。


 ただ殺そうという意志があるだけだ。

 

 まるで人間を殺すためだけに作られた人形のような、機械的な動きで男の胸を貫こうとしたその時。


「駄目ーっ!」

 

 突然すぐ近くから若い女の声がして、ジェスは思わず手を止めた。


 標的を視認するより早く、ナイフを投げる動作に入る。


 余計な殺しはしない主義とはいえ、これ程接近されて気付かなかったとあれば仕方がなかった。


 勢いよく手を離れたナイフの先には、しかし誰もいない。


 ナイフは暗い虚空を切り裂いて、棚の飾り時計にぶつかった。


 頭に響く硬い音がして、寝ていた男が悲鳴を上げて飛び起きる。


 あれ程の大声がしたというのに、今まで起きていなかったらしい。


 ジェスは声の主を探して部屋中に鋭い視線を走らせたが、やはり自分と男の他には誰もいなかった。

 

 またか。

 

 ジェスは心底うんざりした。

 

 子供の頃から幽霊が見えたり、声が聞こえたりするということがあったが、今回もその類らしい。


 紛らわしいことこの上なかった。


 ジェスは舌打ちしながらバルコニーに飛び出すと、重さがないような軽やかさでロープを伝い、屋根へと上り始める。


 開け放たれたままの窓から、男が喚き散らす声が聞こえてきた。


 ジェスと同じ覆面姿の女はジェスを屋根に引き上げると、非難がましい目を向けるでもなく、黙って踵を返す。


 屋根を走り始めた女に続いて、ジェスも飛ぶように屋根を駆けた。


 今後の段取りは既に決まっている。


 謝罪や説明は後ですればいい。


 今しなければならないのは、速やかにこの場から離れることだ。

 

 先を走る女が火薬玉を庭に投げ付けると、大きな音と共に炎が撒き散らされた。

 

 屋敷の者の注意が炎に向いている隙に、ジェスは女と共に屋根から下り始める。


 女が先にロープを握り、ジェスもその後に続いた。


 ジェスはするするとロープを下りていたものの、途中で握っていた少し上からロープが突然切れる。


 思わぬ事態に体勢を崩しながらも、空中で一回転して危なげなく地面に着地すると、ジェスは女と塀に駆け寄った。


 女の踏み台になって女を先に塀の上に上げ、自身も女の手を借りて塀の上に上がる。


 塀はかなりの高さがあって、飛び降りた途端に足が痺れるような痛みを訴えてきたが、ジェスは構わず駆け出した。

 

 この暗さだ。

 

 街灯のない所を選んで走れば、まず見付からない。


 闇の一部になったかのように女と静かに町を駆けていると、闇よりもなお暗く、ぼんやりとした人影のような幽霊が見えた。


 しかも一つではなく、いくつもだ。


 ただ見えるだけならまだしも、呻きとも泣き声とも付かない声まで聞こえて、ひどく煩わしい。


 できることなら意識の外に置いておきたかったが、見聞きできてしまうものはどうしようもなかった。


 ちりぢりになりそうな意識をまとめて、ジェスは女と共に夜道を走る。


 しばらくして尾行されていないことを確かめてから、女はそっとマンホールの蓋を開けた。


 暗闇の中にその身を沈めて梯子を下り始めると、ジェスも女に続いてマンホールの中に入る。


 そして音を立てないように素早く、だが静かにジェスは蓋を閉めた。


 地下には昼も夜もなく、空気は地上のそれよりも尚冷たい。


 梯子を下り切った先は水路になっていて、小さな舟の上では覆面姿の少女がジェス達を待っていた。


 二人が舟に乗り込むと、少女が櫂を大きく動かして舟を動かし始める。


 冷気と共に、しっとりとした水の匂いがゆっくりと肌を撫でた。


 三人乗るのが精一杯の小さな舟は、カンテラの明かりと漕ぎ手の記憶を頼りに、暗い水を裂いて素早く進む。


 カンテラから伸びる光が水と共に揺らめき、ジェス達の影の形を変えた。


 ここでもまた影に混じってぼんやりとした幽霊がいくつか見え、不気味な声が聞こえてくる。


 ヴェリリエールの町の地下には、こうした水路以外にも多くの路が網の目のように広がっていると言われていた。


 切り出した石を運び出すための産業通路、地下に生きる者達が独自に作り上げた通路、上下水道として活用される水路など、用途は様々だ。


 あまりに入り組んでいて、全てを把握している人間は一人もいないと言われている。


 この水路も元々あった水脈を利用して作られているため 、全てを知り尽くすのは容易ではなかった。


 ジェスにしても知っているのはこの地下水路のほんの一部に過ぎない。


 危険だということで立ち入りを禁じられてはいるが、地下通路を活用している者は少なくなかった。


 警察の手も地下まではほとんど及ぶことはないし、地上の人間に見咎められることなく町の至る所へ移動することもできる。


 迷路のように複雑な地下通路は追っ手を撒くにも都合が良かった。


 下手な冒険心さえ出さなければ、これ程安全な路はないだろう。


 漕ぎ手の少女は静まり返った水路の先へと、迷いなく舟を進めていた。


 舟は右へ左へと進み、入ってきたマンホールはあっという間に遠ざかっていく。


 それでもジェス達は互いに一言も口を利くことはなく、意識を研ぎ澄ませて辺りを警戒し続けていた。


 聞こえるのは櫂が水面を叩く音と、舟が水を押しやる微かな音だけだ。


 ここは闇が深過ぎて、夜目が利くジェスですらほとんど何も見えない。


 だがかえってわずかな空気の揺らぎすら感じられる程に感覚が鋭敏になっていて、視界が利かないことなどどうということもなかった。


 しばらくして舟が筏の上に建てられた小屋へ辿り着くと、ジェスは小さく息を吐いてようやく気を緩める。


 ここがジェス達の家だ。


 ジェス達の身長よりも低い屋根の、今にも崩れそうな小屋だった。


 三人で住むには明らかに狭いが、寒ささえ凌ぐことができれば十分だ。


 水に囲まれているせいでかなり冷えるとはいえ、飲み水や用足しに困ることはないし、いざとなれば家ごと引っ越しもできる。


 なかなか便利な隠れ家だった。


 筏に付けられていた二艘の舟の隣に舟が止まると、ジェスは筏へと移り、慣れた手付きで舟を舫い始める。


 舟を漕いでいた少女がジェスを手伝い、女はドアを大きく軋ませながら先に小屋へと入って行った。 


 ジェス達もすぐに作業を終えて後に続く。

 

 屋根が低いせいでどうしても腰を屈める羽目になるが、中は三人が雑魚寝できる程度の広さはあった。


 その小屋の中を、古いランプが温かな光で照らし出している。


 ナイフや銃。その手入れをするための道具。着替え。寒さに備えるための大量の毛布。時計。日持ちする食べ物が入った袋。薪。


 暖炉代わりの古い鍋の中で、炎が空気を漁るかのように勢いよくうねっていた。


 ジェスは敷きっ放しの毛布の上に腰を下ろすと、手早く覆面を外し始める。


 長いという程ではないにせよ、いかにも伸びるままにしているという風情の茶髪と、右目を覆う眼帯が露わになった。


 だが決して右目を失った訳ではない。


 もう長い間、寝る前にしか眼帯を取っていないが、今でもきちんと見えていた。


 その眼帯の下では、緑玉の左目とは色違いの青い瞳が輝いている。


 隠すのは卑屈な気がしてジェスとしてはどうにも癪だったが、仕事柄目立つ身体的特徴を晒して人の印象に残るのは良くないだろうと、人前では敢えて隠し続けていた。

 

 まだ十六、七の少年だと言うのに、二つの瞳にあるのは希望や無邪気さではなく、生きようとする強い意志だけだ。


 顔立ちは端正と言って差し支えないが、その目のせいで見る者にどこか獣染みた印象を与えている。


 覆面を取ったジェスが靴を脱いでいると、二人も覆面を外して寛ぎ始めた。


 ジェスと共に屋敷から逃げてきた方がオルガ。


 ジェス達とは親子程も年の離れた中年女だった。


 鼻に古い傷があることを差し引いてもなかなかの美女だが、愛想というものがまるでない。


 まるで笑い方を知らないかのように、いつも見事なまでの無表情だった。

 

 青い瞳は滅多に感情に揺れることはなく、今もただ鏡のように部屋を映しているだけだ。


 切るのが面倒だからと伸ばしっ放しにしている赤い髪は、碌に櫛けずられることもなく、無造作に束ねられている。


 服装も洒落ているとは言い難い男物の古着で、折角の美貌が台無しだったが、本人はそんなことなど少しも気にしていないようだった。


 養い子として、少しは気にして欲しいとジェスは思う。


 このままでは結婚どころか、恋愛も難しいだろう。


 一方、舟で合流した方はジェスと同じくらいの年頃の少女で、リディと言った。


 肩に付くかどうかの長さの鳶色の髪。

 

 手や首に巻かれた包帯が、闇の中で異様な程白い。


 怪我をしている訳ではなく、自分で付けた傷を隠すために巻かれたものだった。


 いつの間にか人を切り刻むことに喜びを見出すようになったリディは、しばしば自分自身をも切り刻むようになってしまっている。


 切れれば何でもいいらしかった。


 その鳶色の瞳には紛れもない狂気の色があって、もう十年近くも一緒にいるのに、ジェスは時々リディが怖く思える時がある。


 いかにも勝気そうではあるものの、滅多にいないような可愛らしい少女で、一見すると少しも怖くはないのだが。


「で、どうだった? ちゃんと殺せたの?」


 リディがナイフを弄びながら問いかけてきたが、ジェスは曖昧に語尾を濁した。


「まあ、いろいろあってな……」

「ふーん、用心棒でもいた?」

「ん、そういう訳じゃねえんだけどよ……」


 ジェスはさっさと話を切り上げようとするが、リディの追求の手は緩まなかった。


「何? はっきり言ってよ」


 リディは聞き出すまで納得しそうにない様子で、ジェスは仕方なく正直に話すことにした。


 先程からずっと黙ったままのオルガも、内心では知りたがっていることだろう。


 原因がわからなくては今後の仕事に障りが出る。


 ジェスは狭い小屋の中に落ち着きなく視線を彷徨わせながら、ぼそりと言った。


「……空耳が聞こえたんだよ」

「空耳?」


 リディは怪訝そうな顔をしたが、すぐにからかうような笑みを浮かべて言った。


「また幽霊って訳ね」

「うるせえ!」


 ジェスは手近にあった毛布をリディに投げ付けた。


 自分だって好きで見聞きしている訳でもないし、できることならもう関わり合いになりたくないのだ。


 いきなり壁や床をすり抜けて出て来られて、何度驚いたか知れない。


 姿が見えなくても近くにいれば気配を感じるし、声も聞こえる。


 ひどい時には叩き起こされることさえあった。


 大抵の幽霊は真っ黒で顔などわからないが、もしかしたら殺した相手に祟られているのかも知れない。


 仮にそうでなくとも、とても気持ちのいいものではなかった。


 おまけに見えないリディ達には正気を疑われているところもあるらしい。


 二人に見えないということは本当に自分がおかしいのかも知れないが、どうして自分ばかりがこんな目に遭わなければならないのだろう。


 ジェスが思い切りやさぐれていると、リディが毛布をナイフで切り裂いて顔を出した。


「幽霊だか何だか知らないけど、それで失敗するなんて、お前相変わらずツキがないね」


 そう言われてジェスはぐ、と言葉を詰まらせる。


 思い返せば、子供の頃から幸薄い人生だった。


 色違いの目を気味悪がった両親に人買いに売られ、何とか逃げ出したところをオルガに拾われてからも大小様々な不幸が続いた。


 道を歩けば財布を落とし、鳥の糞が降り、犬に吠えられ、噛まれる。


 それだけならまだしも、二人は何ともなかったのに一人だけ流行り病にかかったり、ならず者が起こした喧嘩のとばっちりを喰らって死にかけたりもした。


 つい先程も、何度も安全を確認した筈のロープがいきなり切れたばかりだ。


 ジェスがすっかり仏頂面になっていると、オルガがゆっくりと唇を動かした。


「……やはり、お前はこういう商売にはあまり向かん性質のようだな」

「そんなこと言われたって、運なんて努力や根性でどうにかなるもんじゃねえだろ」

「……だから向かんと言っている。本当に強運な奴は、神の不公平を呪いたくなるくらいに運がいい。もう駄目だと思うような時でも不思議といつも生き残る。運の良さが必須だとは言わんが、こういう商売だ。お前のような奴は、いずれつまらんことで命を落とすかも知れん」

 

 オルガは無口な性質で、いつもは一言くらいしか喋らないというのに、今日は珍しく長く喋った。


 それだけ忠告する必要があると思っているのだろう。


 リディはともかく、オルガに言われるのは結構堪えた。


 こういうことを言われるのは決して初めてではないが。


 唇を引き結んだジェスに、オルガは淡々と続ける。


「……今回は大きい仕事だ。この仕事を済ませたら、別の町に移る。付いて来るなとは言わんが、どうするかはよく考えて決めろ」


 ジェスは黙って立ち上がると、二人に背を向けた。


「……ちょっと出てくる」


 小屋を出たジェスは、曲げていた腰を伸ばして大きく伸びをしてから溜め息を吐いた。


 やはり二人とずっと一緒にいるのは難しいのかも知れない。


 だが、自分に人を殺す以外のことができるのだろうか。


 ずっと人を殺して生きてきて、それ以外のことなど何も知らない。


 今とは違う生き方ができるとはとても思えなかった。


 人を殺し続けたせいで壊れてしまったリディと同じように、気付いていないだけで自分も既に壊れているのかも知れない。

 

 かと言って、このまま二人といればいつか自分のせいで取り返しの付かないことになってしまう気もした。


「……どうすっかなー……」

「ねえ、何か困ってるみたいだけど、ちょっといいかな?」


 突然背後から聞こえてきた声に、ジェスは顔を引き攣らせた。


 あの屋敷で聞いた声だ。


 素早く振り返ったジェスの目に飛び込んできたのは、小屋の上に浮かぶ赤みを帯びた金髪の少女と長い黒髪の青年だった。


 少女はジェスと同じくらいの年頃で、見覚えのない顔をしている。


 身に着けている服は質素ではあっても、決してみすぼらしくはない。


 育ちの良さそうな雰囲気を漂わせているし、貴族か何かなのかも知れなかった。

 

 細い体を透かして、辺りを埋め尽くす闇が見えている。

 

 もう一人の黒髪の男も知らない顔だった。


 こちらは透けてはおらず、蝙蝠のような大きい羽を背負っている。

 

 身に纏うきらびやかな長衣に着負けするどころか、その美しさを見事にねじ伏せて従えていた。


 男の華やかな存在感と美貌に、ジェスは言葉もなく見入る。


 体が透けていないところからすると、変り種の幽霊という訳ではないのだろう。


 恐らく魔物だ。


 人とは違う理の中で生きる、不可思議な力を持った者。


 人間とは異質で、異様な存在。


 異なる大陸に住まう彼等がこんな町中に現れることは稀で、ジェスが魔物を見たのはこれが初めてだった。


 体が震えることこそなかったが、それでも体の奥底から恐怖が這い上がってくる。


 横で平然としていられる少女が信じられなかった。


 見ない方がいいと思いつつも、視線を絡め取られたジェスは男から目が離せない。


 ジェスが黙って男を見つめていると、少女が言った。


「よっぽど魔王が気に入ったみたいだね。君も魔王の力の綺麗さがわかるのかな? 冬の朝の透き通った水みたいだよね」


 先程の声の主は少女だった。


 耳に柔らかく響く声で訳のわからないことを言われ、ジェスはわずかに眉を寄せて少女を見る。


 目が合った。


 ただそれだけのことなのにやたら嬉しそうに微笑みかけられて、ジェスは大いに面食う。


「な、何だよ?」

「良かった。ちゃんと私が見えてるみたいだね」

「別に見たくて見てんじゃねえよ。俺に何か用なのか?」

「うん、ちょっとお話してみたくて」

「はあ?」


 ジェスは思い切り眉間に皺を寄せた。


 どうやらこの幽霊に気に入られてしまったらしい。


 つまりは取り憑かれたということなのかも知れなかった。


 殺された恨みで取り憑いてきたと言うならまだ納得もできるが、こんな少女に覚えはない。


 不幸にできるなら誰でもいいなどという、迷惑極まりない手合いなのだろうか。


 生身の人間ならまだしも、幽霊では殺して片付ける訳にも行かない。


 おまけに隣には魔物までいるのだ。


 困ったことになった。


 ジェスが真剣に悩み始めているとも知らず、幽霊は小さく首を傾げて言った。


「何か心配事? あ、もしかして魔王に何かされるって思ってる? 大丈夫だよ。何もしないから」


 危険がないというのは半信半疑だったが、ジェスはとりあえず幽霊の言葉を信じることにした。


 下手に騒いで魔物を刺激する方がまずいだろう。


 ジェスが再び口を開きかけた時、小屋の中からリディが訝しげな顔を出した。


 その手にはしっかりとナイフが握られている。


 幽霊の存在を見聞きできないリディからすれば、自分が一人で喋っているようにしか聞こえなかっただろうが、一応様子を見に来たのだろう。


「どうかした?」

「……何でもねえ。俺、ちょっと出てくるな」


 この幽霊にはまだいろいろ訊きたいことがある。


 ジェスは物言いたげな目をしたリディをその場に残し、一人舟に乗った。

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