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お義兄さんとHなDVD

タイトルはアレですが、ちゃんと15歳未満でも問題ない内容です

「よいしょっと。これで良し」

私が何をしているかというと、友樹さんに送る荷物をまとめているところです。


実は友樹さん、3か月前に会社から1年間の海外赴任を命じられたのです。

辞令が出た時は春樹が生まれてまだ半年なので、友樹さんも私も一緒にいたかったのですが、こればかりは仕方ありません。


それで何の荷物をまとめているかというと、主に日本食です。

向こうにも売っているには売っているのですが、やはり日本で売っているのが良いみたいです。


お義母さんとお義兄さんも手伝いに来てくれました。

そう言えば今日は平日なのですが、お義兄さんは会社どうしたんでしょうか?


「トモ君の大好きな、このおかずも中に入れてやってくれや」

と、お義兄さんが持っていたのは裸の女性がパッケージに写っているHなDVD。

タイトルは“お義姉さんはかなりスケベな人です”。

あまりにも突然のことに思わずじっくり見てしまったじゃないですかっ!

まったく何て物を見せるんですか。


「あらー、良いわねー。向こうで浮気しても困るし」

ちょっと、お義母さんまで何を言っているんですか。


「とにかく、これはダメです。向こうで問題になるかもしれませんし」

荷物ごと没収だけならまだしも、友樹さんが逮捕されてしまうかもしれませんので。


「そうだ、今良いこと思い付いた」

何か嫌な予感がします。

「シュンちゃんが高校入学したらエロDVDをお祝いとしてプレゼントしようと思うんだろうが、どうだろうか」

「あらー、それも良いわねー。高校生になったらHなビデオの一つくらいは持っておかないと」

お義兄さんがこういうキャラだというのはわかっていましたが、お義母さんまでこういうキャラだとは思っていませんでした。


まー、私自身は子供がHなDVD持っていても否定はしませんよ。

だって男の子なら健全なことですもの。ただ、

「そういったDVDは法律で18歳未満は禁止されていますから、大学入学のお祝いとしてプレゼントしてください」

「いやいやいや、大学入学じゃ面白くないでしょ?」

面白いとか面白くないとか、そういう問題じゃないんですが。


「だって大学に入ったら、このDVDと同じことが簡単にできちゃうから。何たってシュンちゃんは俺に似てるからモテモテになるだろうし」

モテモテのはずなのに、なぜ結婚できないのでしょうか?

というツッコミが喉のすぐそこまで出てきましたが、止めておきましょう。


「あ、そうだ。シュンちゃんにプレゼントしたら報告するから」

ダメだ。お義兄さん、まったく私の話を聞いていない。

「それで頑張って隠し場所を突き止めるんだ」

「え?」

ちょっと何を言っているのかわかりません。


「この時期の子供って母親の言うことを聞かなくなるでしょ。だから隠してあるエロDVDを発見して主導権を握るんだ」

そんなことで親子関係の主導権を握れるとは思いませんが。


「現にトモ君も母さんに見つかって、頭上がらなくなったんだっけ」

「あー。そんなこともあったかしら」

えーーーーーっ!ちょっとお義母さん何やってんですか。

「そうそう、高校から帰ってきたら机の上にエロDVDが置かれてて。もう3回目の時は涙ぐみながら『勘弁してくれ』って言ってたっけ」

「トモ君の場合は隠し場所は凝ってるけど、詰めが甘いというか、その隠し場所に跡があるのよね」

何ですか?その公開処刑は。


「でもー、ヒロ君はそんなこと無かったわよね」

「当たり前じゃん。俺がそんなヘマするわけないでしょ」

なんでお義兄さん、そんなに自信満々なんですか。


「だって俺はトモ君の部屋からエロDVD借りてたもん」

予想だにしなかったお義兄さんの意外な答えに、私は唖然としました。


ここで私はある重要なことに気付きました。

友樹さんはHなDVDを見つからないよう厳重に隠していました。

なのに、なぜかお義母さんがそれを見つけてしまいます。

そして、それを拝借していたお義兄さん。

謎は全て解けました。


「お義兄さん、友樹さんの部屋からHなDVDを借りた後、ちゃんと仕舞いましたか?」

「う…、うん」

何ですか?その生返事は。

「しっけいだな!ぼくはちゃんとしまったよ!」

お義兄さん、棒読み過ぎます。


つまり、お義兄さんは友樹さんの部屋からHなDVDを拝借した後に雑に仕舞って、お義母さんが発見してしまったということです。

いえ、そんな昔のことを今も覚えているということは、むしろわざと発見されるよう雑に仕舞ったと確信しました。

とにかく友樹さんが不憫でならないと思ったのでした。



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