悪魔との出会い6
家庭生活は夫婦円満が良いことだと、一般には言われる。
しかし、この悪魔ザガンの場合は、どうなんだろうか?
ちょっと男としてザガンに同情してしまいたくなる。
「うーーん、いたた、あの野郎おもいっきり投げつけやがった。」
「しかし凄いですね、この金塊がぶつかって痛いと言うだけで済むとは。」
「ふん、なんの、この程度、大悪魔たる俺には傷ひとつ付けられんわ!」
そう言いながら、ザガンはこちらを向いた。
あ、可哀相だな、額が割れて顔が血だらけになっている。
「大丈夫ですか、顔が血だらけになっていますよ!」
「うー、あいつ呪いをこめて投げつけやがったな、即時回復の魔術がきかん。」
「え、呪いですか? そういえば帰れないように呪いをかけたと。」
ザガンが驚きの表情を浮かべ、
「なに、あいつ、そんなことを行っていたか!」
ザガンが手を上げ、空間に黒い穴を作り出す。
「おう、ちゃんと繋がるではないか。」
穴に入ろうとするが、ガツン!
跳ね返されて後ろ向きに倒れてしまった。
おや、黒い穴に文字が浮かび上がっているぞ。
ザガンも気が付いたようだ。
「えーと、なになに、【あなたは魔界に入る資格が停止されています。】だと。
ちくしょう!あの女、資格停止の呪いを掛けやがった!」
「資格停止ですか?」
「ああ。そうだよ、くそ、どうなっているんだ。」
何事かを呟くと、ザガンの足元に色鮮やかな円陣が現れて光り、その後、ゆっくりと消えていく。
「だめだわ、あいつ本気で掛けたみたいだ、解除できんわ。」
がっくりと肩を落としている。
「あーぁ、暫らくの間は帰れないなー。」
「しばらくって、どのくらいですか?」
「千年ほどだな。」
「えええ、千年ですか。」
「まあ、ちょっと長いな。」
「ザガンさん、千年がちょっとですか!」
「ジル、千年なんて大したことはないぜ。」
「大したこと、ありますよ! 私の寿命なんて80年ぐらいですよ!」
「へー、意外に短いな。」
「どうしましょう、奥さんから面倒を見る報酬として、この金塊を渡されたんですが。」
「ほう、それは災難だな、......」
災難だな? なんだ今の言葉は?
「ザガンさん、どういう意味ですか?」
「ははは、悪いなぁ、ジル、あんた俺が帰れるまでは死ねないわ。」
「なんですって!」
ザガンが気の毒そうに言う。
「かみさんは俺の面倒を見る代わりに金塊を渡したのだろう、契約が成立しているわ。」
「契約?」
「そう、悪魔との契約が成立すると終わるまで縛られるぜ。」
「ええええ、千年もあなたの面倒を見るんですか!」
しきりに頭をかく悪魔と、呆然とする私がいた。




