悪魔との出会い1
わしは昔は皇帝陛下と呼ばれていたこともある。
実際の話だが、なんで皇帝陛下とか呼ばれるのか最初は判らんかったぞ。
もともと、わしは学者だったのよ。
若い頃から世の中の不思議な事象に引かれ、あちらこちらと歩き回っていた。
その頃の大陸は神々が激しく神威を振るい、日々世界が変わっていた。
楽しかったぞ!
人族はその頃は生きるのに苦労は無い世界であった。
神々の振るう神威の恩寵は大陸を豊かにし、人族の文明は栄え始めていた。
おかげで、世の中の真理を追究する学者という者たちが現れた。
その頃は大きな国も都市も存在しなかったんだよ。
種族に分かれ始めた頃だな。
人族、獣族が大きく分かれていた。
この世界に最初に現れた神の名残りはもうすでに無かった。
様々な神が日々、思うままに神威を振るい事物を創造していた。
我々はその結果のひとつに過ぎない、と一部の学者は言う。
また違う学者は原初から我々は存在していた、今いる神々は後から来たのだと言う。
いや、この世界は神、人、獣、植物はそれぞれ個の存在だと言う学者もいた。
まぁ、どの説が正しいかは誰も判らんし、その内、誰も気にしなくなった。
この世界にある事物、事象の解明が学者の主な仕事になっていった。
わしの師匠は神々の神威が残すものを追求する人だった。
ある日のことだ、ゴーン大平原の丘に神が残した遺物を見に来ていた。
そこで、わしは悪魔と出会ったのよ。
丘に半分埋まっている巨大なモニュメント、サボテンみたいだな。
はて、これは何だろう?
えーと、控えていかなければ、記録用のノートを取りだしてと。
寸法も測るとするか。
紐で長さと高さを測ってと、材質は何かな?
鉄か? 剣で叩いてみようか。
カーン、叩くと澄んだ音が鳴り響く。
カーン、カーン、カーン、カーン、...........
おや、音が何かと共鳴しているな。
音は鳴り響き、やがて渦を巻いて黒く染まる。
ん、何だ? 渦が真っ黒い穴になったぞ!
穴から何者かの顔が突き出される。
「おい、俺を呼んだかい?」
へ、誰、ずいぶん大きな顔だ。
「おい、ずいぶん失礼なことを考えなかったか?」
悪魔って言葉の印象が悪いよね。
悪い魔の者、わしが付けたんじゃないよ、かれらが自らそう名乗ったんだよ。
この出会いが学者から皇帝へと知らぬ間に変わった原因さ。
あのモニュメントは、どうやら異界とこの世界を繋ぐ物だったようだ。
あんたらの世界でもあるだろう、最初は思いもしない結果が先に待っていた事が。




