悪魔との出会い2
初対面の人との出会いは挨拶から始まり、お互いに自己紹介をする。
挨拶は多少疑問に思っても失礼なことを言うのは控えよう。
「おや、珍しい所から出てこられますね。」
黒い穴から出てこようとしている人に声をかける。
「ええい、この出口は狭くて出にくいなぁ。」
顔のでかい人は穴の縁に手を掛けて広げようと努力しているようだ。
おお、無理やり広げたな。
「よいしょと、」
穴からようやく這い出してきたようだ。
「ああ、疲れた、まったくこんな狭い通路を造るなよ!」
大きな顔をした人がこちらに向かって苦情を言う。
「えーと、これは私が作った心算は無いのですが?」
うーむ、黒いモニュメントを叩いたら出来た穴だから、私が造ったのか?
「おい、俺も結構な年なので腰が痛いんだよ、呼ぶなら大きな穴にしてくれよ。」
「それは申し訳ありませんね、しかし、呼んだ心算は無いのですが?
黒いモニュメントを剣で叩いたら、音がして穴が出来たのです。」
大男はあらためて黒いモニュメントを見る、
「なんだこのでかい塊は?」
「これは神が創った恩寵品のようで、調べていたところですよ。」
「なに? 神が創ったって。」
大男は黒いモニュメントをさわり、「ほう、」などと言いながら懐からハンマーを取り出す。
「どれどれ、」
ハンマーを大きく振りかざし、力強く叩く。
「ガーン、ガーン、ガーン、ガーン、ガーン、ガーン、........」
音は大きく鳴り響き渦を巻く、次第に大きな黒い渦が出来上がっていく。
「ふーむ、雑なつくりだが次元の穴は正しく出来るようだな。」
「次元の穴?」
「知らんかね、この世界とは別の世界に繋げる通路のことだよ、ただこれは雑な方法だよ。」
二人で穴を見つめながら話をしていた。
どうやら大男は別の世界の人のようだ。
おや、穴の中に人影が見えてきた。
出てきたのはエプロン姿の女性だった。
「あんた、何をしているんだい、突然呼び出したりして。」
「いやぁ、すまんすまん、ちょっと試しにお前を呼んだんだが。」
「なに、用も無いのに私を呼んだのかい!」
ゴーン、いきなり女性がフライパンで大男の頭を殴りつける。
「痛い、そんなに怒らなくとも良いじゃないか!」
「あんた、私は今、料理の仕込み中なんだ、くだらないことで呼ぶんじゃないよ!」
「おや、初めての方ね、」
女性が私に気が付いたようだ。
「おほほほ、恥ずかしいところを見せてしまって、」
女性は大男を睨みつけ、
「私に恥を掻かせるんじゃないよ!」
ゴーン、ゴーン、2回ほど殴りつけて、
「この能無し、遊んでないで早く帰っておいでよ!」
「おほほほ、失礼しました、うちのが迷惑をかけたら遠慮なく殴ってやってくださいな。」
などと言いながら、また穴の中に帰っていった。
呆気に取られて立ち尽くす俺と、気絶した大男が倒れている風景はあまりに不自然であった。




