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君と黄色いニコちゃん風船  作者: 文月睡蓮
1/1

欠けたモノ

ねぇ、(サトシ)覚えてる?

二人で見た川の上を流れて行った黄色いニコちゃん風船…。


二人で過ごした時間の中で、一番穏やかで大切な時間だったよ…。






まだ私たちは子供で…相手の事を思いやる余裕もなくて、好きなのに傷つけ合うばっかりだった…。



慧は私がアナタの事たいして好きじゃないじゃないと思ってたみたいだけで、あれから10年経っても色褪せる事なくアナタを想っている。




私は、どんな風に気持ちを表せれば良いのか分からなかった…。

好きなに伝わらない事がもどかしかった…。

本当は、バスケ部のマネージャーから告白されたって言われた時すごくヤキモチ妬いてた。

私は同じ学校じゃないし、学校以外はバイトばっかりで会える時間は少ない。

マネージャーが羨ましかった…。

私も楽しそうにバスケしてる姿を側でみてたかったよ…。


高校時代、家庭もゴチャゴチャしてて精神的にも私はモロかった。

慧に素直に甘える事も出来なくって、家庭の問題もいっぱいいっぱいで私どうしたら良いのか分からなくなってた…。

生きている意味も分からなくなって…自分は誰にも必要とされない存在なんじゃないかって思えて、自分の腕を切っては流れる血があること何故かホッとしてたんだ…。


付き合って何ヵ月か経って、慧から別れようって言われたよね。

こうなるって何となく分かってた…。

色んな物が欠けている私じゃ慧は幸せになれないって…。


私はこの時心の一部を失ってしまった…。


慧から別れを告げられた後、誰と遊んでも私のカラッポの中身は埋まらなかった…。


初めてのキスも…

初めてのセックスも…


慧じゃなかった…。


色んな人と遊んで、友達と飲み歩いて失った物を代わりの何かで埋めようとしてた。


でも…いつまで経っても、失った一部が埋まる事はなかった。



三年が経って、ある切っ掛けで二人はやり直す事になった時本当に奇跡だと思った。

すごく幸せだった…。

初めて慧とキスした時、心臓が壊れるんじゃないかと思うぐらいドキドキしたよ。


この時間がずっとずっと続くって思ってた…。



やっぱり私じゃダメなんだって…

悲しくって何もかもがしんどかった…。


やり直そうって言われた時、私は『無理だよ…』って答えた。


私は逃げたの…。


二回、慧から別れを告げられて本当に悲しかった…。

やり直したい…もう一度二人で向き合いたい…


でも『もし、また私の事が嫌になったら?また別れようって言われる…またあのキツイ想いをするの?』そんなマイナスの感情でいっぱいになった…。


だから、私は逃げたの…もう一度向き合う勇気がなかった…。





でもね、私バカだからまた二人は巡り会えるって漠然とずっと信じてたの…

どんな風に離れたとしても、また慧と一緒にいる未来を夢見てた…。






でも現実ってすごく残酷…。










風の噂で何年か前に結婚したと知って、私の世界は色を失いました。




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