部屋の中の箱の中
ドアを開いて入るとそこは真四角な部屋だった。
部屋の中心には机が、そして、その上には一つの箱が置いてある。
私は机に歩み寄ると、その箱を眺めた。
深緑とも紺ともつかない気味の悪い色をしている。
蝶番で取り付けられた蓋が、こちらから開けるようになっていた。
私は一瞬ためらったあと、蓋を持ち上げて向こうへ倒した。
箱の中には人形がひとつ、こちらに背を向けて立っており、その影になっているが、何か他にも小さなものがある。
私はその小さなものを見ようとして、人形に手を伸ばした。
ひょいと人形を持ち上げた瞬間、私は何かに持ち上げられた。
酷く驚いて人形を持つ手に力がこもった。
潰す感じと潰される感じが同時に起こった。